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評価がわかれることにこそ、この映画の真価がある。「君たちはどう生きるか」

来週には公式ガイドブックが出るというのに。
公開からもう3か月もたったというのに。

今日はじめて観ました。
観客が5人しかいないイオンシネマの片隅で。

もう、本当に言葉にしたくない。この気持ちを100表せる言葉がないから、どうしても取りこぼしてしまうから。
それでも書かないと忘れる生き物だから、「取りこぼしてしまいたくない」という気持ちだけでも残しておきます。

※まだ観ていない人は絶対絶対読まないでください!あなたの感動を薄めてしまいます。


『忘れたくない。忘れない』

大人になっても忘れたくなかった気持ちがあった。
日常と不思議が地つづきな世界、知らないからこそ恐れない気持ち、トトロは当たり前にいると思っていたこと。
最後の数分のアオサギを抱きしめたくてたまらなかった。

帰りの車を運転しながら、主題歌のこの歌詞を、ひき絞るように歌いながらトンネルを時速100km出して走った。

この道が続くのは 続けと願ったから
また出会う夢をみる いつまでも
一欠片握り込んだ 秘密を忘れぬように
最後まで思い馳せる 地球儀を回すように

「地球儀」米津玄師

どこまでも広く見えるこの世界は、もしかしたら誰かの手の中の小さないちピースでできているのかもしれない。
子どもの夢は小さくて、けれど世界を作るほどに大きい。そして、現実を生きる私たち大人だって、今も、子どもの頃に抱いた「私だけの気持ち」を持ち続けていて、きっとまだ世界のいちピースを持っている。

この世界が、悪意のないものでできた世界でなく。悪意を抱えた私たちが、それでも世界を作れるということは救いなんだ。


この映画は事前情報を極力おさえて公開された。
「この情報があふれた時代に、情報がないということはエンターテインメントになると思った」
鈴木敏夫プロデューサーはそう言った。

おっしゃる通り。
まさに心の臓を揺さぶるエンターテインメント。

評価の★も口コミもなくものを見たのはいつぶりだろう。
「私だけの感想」をまっさらに持てたのはいつぶりだろう。

この情報化社会に、先を気にかけずにはいられない大人たちに、そんな心揺さぶる体験がまた巡ってくるなんて思いもしなかった。
気づいていなかった、そのチャンスを失っていたことさえ。


今、臆病な私は行動をおこせなくて、たくさんの機会を無駄にしている。
「気軽にふみだそう」
「失うものなんてない、全部プラスだ」
どれだけ前向きな言葉をかけても、動き出せはしなかった。

でも、今。私は一年ぶりにこのnoteを動かした。
本当にほしかったのは、覚悟だ。
誰にどう言われようと、「私だけの気持ち」を手放さない覚悟、握りしめ続ける覚悟。この映画は「私だけの気持ち」を思い出させてくれた。

映画への評価がわかれていることにこそ、この映画の真価がある。
世間の評価が割れようと、「わからない」と言われようと、自分にとって大事なことを大事に伝えるんだと教えてくれた。
そして、受けとる方もバラバラでいい。自分の心で大事に受けとるんだ。

そうやって今日も地球儀は回っている。

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