見出し画像

ねえちゃんを生かしてくれて、ありがとう

母が亡くなったのは、もう数年前のこと。亡くなった後、わたしは特にメンタルがやられて。その後に起こった出来事も、最悪へ転がり。心はドン底へ落ちてしまいました。

そんなわたしを救ったのは、父と弟二人でした。

それまでは3人を、どっか侮ってたんです。ねえちゃんの方がしっかりしてんねん。もう、みんなわたしに付いておいで。そんな風に、3人を引き連れてるような心持ちでいました。

実は違ってた。3人が3人とも、わたしを立ててくれた。負けたフリをしてくれてたのです。

気づいたのは、わたしがボロボロになったとき。自分じゃどうにも心の整理がつかなくて。3人へ変わるがわる連絡してました。

みんな優しかった。甘くやさしいだけじゃなく、やっぱそこは家族なので、厳しいことも、ときには叱られも、呆れられもしたけど。最後まで根気強く、聞いてくれた。電話口で泣くような、どうしようもない私の話に、耳を傾けてくれました。

三者三様に出てくる言葉に、社会の中でもみくちゃになって。そして立ち上がってきたんだな。そんな片鱗を感じることが、しばしばあって。大きな背中でした。

そんな3人へずっと言いたかったこと。
ねえちゃんを生かしてくれて、ありがとう。

今だって言えないわけじゃない。むしろ未来のどっかで言えたりもする。でも言うにしたら、少々照れくさい。自分の心の中へそっとしまっときたい、セリフです。

あなた達3人がいなきゃ、ねえちゃんは相当ピンチだったよ。ヤバイなんてもんじゃなかったよ。当時を振り返っても、ひしひし思います。

3人それぞれに、「亡くなった母さんに代わり、自分が聞くんだ」と思いを胸に秘めてたそう。だから、あんなにも聞いてくれたらしくて。母さんが残した、スペシャル仕様だったのかもしれません。

いつかの未来に、わたしは3人へ言うのかな。言わずともいっかな。家族割引ってことで、言わんでもいいような。元気になった今となっては、恥ずかしい気持ちが先に立ちます。

急にモゴモゴと口ごもる、わたしなのでした。

では また

#あの日言えなかった言葉
#書く部のお題で書いてみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?