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この本を読んだとき、大人の仲間入りが出来たと思った

家の本棚には、ずらっと司馬遼太郎さんの本が並んでました。父および父方の祖父が、好んで読んでた作家さんなのです。

荘厳で圧巻な風景だったなー。容易くは立ち入れず、物々しい感じと言いましょうか。子どものわたしは、ジーっとにらめっこしちゃえる、本の背表紙たち。

母は嫁いで来たとき、この本棚に憧れたそう。今で言うところの、賢さの塊に思えたらしくて。母自身は、本をさほど読んでこなかった人生だったみたい。だからなんだろうな。図書館でいっぱいの本を借りてきては、私たち兄弟3人へせっせと読ませました。

「本を読みなさい。知識の引き出しが多いほど、いざという時にきっと役立つから」
「無い引き出しはどうにもならない。でもたくさんあれば選べるんだからね」
母が私たちへよく言い聞かせてたことです。

そんなこんなで、作戦は成功します。わたしはたくさんの本を読み、言葉を蓄えることが出来ました、そしてついに、「竜馬がゆく」を完全読破します。確か中2の春のこと。

読めたことがとっても誇らしかったなあ。わたしの父はのんびりした優しい人で、当時はむちゃくちゃ仕事が忙しく、あまり接点もないほどだったけど、「そうか、そうか」と喜んでくれて。そうだよ、あなたの娘はあの「司馬遼太郎」を読むほどに成長したんだよ。わたしは得意げ。

周りの反応がすこぶる良かったのもあったし、何より内容の深さにのめり込んで、その後も家にあった他の作品たちを読んでいきました。

時はずいぶん経ち、大人になったわたしは、ある日「坂の上の雲」を手にとったのです。

全然読めなかった。まとまった時間を取れないから、というのもあるんだろうけど。あの頃のように内容へどハマりして、食らいつくように読む勢いが、どっかへ行ってた。ちょっぴりショックだったなあ。こりゃイカンと焦りました。

司馬遼太郎さんの著書たちには、その本の内容以上に、わたしの家の歴史も一緒に刻まれています。古くは父が幼い頃に見た、祖父が本を読む姿に始まり、そして父が読む姿を見た、わたしに繋がってる。

さあ、中学生の頃の自分に負けてられません。どっかでまた、坂の上の雲を読もう。わたしは思ってるのでした。

では また

#書く部のお題で書いてみた
#本好きになったきっかけ 、あなたの始まりの一冊

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