フリーライターはビジネス書を読まない(2)
私がパソコン通信をはじめたのは、1988年だったと記憶している。今はデスクトップのパソコンが、本体だけなら数万円で手に入るようになっているが、当時は数十万円もする高価な買い物だった。
安月給のサラリーマンだった私には手が出ないシロモノなので、ワープロを使うことにした。
当時はまだ画像をアップしたりダウンロードしたりできず、文字だけの世界だったからワープロでも機能的には充分だった。
モデムに接続するコネクタのあるワープロとモデム、それとニフティサーブのイントロパックを買って、とりあえずパソコン通信にアクセスする必要最小限の機材をそろえた。
ワープロはプリンタを搭載していないノートタイプが、それでも5万円台だったか。
ニフティサーブのイントロパックというのは、ニフティサーブに会員登録するためのIDと初期パスワード、アクセスするためのガイドブックがパッケージになったもので、たしか10時間分のアクセス料金がサービスで付いていた。
そういうわけで私はパソコンより先にワープロから入ったわけだが、これがJIS配列のキーボードデビューでもあった。
主題から外れるので細かいことは省略するけれど、キーボードに慣れるまで1カ月はかかったと思う。
慣れないうちは、1行40文字を打つのに30分ほどかかった。だからニフティサーブにアクセスしても、投稿なんてできやしない。当時のネット用語で「ROM」といって、もっぱら他人の投稿を読むだけだった。
ROMとは、Read Only Memoryの略で、要するに「読むだけ」を意味している。
やがて慣れてくると、私は「フォーラム」というグループに参加した。グループのシステム全体のことをフォーラムといい、その中にライターやデザイナーの集まりがあった。
当時はサラリーマンをやっていたが、近い将来に文章を書く仕事につきたいと考え始めていた私は、そのグループに参加させてもらって、すでに出版業界で活躍している先輩ライターの方々との交流が始まったのである。
つづく
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