虫眼鏡_イラスト

数字に変換できるものとできないもの

こんにちは。

突然ですが、私は人が生きる上で自分なりの観点を持つことが重要だと思っています。

結局のところ、人間社会で希少価値の高いスキルは二つだと思います。雑に言えば、一つは誰も思いつかなかった本質を見抜く力で、もう一つは誰にも作れないものを作る力です。本質を見抜くには、自分で考える筋トレ的経験を積むしかないと思っています。そのために役立つのが、自分なりの観点です。

オックスフォード大学の教育社会学者、苅谷剛彦先生は著書『知的複眼思考法』で次のような旨を述べています。

良い研究とは、独自の多角的複眼的な着眼点に基づいてなされるものだ。

そのためには権威ある先生や世界の中で主流となっている理論を積み上げていくのも大事だが、研究の本質はそこではなく、自分なりの視点を磨くことが大切だと述べています。

確かに日本でノーベル物理学賞をとった南部陽一郎さんの研究は、当時の欧米で主流だった物理論から逸脱しており、はじめは全く相手にされなかったそうです。ですが、自分の着眼点を信じて研究した結果花開き、現在では彼の理論がなければ今の物理学はないと言われるほどの理論になりました。

観点を増やすには結局のところ他の人たちが積み上げてきたものを活用して自分なりの着眼点をみつけ、世界を切り取っていくしかないと思っています。

その中で役立ちそうなものが、”定性的”と”定量的”の概念です。

最近スキマ時間に『この世で一番おもしろい統計学』という本を読んでいます。

この本はとても平易な内容で統計学の本質をわかりやすく説明してくれる漫画です。

その本によれば、統計学とはそもそも実際には計測できないものを推定するために使われるものでした。

例えば、湖全体の魚の数を実際に全種類を捕獲して調べるのは骨が折れる作業だし現実的ではないでしょう。そのため、無作為に何匹か捕獲して計測します。そのデータを元に全体を”推測”したのが統計です。

データを集めるときに注意するポイントの一つが、定性的なデータと定量的なデータに分類することです。

「定量的」とは、その名の通り量で定められるもので、数字に変換できるものです。「定性的」とは、性質で定められるものなので、数字に変換することができない性質のことを示します。こちらは数字ではないので曖昧になってしまいます。

例えば、”黄色の洋服”や”支持政党”などは定性的です。人によって基準が異なる曖昧なものです。これは定性的なデータと言えます。一方、”年齢”や”身長”、”視力”などは数字に変換できるので定量的なものです。

「学校のテストで上位に入る。具体的には数学で90点国語で95点英語で90点とって学年順位でトップ10入りする」

上記の文章は、定性的→定量的な説明です。”上位に入る”は主観的で人によって異なりますが、数字に変換すると客観的に示すことができます。

肌感ですが、IT界隈には、この定量的定性的をきちんと示すことでわかりやすい説明を心がけている方が多いような気がします。

統計学では、この定性的なデータの分類と定量的なデータの分類が肝になります。

こう考えると、AI(現代のディープラーニング)が単独でできそうな仕事と単独では難しそうな仕事がイメージしやすいのではないでしょうか。


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