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愛しい息子と。。。Ⅵ

引越ついでに、終活を兼ねた断捨離を始めた母である。

別々に暮らすことを決めて自ずと問題になってくるのは、息子の幼稚園や小学校の時の制作物や、中高時代の合格通知やPTA会報や論集等をどうするかである。

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しかし、息子はリモートワークで毎日家にいるのに、仕事しているかネットの向こうの相手と話をしているかゲームに熱中しているかで、私とサシで対話する時間をあまり作ってくれない。
母が相談したい事があっても、いちいち無理をお願いして時間を取ってもらうしかないという、なんだかなぁの毎日なのである。

母とて今は週5日フルタイムの派遣なので時間に余裕があるわけではなく、日々主婦として家事をこなしながら、その貴重な休日に相談するわけで、そうそう息子に合わせられないからだんだんイラついてくる。
そんな母に手を焼いたのか、息子がおもむろに話かけてきた。

『母上、私が引越をしようと思った理由は、リモートで毎日家に居るようになって仕事するのも寝るのも同じ部屋だから、仕事部屋としてもうひと部屋欲しかったからであって、母上と別々に暮らそうなんてハナから考えちゃいなかったんだよ』
『えっ、 それ、どういうこと』
『母上がここを出て行くならひと部屋空くから、私はココに残るよ』
『そういうことか。。。』

正直驚いてしまったが、落ち着いて考えると、この部屋に不満が無いのなら、それがいちばんいい。
息子は引越費用がかからず、母が自分の持ちたい物だけを持って小さな引越をすればいいんだから。

実は、母はもう、このマンションに住むのは嫌になっている。
母がココを出たい理由は、いたって単純だ。
息子と同じ年齢(30歳)のこのマンションは、風呂の沸かし直しが出来ないから、毎日お湯を新しくしているとガス代が莫大になる。
平日はシャワーだけで済ませているので仕事疲れが取れないし、劣化の為かお湯を使っている時に急に水になってしまったりするのでイラつくからだ。
掃除洗濯ご飯炊きと、週1とはいえ風呂を洗うのも、ほぼ母だけがやっているんだから、息子に不満が溜まるこたぁないだろうよ。

しかし、息子の引越したい理由をちゃんと確認していなかったのは、母の落ち度である。

19歳で過保護な両親から離れたくて実家を飛び出したものの、25歳であっさり結婚し、35歳で産んだ息子と54歳で婚家を出て、65歳で息子の家を出る。
野良猫のように自由に生きたがる母を理解してくれている息子だが、心配してくれているからか、借金まみれになって戻って来られると困るからか『出る前に少しでも借金を減らせ』と言う。
そう言われても、年金の受給額だけで息子の扶養枠から外れることが判明し、国民健康保険税も住民税も介護保険料も所得税も全部母が払うと、かなり頑張らないと死ぬまで借金返済をすることになっちまいそうだし。。。

何が一番いい方法なのかはわからないが、結婚と同時に中古マンションを購入し、新築マンションから新築戸建てへと、2度も買替えしてきた母は、『2か所で賃貸料を払うのは勿体無いから、私がひとりで住むワンルームマンションを購入してよ。私が家賃として払う金額を、ローン返済に回せばいいんだから』と提案した。

引越予定は1年後。
引越先は出来るだけ近い場所。
仕事を頑張って、可能な限り借金を減らす。
断捨離を完了する。

はてさて、どうなることやら。。。<(*´ω`*)>


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