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村上春樹の『村上朝日堂』(安西水丸・画)を読んだ感想

1.村上春樹氏は皆さんが想像しているほど厳格な方ではない

 今日は読んだ本の感想を書きたいと思います。
それは村上春樹・著/安西水丸・画の『村上朝日堂』です。

 これは村上春樹氏の初めてのエッセイ本のようなものです。
これは日刊アルバイトニュースに安西水丸氏が挿絵を付け加えて連載していたものをまとめて、それにお互いの対談などを加えて一冊に仕上げたものです。

 もちろんこの後も多くのエッセイ本を書かれているんですが、これが一番最初に書かれたもので、それも大人気作家になる前に書かれたものです。
この『村上朝日堂』のシリーズは何作も出てくるんですが、本当に村上春樹氏の素朴な人柄が出ていて好きです。
特にまだ顔も名前も世間一般に知れ渡っていない頃の話なので、まだ日本(東京周辺)をブラブラできる時だったということもあり、東京周辺を気ままに生きているスタイルに、かなり村上春樹氏に親しみを感じられる本です。

実は村上春樹氏の作品の中で彼のエッセイ本が一番好きだったりします。
小説は難解ですが、エッセイに関してはごく普通で、読んでいてとてもリラックスできるので寝る前に読むのに最適です。

読むのは二回目なんですが、面白いですね。
本当に朴訥とした方です。

2.もしかしたら皆さんが思っているイメージはこういうものではないか

これを読んでいただくと、「何て自己管理がしっかりして厳格な方なんだ」なんて思われる方もいるかもしれませんが、実際は今も穏やかな方です。
最近ラジオにも何回か出てらっしゃっていて、聞いていましたが話し方もごく普通というか、明かにサラリーマン生活を送っている方ではないなというのが分ります。
逆にフリーランスの方のようにガツガツしているわけでも無いです。

生活スタイルはしっかりしていますが、それ以外では人生を楽しんでいる方ではないかと私は思っています。
時々、神宮球場に現れているという噂を聞いたこともあります。

3.実は村上春樹氏には大きな転換点があった

 私はその頃の実状がどうだったのかは詳しく知らないので、人伝に聞いた話なので正確かどうかはありませんが、村上春樹氏にある大きな出来事がありました。

長編小説の『ノルウェイの森』が大ヒットして、初めて大人気作家になった時です。

これが売れた時に、初めて様々な評論家や文壇の方からかなりの批判が上がったそうです。
この事があまりに本人にも精神的に辛かったらしく、日本をしばらく離れるきっかけとなってしまいました。
具体的なことは書いていませんが、エッセイにそのことがチラッと書かれていました。

3.その事が作品にも少なからず影響を与えた

 私にはその違いがあまりよくは分からないんですが、評論家の方が読むと、小説の質が変わったそうです。
作品に重厚さが出てきたらしんですけど、それは本人が望んで変えたのか、またはその出来事によって精神に深く影響があったせいかもしれません。

ただ本質的なもの、彼自身というものが全く変わったり性質まで変わったようには、少なくともエッセイを読んでいる限りでは分かりません。
元々そんな事を嘆いて逆に周りを批判するような方ではないので、表面的には表さないだけなのかもしれませんが、表舞台には一切そんな事を表しません。
あくまで自由人として生きていきたいという意識が垣間見えます。

4.日本にも帰ってくるようになったので嬉しい

 ファンの方と交流するようになったり、ラジオにも出演したりと今は積極的に表舞台に出てきています。
それも日本で活動してもらえるのは嬉しいです。

本当は英語でも彼の作品を読んでみたいんですけどね。
いつまでそうしていたのか(今でも?)、本を書く時、まず英語で書いてから日本語に翻訳して原稿を出していたそうです。
なので英語で書かれた彼の文章が読めるようになったら嬉しいなと思っています。

5.村上春樹が好きな男性は女性にモテないという都市伝説がある

 村上春樹氏が好きな男性は大勢いるのでどうなのかは分かりませんが、少なくとも私の場合は当てはまります。
そもそもモテる人は一部の人だけだと思っているのでそんなに気にしていませんが(もちろん強がりです)。

6.最後に

 2で紹介したような記事を読まれた方、というかその記事を書かれた方は全く誤解していると思うんですが、別に自分に厳しく生活しているわけではなく、ただ単に彼が書く上で一番良い方法だと思える習慣がそうな訳であって、もしそのスタイルが合わなくなってきたらすぐに変えると思います。
なので文豪になる、または社会的に成功したいと思っていらっしゃる方は、上記のような厳格な生活を真似するのではなく、自分のスタイルを作った方が断然自分に合っていると思います。
習慣に縛られたら、何のための習慣か分からなくなると思います。

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