ブロックチェーンゲーム業界の構築: ゲーム業界関係者の声
先日、TZ APACのリサーチ&アドプションマネージャーであるJacob Pounceyが、Blockchain Game Allianceと、ブロックチェーンと業界のリーダーによるパネルに参加し、ブロックチェーンが実現するゲームの新しい可能性について議論しました。作者:Dan Ferguson
- 新しい可能性
ゲーム開発者は、エンターテインメントとしてのゲームの可能性、エンゲージメント、そして最近ではオンラインゲームやマイクロトランザクションの台頭など、ゲームの可能性を広げるために、これまで最先端の技術を取り入れてきました。
先日、TZ APACのリサーチ&アドプションマネージャーであるJacob Pounceyは、Blockchain Game Allianceと、ブロックチェーンおよび業界のリーダーによるパネルに参加し、ゲームの新しい可能性について議論しました。
世界的に有名なゲーム会社であるUbisoftが、パリに拠点を置くNomadic Labsと提携し、Tezosネットワークのコーポレートベイカーになったことを発表したとき、ゲームにおけるブロックチェーンの利用がエキサイティングな新章に入ろうとしていることが明らかとなりました。特に、ゲーム分野では、NFT(非代替トークン)やゲーム内でゲーマーを惹きつけ、報酬を与え、価値を生み出すためのアプリケーションへの関心が急速に高まっています。
Nomadic LabのアダプションエキスパートのAlexia Martinel氏によると、NFTの可能性の探求とゲーム環境での普及はまだ手探り状態です。
「ゲームに関しては、業界にとって明確で適切なユースケースを特定することができたと思います。しかし(中略)、まだまだ模索は続くと思っています。少なくとも、Tezosではそうだと考えています。」とMartinelは言っています。
パネルのモデレーターであり、TZ APACのリサーチ&アダプションマネージャーであるJacob Pounceyがパネルに以下の質問をしました。「NFTが普及し、ブロックチェーンを統合したゲームを提供するためには、どのようなフレームワークや構造を導入する必要がありますか?」
こちらがMartinelの回答です。
「ゲームの二次市場については、スキンや特別なアーティファクトの取引を促進するなど、さまざまな議論が行われてれています。また、ゲームの一部のアイテムを限定エディションにするという考え方もあります。
しかし、私はNFTがブロックチェーンの普及と本質的に結びついていると考えています。後から導入する場合は、必ずしもNFTの領域を理解しているとは言えないでしょう。NFTがゲームに簡単に実装されるようになる、または少なくとも私たちが待ち望んでいるようなブームが生まれるには、まだ時間がかかると思っています。」
これに対し、ゲームスタジオNFT1の創設者のStephane Panyasiriは、NFTを導入するための技術的な側面が議論されているのか、それともその使い方が議論されているのかによって異なると主張しました。以下が彼のコメントです。
これは、ゲーミングハウスがNFTを導入するために考慮しなければならない要素や、ゲーミング体験の一部としてNFTがあることでゲーマーがどのような価値を得るのかを考慮した結果としての意見です。「また、従来のゲームの要素に注目するのか、それともNFTベースのオンラインゲームであるAxie Infinityのように、本質的にNFTに対応しているゲーム体験に注目するのかも重要です。
私たちは、NFTがゲームの中でまったく新しいパターンや使い方を生み出してほしいと考えています。NFTを楽しいものにした上で、ゲームプレイの本質的な部分として利用することができれば、それこそが成功だと考えています。」
- アーリーアダプションが今後の成長の鍵
あらゆる新しい技術と同様に、プラットフォーム、アプリ、ゲームの成功には、熱心で多くのアーリーアダプターの存在が不可欠です。アーリーアダプターは、新しいゲームの最も熱心な支持者であることが多く、ユーザー離れを防ぐために必要なバイラルモメンタムを生み出すのに役立ちます。
同様に、ゲームのプレイヤー数が多ければ多いほど、より多くのプレイヤーがゲームに留まる可能性が高くなります。その結果、リテンションレートが高く保たれ、さらにバイラル(および有料)でユーザーを獲得してユーザーベースを拡大することができます。パネルディスカッションでPounceyは、NFTはWeb 3.0ゲームの最大のセールスポイントの1つであり、特に初期ユーザーはNFTの使用を促進するゲームに魅力を感じると主張しました。パネルディスカッションで、このような文脈におけるNFTについてどのように考え、真の統合とはどのようなものか議論しました。
その中で、Panyasiriは以下のようなコメントをしています。
「アーリーアダプターを獲得するのは、ユーザーベースの基盤を作るためです。最低限のユーザーベースができるまでは、誰もあなたのゲームを遊ぼうとはしません。アーリーアダプターに道を示してもらえれば、その後はユーザーベースをどんどんと大きくすることに取り組めます。」
Nomadic LabsのシニアブロックチェーンサポートエンジニアFlorian Pautotは、NFTを含むブロックチェーンの統合と実装がゲーム体験を促進するという観点で非常にシームレスになり、プレイヤーがゲームをしている時に、ブロックチェーンをほとんど意識しなくなったとき、ゲームに「ブロックチェーンの時代」が訪れると主張しました。そして、以下の意見に関してはPanyasiriも同意しました。
「ゲーマーが、ゲームの中でNFTを使いながらも、ブロックチェーンを活用していることに気づかないとしたら、それこそがマスアダプションを実現するためのポイントであり、これこそが目指すべき姿です。
そしてその流れの中で、「NFT」や「ブロックチェーン」といった言葉が、ゲームプレイにおける一般的な言葉となっていくでしょう。マイクロトランザクションについてプレイヤーが話すことは不要です。ゲームの中でアイテムを買うだけで、それを支えるものにはプレイヤーは関心がなく、知りたくもないです。」
- ブロックチェーンの可能性に挑戦するゲームスタジオ
ゲームスタジオは、開発費やCAC(顧客獲得コスト)などの支出に対して、収益性を最大化し、CLV(顧客生涯価値)を向上させるために、コンテンツを収益化し、新たな収入源を生み出す方法として、マイクロトランザクションをいち早く採用してきました。
ゲームスタジオが同じようにブロックチェーンに注目している理由について質問されたパネルは、ゲーム業界がブロックチェーンを収益を上げるための別の方法と考えていることを筆頭に、さまざまな考察を示しました。
「基本的に、NFTと取引の安全性のおかげで、ブロックチェーンは新しい経済を作り出すことができます。これはゲーム会社にとっては、まだ手つかずの金鉱です。」とPanyasiriは述べました。
さらにPautotは、ゲーム会社はブロックチェーンをゲームの開発や使用の基盤とすることで、セキュリティ、インタープレイアビリティ、法定通貨と仮想通貨(デジタル通貨)間の取引の簡単さなど、多くの技術的なメリットがあると考えていると述べました。
「最初から取り組むべき重要な要素があり、その中の1つが、スマートコントラクトのセキュリティとユーザーの秘密鍵です。
ほとんどのブロックチェーンでは、ユーザーは自分の秘密鍵は自分で管理しなければいけません。ブロックチェーンの複雑さを抽象化してゲームの中に埋め込み、なおかつ十分なレベルのセキュリティを提供するにはどうするか、それこそが今後の課題です。」とPautotは述べました。
Pautotは、ゲーム会社がインタープレイアビリティを高めることは、他のプラットフォーム、さらにはスタジオの安定したタイトルの中にある他のゲームとの競合を軽減することを意味するとコメントしており、パネルディスカッションの中では以下のように言っていました。
「あるゲームで 「お金 」を稼いで、別のゲームで使ったり、何か別の価値のあるものと交換したり、それらがすべてブロックチェーンによって保証されることを想像してみてください。ゲーム会社やゲーマーにとって、大きな可能性を秘めています。」
Tezosのようなブロックチェーンの分散型という性質は、バーチャルアイテムや通貨を購入するために法定通貨を使用しているプレイヤーを保護するための新しいレイヤーを追加します。また、ブロックチェーンを実装することで、企業は仮想通貨での支払いを促進し、より簡単で便利なサービスを提供することができます。
「重要なのは、ブロックチェーン要素をユーザーにとって完全に透明なものにして、非常にシームレスな体験を実現することです。」
- 究極のプレイヤー機能である分散型ガバナンス
パネルディスカッションでは、ゲームにブロックチェーンを導入することで、プレイヤー体験をどのように変化させることができるかという質問に対して、一部のゲームでは、プレイヤーが「稼ぐためにプレイする」ことで、ゲームのアップデートや進化をコントロールすることができる、新しいプロプレイヤー経済が生まれる可能性があることが議論されました。
「ゲームを中心とした経済をブロックチェーンで構築すれば、ある種の分散型ガバナンスを実現できる可能性があります。例えば、プレイヤーはトークンを獲得することで、自分が収入を得ているゲームの将来をコントロールすることができます。これは、ゲームの未来とブロックチェーンがもたらすものについて、興味深い選択肢になるかもしれません。」とPautotは言いました。
仮想アイテムや仮想通貨から現実世界の価値を生み出すことは、必ずしも新しいことではありませんが、Martinelは、ゲームを通じてデジタル通貨を獲得したプレイヤーが、その「収入」を得るために「働いた」ゲームとは関係のない別の場所やゲームで使ってしまう可能性があると述べています。
「例えば、SSI(自己主権型アイデンティティ)のウォレットを使って、ゲームで稼いだお金をまったく関係のない商品やサービスに使うことができます。
これをブロックチェーンを使うことで実現することができます。これによって、多くの新しいものが生み出されると思っています。」とパネルディスカッションでMartinelは述べました。
- ジェネレーションシフト
最終的には、NFTのようなブロックチェーンとそれを活用したアプリケーションの普及は、商品が自由に提供され、取引されるF2Pゲームエコシステムで育った現代のゲームプレイヤーから進むかもしれません。そして、ユーザーは、他の人々にとって価値があると本質的に思えるアイテムを「プレゼント」するでしょう。
これは、F2Pと、モバイルやタブレット端末を小さい頃から使って、F2Pゲームのアイテムやバーチャルアイテムを買うようになった子供たちの考え方に、世代交代が起きていることを示しています。
彼らは、「それは物理的に良いものか?それには価値があるのか?」など考えません。彼らは、バーチャルアイテムに価値があることをすでに受け入れており、それを獲得するために支出しています。」とBlockchain Gaming Alliance代表のSebastien Borgetは主張しました。
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