熱狂の記憶
突然だけど、ぼくはスポーツを観るのが好きだ。
とくに好きなのはサッカーや野球。前者は海外サッカーがとくに好きで、イギリスのプレミアリーグをよく見ている。野球に関してはリアルタイムで観ているわけではないけれど、ペナントレースの結果は追っているし、日本シリーズやオリンピックは全試合観た。
そんな自分が最近いちばん興奮したのが、野球の世界大会であるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)だ。今大会は日本のチームにいる選手だけでなく、アメリカで活躍するメジャーリーガーも数多くチームに加わった。そのなかでも一際輝きを放っていたのが、大谷翔平。
今や日本人で知らない人はいないんじゃないかというくらいの選手で、投手と打者、両方がトップクラスな、いわば生きる伝説だ。正直、同じ時代に生きて、活躍する姿をリアルタイムで観れていることは、幸せなことだとさえ思う。
前置きが長くなってしまったけれど、WBCで一番驚き、感嘆したのが、大会中のベンチ内などの様子をカメラに収めたドキュメンタリー『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』を観たとき。
準決勝のメキシコ戦。相手にリードされた状態で迎えた8回あたりに、ベンチで笑顔を浮かべながら味方を鼓舞する大谷が映し出されている。
負ければそこで敗退。しかも攻撃のチャンスはあと2回しかない。そのピンチもたのしんでいるように笑う大谷。「準備して!準備して!いくよー!」と味方を鼓舞しながらベンチを歩く。その姿を見て、大谷は本当に野球の神様に愛された人なのだと思った。
その試合では、9回に大谷の二塁打からはじまり、見事サヨナラ勝ちを収めて決勝に進んでいる。ピンチもパワーに変えて、自ら活路を開く。この人はどこまでかっこいい男なんだ…と、心底驚いた。
ピンチのとき、ネガティブな感情を、どうポジティブな力に変えるか。このことを、大谷選手を見て考えさせられた。ピンチのときほど、「おちつけ、たのしめ」と思うようにと心がけているけれど、なかなか現実はそうもいかない。
でも同じ現実では、とんでもない大舞台でそれを自然とやってのける人がいる。こういうシーンが見れるから、スポーツ観戦はやめられない。生きる勇気をもらえる、と言ってしまうと安っぽく聞こえるけれど、本当にそうなのだ。
生きているといろんなピンチに出会うし、そのたびに先が見えなくなる。そんなときにどう振舞えるか。それを示してくれる存在は、近くでも遠くでも、必ずいると思う。
自分もピンチに陥ったとき、笑って仲間を鼓舞できるような、そんな存在でありたい。
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