舞台「愛を探す怪物」観劇後に思った事

演劇ユニットメイホリックの舞台「愛を探す怪物」(2021年7月21日~7月25日、於中目黒キンケロシアター)観劇後に思った事

全体を通す縦軸と複数のエピソードを絡めた物語で、ストーリー全体のバランスも良く、キャラクター設定とそれを演じる女優陣の演技、演出により良作であったと思います。

複数回の公演を観終わった後に感じた点を下記に記します。舞台として考えた場合、時間的な制約や物語進行上の都合で割愛、省略せざるを得なかった部分も多々あることは承知していますので、理系思考の細かい事が気になってしまう物の戯言です。

・ストーリー全体のトーン
 メイホリックの公演特有の物語の陰の部分や観終わった後に胸に残る何とも言えないモヤモヤが好きなのですが、これまでの公演(朗読劇3作)に対し、メイホリックの公演としては陰/毒が薄めな感じを受けました。
 ストーリー全体のギミック等メイホリックらしい仕掛けもありますし、描写として鬼気迫るものもありましたが、ストーリー全体のトーンが陽性寄りだったのかと考えています。
 舞台世界の中で登場人物それぞれが抱える様々な過去の中には諸々の物語があることは想像に難くないで、何時か何処かで語られることがあればとも思います。

・時間軸に関して
 フー達の旅を追いかける姉妹の旅は当初数日以上の遅れが、徐々に追いついて師匠のところへの到着時点で数時間レベルの遅延と言うことだと理解しています。
 姉妹の旅路が急いで10日ほどとすると、フー達の旅路は14~20日程度と推定しています(割愛された行商としての仕事の時間や他の町に寄ったとしてもそれ以上では姉妹たちが追いついてしまうと思います)
 
 劇団と教会とのエピソードは師匠の居場所の直前であり、ここでの遅延は1~2日程度と思います(それ以上だと追いつけない)
 ここで、姉妹たちと劇団、教会とのエピソードで時系列的に下記の点に違和感を感じてしまいました(時系列に関してフンワリ考えれば問題ないので
  ①フー達が出発した後の短期間で新作舞台はできるのか
  ②姉妹と会ったときのドロレスの態度が事件前と同様の状態であった が、彼女の心の傷は短期間で癒されたのか

 ①に関しては、オリヴィアが優秀だったり、ある程度元になる物があったりと考えれば不可能ではない。
 ②に関しては、子供の死の真相を知り、ラビンを手にかけた事で自ら命を絶とうとまで追い詰められた心が、アビゲイル司祭や周りの支えがあったとしても短期間で持ち直せるとは思えず、彼女は出さないと言う選択もあったのではと思います。

・フーのメモ
 フーが旅に出てから身に着けているバッグに納められているメモはフーが出会った人達が語った愛に関する事柄が記されており、ラストシーンにおける重要なアイテムとなっています。
 このメモはシュタインに愛を教える為にフーが自ら見聞きした事を綴ったものですが、自ら思いついたとは考えにくく、誰かに言われたか、貰った物なのかとも思っています。
 メモをつけ始める、つけている事に関して何らかの言及があればよかったのではないかと考えます。

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