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空回りの夢殿

ドラムって、好きだから叩きたいという気持ちと、叩かされるのが気に食わないから極力叩きたくないという両方の気持ちが自分の中にあり、そのどちらもが自分にとってすごく重要なものになっていると思う。ドラムだけじゃなくて音楽全般に言えることだけど。もしかしたらあらゆる物事に言えることかもしれないけど、そこは一旦置いておこう。なんていうか、理性を保ちつつ音楽をやるのってすごく難しいことだと思うんだけど、自分の中にある好きっていう気持ちというかある種の興奮は特定の対象に向かって負の引力を発揮するわけよね。負というのは単に正の反対ということで、だからこの場合は引かれる力という意味で。だから、これに抗わなきゃいけないんだと僕は思う。この、好きの対象が持つ正の引力により自分の中に生じた好きという負の引力と同じだけの反-負の引力を自分自身が持てた時、好きの対象とちょうどいい距離感が保てると思う。この、自分の中に同時に生じた負の引力と反-負の引力とが程よく拮抗している時、そこにグルーヴが生じるのではないか。これは多分ドラムだけじゃなくて全てにおいてそうだと思うんだけど、現場力と支配力っていうのは常に同時に等量で働いていなきゃならないと思う。現場力だけでやっていても支配力に従ったものは出来上がらないし、支配力だけでは実際に目の前で活動する力がない。岡本太郎が爆発と表現したのは、この際無目的というのはつまり引力同士が拮抗して、そこに焦点が生じていることを意味していたのではないか。などということを、引っ越し作業の合間にぼーっとしながら思った。たまには手書きでもザーッと何か文章を書こうかな。

と、いうわけで引っ越し先にワープしてきました。遂に来た。ここからまた荷解きして、不要になったものを手放し、必要なものを揃えて新しい暮らしを探っていくわけで、ともかく人生の新章に突入したという感じがする。『旅する人間と神』だな。引っ越し業者が荷物を持って到着するまで、束の間の休息だ。無いものに目を向けるのではなく、あるものに目を向ける、その中で、無いことを楽しむというね。それが清濁併せ持つということだ。

久々に和室で寝転がっている。眠ってしまいそうだ。一眠りしようかな。でも、そろそろ着く頃かな。少しくらいだったら、目を瞑っていても大丈夫だろう。扉を開け放つと風がよく通る。気持ちがいいな。ここに引っ越してきてよかった。

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