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選手達の敗戦コメント(2023アジアカップ)

鈴木彩艶

この大会を通して自分がゲームを壊すような試合が多くて、何もできなかった大会だったなと率直に思っています。
毎試合、勝利はもちろん、無失点を目指していますが、大会を通して自分がゲームを壊すようなシーンが多かった。代表でやる以上は1試合目から高いレベルのパフォーマンスを見せなければいけなかった。今日のゲームは比較的、悪くないような内容でしたが、でも失点部分の自分のチームへの関わり方と言いますか、そういうところは直接スコアに影響を与えてしまったと思う。

板倉滉

本当に申し訳ない気持ちですね。もちろんチームメートにもそうだし、日本から応援してくれている人もたくさんいたと思うので。今日の敗因は自分にあると思うし、CBの自分がもっと良いパフォーマンスをしていれば日本代表は勝てたと思う。非常に申し訳なく思っています。
(PKの場面は)1個前の時点でクリアできれば良かったという思いはあるし、後ろから走ってきた相手がちゃんと見えていなかったという視野の狭さを反省しないといけない。(冨安からの指示は)ギリギリで声が聞こえたけど、後ろの状況を把握できていなかった中でボールに行くという選択をして、触ることができず、こぼれたボールしか見えていなかった。状況の把握をもっとちゃんとやらないといけなかった。
こんなに自分自身でゲームを壊すことは今までなかった。それを勝たないといけない状況でやった。このままだと代表のピッチに立つ資格はない。自分のミスで負けたのは明らか。しっかりドイツに持って帰ってまたやりたいと思う。
(前の試合で痛めた左足や、大会前に患っていたという体調不良の影響を板倉自身は語ろうとはせず、所属先のボルシアMGの監督が現地会見で明かしたことで広く知れ渡る形となったが)
もうピッチに入ったら正直そんなのは関係ないと思うし
、中2日とかそういうのも相手と同じ条件で戦っているのであって、その中でああいうパフォーマンスをしている時点で、やっぱり代表選手としてピッチに立つ資格はないというのは自分自身強く感じた。もっと責任感を持ってやりたい。

町田浩樹

後半、完全に悪い流れになったタイミングで5枚にする選択肢はあったと思う。そこで森保監督が思い切って僕を選択できなかったというのは、信頼が足りなかったのかなと思う。

守田英正

イラク戦に近いというか、相手は相当イラク戦を見ながら分析してきたと思う。自分たちがイラク戦で露呈した弱みに対して、チームとして修正できたかというと、そうではなかった。
あの状況を作られることがそもそもよくない。あれだけセットプレーを与えたり、深い位置でロングスローを投げられたり、(DF陣が)よくあそこまで耐えてくれたなというのが印象。そうならない戦いがもっとできたのかなと。
どうすれば良かったのかはハッキリ分からない。考えすぎてパンクというか、もっとアドバイスとか、外からこうした方がいいとか、チームとしてこういうことを徹底しようとかが欲しい。チームとしての徹底度が足りなくて試合展開を握られるということがゼロじゃないし、この大会でも少なからずあった。ボランチとして、プレイヤーとして、チームのために考えないといけないし、その思考は止めないけど、そこの決定権が僕にある必要はないのかなと思う。あくまで僕は最後の微調整だけでいいのかなと。担っているものを重荷には感じないけど、もっと欲しい。
僕が決めたシーンとか、ラインコントロールとかの映像を見て、こうしよう、ああしようという話はあったけど、深いところまではいけなかった。前半、嫌な感じで逃げ切ったような感じでロッカーに戻ったけど、後半、フレッシュな感じでピッチに出れたかというとそうではなかった。何かが足りないのか、やろうとしていることが多くて、むしろ捨てていくべきなのか、一つに絞っていくべきなのか分からない。
ゴールキック一つ取ってもそうだし、もっといろいろ提示してほしい。
結局、だれが出てるかの人次第、質次第になっている。チームとしてやろうとしているスタイル、チームとしての哲学があっても、そこに差は必然的に出てくるものだけど、こういうことをしようというものがないと、受け身になり始める。相手の雰囲気だったり、同点ゴールを決められて、オフサイドだったけど追加点も取られそうになって、僕自身を含めてボールを握るのが怖くなる。
文句みたいになって申し訳ないけど、選手はできると思う。僕が目の前の選手に対してターンして顔を上げてボールを蹴れたり、そういうことを世界のトップ選手は当たり前にできる。そこは真摯に受け止めないといけない。
チームとしてどういう動かし方をして、どこを狙っていくかというのはもっと明確にしないといけないし、そういう課題があるのに個のところで負けたというのは逃げだと思う。

三笘薫

ボールを持てば前進して行くところは意識していたけど、なかなかボールをもらえなかったし、少ないボールをもらったところでもアクセントになることができなかった。やりきることが必要でした。考えながらやっていましたけれどダメでしたね。僕自身もボールロストしたところもあったし、流れを変えられなかった。いろいろと敗因はあるけど、僕自身も流れを変えられなかった点で実力を出せなかったと思う。
W杯でもそうだったけど、チームに貢献し切れていない事実を認めないといけない。タフに戦い続ける選手がいて、そこに自分自身関われないところでは準備のところもそう。けがのところは仕方ないところはありましたけれど、まあ悔しいですね。本当に…。
決勝T1回戦で120分、PK戦を戦った相手に勝てないとなると自分たちの実力は下であると認めないといけない。試合展開からしても受け身になったところがあったし、自分たちが優位を持って進められたかというとまだまだだったし、先制した後の戦いにまだまだ課題がある。

冨安健洋

熱量を感じられなかった。僕が代表に入ってから、成長できていない部分。
勝ちへの執着心が足りなかった。良くないときに声を出すとか、プレーで、DFだったらがっつりボールを奪って雰囲気を変えるとか、攻撃陣ならドリブルを仕掛けて雰囲気を変えるとか。それはこのチームにないところ。
淡々とやるだけじゃなくて、何かを変えようとする選手がもっといないといけない。昔のことは知らないけど、僕が代表に入ってから成長できていないところ。
前半に前の選手に言っていたのは、相手のセンターバック2人が広く取っていたので、できれば2トップじゃなくて、前田大然くんや堂安律のところで外からプレッシャーをかけること。それを言いたかったが、ゲームの中でなかなか言えず、ハーフタイムに話して修正をかけようと思ったけど、そうなる前に押し込まれた。寄せのところはまだまだ足りないと感じたし、後半は運動量も落ちて、一人ひとりがバラバラになって一歩遅れるとか、そういうシーンがかなり見受けられた。
(PK献上シーンは)コミュニケーションを取って、僕が声を上げたが、ギリギリの判断になってしまった。ペナルティーエリア内で大振りもしたくなかった。でもハッキリやるべきだった。
イラクやイランという中東勢に苦戦して、中東勢の勝ちへの執着心に劣ったという見方もできなくない。僕も含めて足りない。難しい状況に陥ったときに何ができるのか。良いときはだれでもできる。良くないときに何ができるかを求めていかないといけない。
良くないときすら、それすら帳消しにしてしまうクオリティー、能力。前の選手も含めて、超越した選手になるというところも一つの違った道。できることはチームに帰って少しずつでも成長していくこと。僕もアーセナルに帰ったらスタメンを取らないといけない立場なので、まだまだ成長しないといけない。

遠藤航

アジアの戦いとW杯の戦いは違うというのを今回改めて感じた。アジア対策を別に考える必要がある。球際の部分だったり、今日に関してはイランの方が上だったと言わざるを得ない。
蹴ってくる相手、日本をどうにかして倒したいという相手が、アジアの中では多くなってくる。とにかくガムシャラにやってくる相手というか、長いボールを蹴ってくるとか、ちょっと汚いプレーとか、それも含めてサッカーなので、それに屈していたら負け。これからのW杯アジア予選でも同じようなシチュエーションは起こると思うので、その中でも勝ち切る力を付けていかないといけない。アジア対策は別で考えるべき。W杯優勝という目標を変える必要はないけど、アジアを勝つのは難しいと思い知らされた

久保建英

前半はやっていて負ける気はしなかったけど、後半に入って相手に2、3回ロングスローを作られて、嫌な流れだなと思ったら、相手もそれに味をしめて、とりあえず蹴って拾ってで、タッチラインを割ってもロングスローがあるよってことで押し込まれて嫌な展開になった。もうちょっとボール保持する時間が長くなればよかったかなと思うけど、相手のやりたいことがうまくハマったと思う。
相手はたぶんつなげないってことで割り切って、蹴ってきてなんとかという展開だったけど、その前に僕らは試合を決め切るチャンスがあった。攻撃陣は特に反省したい。
(後半23分に途中交代)だんだんコンディションが上がってくる中で、今大会たぶんベストなゲームだったと思うので個人的には交代は早かったかなと思うけど、そこは一選手がどうこう言ってもしょうがない。もっとやれたかなと思う。苦しい時間帯にもっともっと点に絡みたかった。大会を通して、いまの僕の限界かなと思う。

堂安律

前回のアジア杯からオリンピック、W杯、今回のアジア杯と、何一つ代表で成し遂げられていない自分の不甲斐なさを感じている。
後半、パワーで来る相手に対して、ヨーロッパでやっている選手はパワーに慣れているはずなのに、なぜか跳ね返せない。相手のパワーに支配されていた。相手のレベルが上がっているのはもちろんあるけど、これぐらいの相手なら普段からやっているので理由にならない
失点の仕方が悪くて、メンタル的にもダメージが来た。脳からダメージが来て、少しずつ体が動かなくなった。後半は情けない試合だった。

伊藤洋輝

ボールをつなげなくなって押し込まれた。一人ひとりがもっと受ける意識を持った方がよかった。相手もマンツー気味で、ラフなボールが多くなったのが自分たちが苦しんだ要因。
自分のサイドからもクロスを何度か上げられたし、もっと食らいついていかないといけなかった。苦しい展開で流れを変えられなかったし、耐え切れなかった。追いつかれたあとも押し込まれたし、延長につなげられる安定感というか、守備の力強さが必要だったと思う。

前田大然

相手のサイドバックが攻撃で結構出てくるので、そこをしっかり抑えてほしいというのと、上がってくる分、スペースが空いているから、そこに出してくれとスカウティングから言われた。サイドバックをケアしながら前に行かなければならなかったので、すごくタフなゲームだった。そこではやらせなかったけど、負けてしまったので悔しい。

森保監督

監督として、みんなの努力を結果につなげられなかったのは残念に思う。レベルが上がったうえで、今日の試合は私自身が交代カードをうまく切れなかったのが敗因。
相手のサイド攻撃が圧力になっていたので、3バックにすることやSBを代えることを考えてはいた。耐えていって、できるだけ前線の交代カードを切りたかった。守備で受けるのではなく攻撃のカードを切ることを考えた。
(前日2日に行われたオーストラリア対韓国戦の逆転劇。1点リードのオーストラリアが5-4-1にシステムを変えた後、勢いを増した韓国に押し切られていた)オーストラリアが5-4-1にして下がりすぎてジリ貧になっていた。3バックにしたからといって守備的になるわけではないが、いままで守備的に逃げ切る局面で使っていたので攻撃の部分でシステムなどを変えたいと思っていた。
相手に南野と三笘を入れて推進力を上げることが狙いだったが、相手の対策もあり上げられずに試合が押されてしまった。終盤は守備で弾き返せる選手がいるのでどうしようかと考えたが、相手が交代カードを切っていないことで、時間を見て延長勝負も考えられる中で、そこでどう勝負をするか。相手の出方も見ながらどう上回れるかでカードを切ろうと思った。
アジアの戦いでピッチ状態、対戦相手の我々に対する警戒が非常に強く、対策がこれまでより厳しくなったと感じている。日本に対する対策を乗り越えていけるようにしないといけない。戦術的なところもそうだが、モチベーションのところで相手が非常に高く、死に物狂いでやってくるところを我々も必死に覚悟を持ってやらないといけない

イラン・ガレノイ監督

私たちが戦術的に良い試合をすることができ、高い集中力を保って試合に勝つことができた。アジアはこの試合を誇りに思うべきだ。イランのサッカー界はこの試合と、国民のために心を尽くしてプレーし、奮闘した立派な若者たちを誇りに思うべきであり、彼らはこの言葉以上に値するものがある。

日本サッカー協会 田嶋幸三会長

もう終わったこと。アジア最強とか調子良いとか言っていて、もう一回イチからやり直すちょうど良い機会にしたい。
(森保監督の進退問題について)全く考えていない。
カタールW杯で我々がドイツに勝ったり、スペインに勝ったりするのと同じようなことがアジアでも起こるということ。そういう意味では逆に良い引き締めるチャンスにしたい。
W杯予選に向けて良い引き締めになった。浮かれていたらダメなんだということも含めて選手たちは感じてくれると思うし、そんなに簡単ではないことを理解できたこと、それが収穫だったと思っている。


感想

選手個々のクオリティで足りないと感じた部分については選手自身が責任を感じ、実力不足を受け止めていることがよくわかった。
また、日本は選手層全体で言えばアジアNo.1のスカッドではあるが韓国ソン・フンミン、キム・ミンジェといった突出したメガクラスの選手はまだいないということなんだろう。それは冨安が指摘している、「良くないときすら、それすら帳消しにしてしまうクオリティー、能力。前の選手も含めて、超越した選手」という存在。
一方、町田・渡辺というCBで海外クラブ在籍者ですら信頼を勝ち取れない、怪我を抱えた板倉をファーストチョイスとして優先されてしまうのは厳しい。2000~2010年代においては海外でプレーするCBなんてほとんどおらず、それだけで代表スタメン確定だったが…。

この大会における選手層は日本が一位。しかし、この大会にかける熱量はそうではない。最下位とは言わないが熱量は他国に比べ相当低い。それは国民側の注目度もそうだし、選手編成もそう。どうしても未来への布石や世代交代等を考えてしまう。30代をスタメンに7人も投入してこの大会に全てを懸けていたイランとは違う。

日本もアジアカップで優勝するというモチベーションは十分にあるが、日本以上に他国の方が遥かに本気度が高いためそう簡単に優勝はできないということ。ここは悩ましいがすぐに解決できる問題ではない。選手・スタッフの意識どころか国としての意識を変えるのは時間かかるし、「W杯で結果を出すのが最終目標、アジアカップは通過点に過ぎない」という意識で染まることもある。そしてそれ自体は一概に否定できるものでもない。

自分も決勝まではいくと予想していた。深層心理としてアジアを舐めていたのは事実。

代表監督は今回に限らずW杯の時からそうだったが、いよいよ
・選手達はヨーロッパの最前線で最新の戦術トレンドに染まっている
・監督は海外でのプレー経験や指導経験がなく、選手にクラブでの欧州最新戦術を聞いたりしている
という構図が限界になってきた。
選手に聞くという姿勢は、「国内オンリーの経歴なのに選手達へ上から時代遅れ戦術を押し付ける」より100倍マシだが、歪なのは確か。
これはもう長谷部らベテラン勢がキャリア引退後に日本代表監督就任まで待つしかない状況か。
予算的に海外のトップ監督を呼ぶことは今の日本で不可能。監督に年俸数十億円は絶対に払えない。また、1億2億程度の二流外国人監督を呼んでも意味がないし国内に還元されない(韓国でボロクソに叩かれているクリンスマンの構図)。
そうなると消去法で森保監督となるのは理解している。


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