情報難民にならないために

2019年11月、福井県で多重介護に疲れた70代の女性(長男の嫁)が、夫(長男)とその両親を殺害したという事件。
ちょうどその頃、日々両親に振り回されて、行き場のない怒りを溜めていたわたしには他人事とは思えなかった。

いろいろな報道を見聞きする限りでは、自営業の仕事もやりながら、3人の介護をすべて一人でやっていたとか・・・。
誰が見ても無理でしょ。そうしなければいけないと思って頑張っていたのだとしたら、本当に気の毒としか言いようがない。
義理の両親は介護認定を受けていたわけだから、何らかの介護サービスも受けられたはず。
でも、行政は、”困っているんです、なんとかならないでしょうか”と、こちらが声を上げなければ助けてはくれない。

どこへ相談に行けばいいのか、どんなサービスがあるのか、どこまで助けてもらえるのか・・・
わたしたちは、切羽詰まらないうちはそういった情報に無関心だ。
わたしの場合、まずネットで検索すれば、市役所などが発信している情報に辿り着ける。誰かの体験ブログなどを読んで参考にすることもできる。
でもこの福井の事件の場合はどうだったんだろう?71歳の女性は自分で必要な情報に辿り着けただろうか?
わたしの母81歳であれば、情報に辿り着くためには、パンフレットのような紙媒体をひたすらめくって電話で問合せることしかできない。
そもそも、たまにポスティングされる市からのお知らせやパンフレットをきちんと取っていなければ、為す術もない。
そう考えたとき、行政は市民が必要な情報を、適切な方法で広報できているのだろうか?
実際、市役所のホームページを見たところで、有益な情報があるわけではない。結局はお問合せ先に電話して、その場へ足を運ばなければ何の情報も得られず、何の解決策にも結びつかない。


我が家の場合、1年以上前から、母が父の認知能力に疑問を持ち始めていた。
母の話をなんとなく聞き流していたけれど、周囲の人に何気なく両親の様子を話したところ、少し年上の知人から「そういう心配が少しでもあるなら、まず地域包括センターへ相談に行くのよ」とアドバイスされた。
母にその話をしても、なんだかごにょごにょしてなかなか実行に移さない。
埒が明かないので、わたしが市役所のホームページから地域包括センターの問合せ先を探し電話をしてみたところ、ちょうど認知症の医療相談(無料)が翌日あり、枠が1つ空いているという絶妙なタイミングだった。
これ幸い!と母を連れて医療相談を受けに行ったところから今日に至る。
その後、母は父を検査に連れて行ったり、ケアマネージャーを決めたりと、一時的には大変だったと思うけれど、適切なタイミングで適切に動いたお陰で、父の認知症は現状維持を保っているし、今回母が突然入院するアクシデントに見舞われてもどうにかなった。
ネットの情報とリアルな情報網、両方がないと必要な情報に辿り着けないし、恩恵も受けられない。
ただ漫然と生きてるだけではだめなのだ。

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