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「本づくり」ここだけの話

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テーマは「編集者の本音」。読者や著者の方にわざわざ伝えるほどではない。けれど、じつは大切にしていることを書きました。参考になるかもしれませんし、ならないかもしれません。
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#日記

「売れる本づくり」という呪い

のっけから、ツッコミが入りそうなタイトルである。 ここ最近、ずーっっと、もんもんと考えていることについて言葉にしてみる。 出版業界で「売れる本をつくる」というのは、華々しいことだ。Jリーグでいうと、ゴールを決め、得点ランキング上位に入るようなもので、その結果をもって、待遇が上がったり、上位チームに引きぬかれたりもする(ステップアップ)。そもそも担当本が「ベストセラーになる」とは、著者・制作スタッフ・販売すべての関係者の、その努力が報われる、すばらしい瞬間であり、めざすべき

新書のタイトルを考えるときに心がけているたったひとつのこと。

最近、自分の新書タイトルだけでなく、部内のタイトル会議に参加する機会も多くて、「タイトルで本の生き死にが決まるなぁ」と思うことしばしばなので、自分がどんな感覚でタイトルをつけているか、振り返ってみた。 もちろん「売れるタイトルのつけ方」と大見得を切ることはできないので、あくまで自分の場合、と断っておきます。 大前提として、想起しておかなければならないのは「新書コーナー」は目的買いよりも衝動買いが圧倒的に多いはずだ、ということである。 たとえばビジネス書の棚の前にいくお客

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編集者の本音④売上よりも大切にしていること

3刷2万部。 おかげさまで「医者の本音」に重版がかかりました。 このブログが売れ行きに貢献しているわけではありませんが、もちろんうれしいのでここでご報告!まだまだポテンシャルのある本だと感じてます。 こうして関係者とともに精魂込めて作った本が売れるというのは、なにりよりもうれしいことなのですが、それ以上に大切にしているものとは何か?というお題目です。 最初にお断りしておくと、やはり「本が売れる」というのはすごく大切な事。 編集の仕事って、お願いしてばっかりなので、唯

編集者の本音② 持ち込み企画に、なぜ冷たいのか?

本を出したい。 そんなご相談だったり、企画提案を受けることがあります。 知人のプロデューサーさんの紹介や、出版パーティー(あまりいきません…)や飲み会で知り合った方から後日、改めてというパターンもありますし、突然「あの本の奥付をみまして…」と手紙をしたためてくださる方など、出会いはさまざまです。 「なぜ編集者は持ち込み企画に冷たいのか?」 と銘打ってみたわけですが、「いや、そもそも冷たくはないかも」と一方で思う自分もいます。編集者はつねにあたらしいネタを探していますし