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◆遠吠えコラム・大河ドラマ「どうする家康・第5話『瀬名奪還作戦』」・「諜報、潜入、人質奪還失敗、泥臭い忍者像」

 毎度、更新が遅くなりましてすみません。仕事めっちゃ忙しい。今回も例のごとく大河ドラマ「どうする家康」について書いていきます。ただ、筆者自身が戦国時代のことにあまり詳しくないからか、ドラマのつくりがあまりにもわかりやすく、余白がないせいか、あんまり語りごたえがないと感じつつあります。特に第5話は正直全然面白くなかったです。家康の人生はすごくおもしろいはずなのに何故でしょうね。なので今日は箸休め会です。主に服部半蔵のことについて書きました。やや投げやりな遠吠えです。


 織田信長との同盟を結んだ松平元康(演・松本潤)は、駿河・今川家との対決に乗り出します。今川家との決別によって、駿河にいる妻の瀬名(演・有村架純)と息子の竹千代(のちの松平信康)らは「裏切り者の家族」としての汚名を着せられ、今川家内における立場が悪くなってしまいます。最愛の妻子の身を案じる元康は、瀬名の奪還作戦を図ります。


 近年の研究で、瀬名奪還作戦はなかったことが明らかになっていますが、脚本執筆当時はそこまで研究が進んでおらず、従来説を採用したそうです。妻の築山殿と竹千代(後の松平信康)の奪還は、上ノ郷城の戦いで生け捕りにした今川方の武将鵜殿長照との人質交換によって実現されました。鵜殿長照の母は今川義元の妹で、今川家内でも地位が高く、重要視されていたことから、交換に応じたとされています。


 鵜殿長照との戦いでは甲賀衆という忍が活躍したという逸話があります。今回はこの逸話を元に、後の徳川家の懐刀となる初代服部半蔵こと服部正成(演・山田孝之)を登場させ、忍者たちが人質奪還と鵜殿長照の捕縛に一役買うという潤色が施されていました。

 時代劇の忍者は、闇夜に紛れて重要人物を始末したり、不思議な術を使ったり、あとは「水戸黄門」の由美かおるが演じていたくのいち(女忍者)みたいに色仕掛けで情報を集めたりといったテンプレが自分の中にありました。石川五右衛門とか風魔小太郎みたいな強烈な個性が一騎当千の活躍をするという印象も強かった。アニメとかゲームでこの辺りはたくさん登場しますからね。


 一方、「どうする家康」第5話に登場した忍者たちは、複数人で敵地に潜りこんで重要人物に接触し、情報をつかむ諜報活動に長けた職人集団といった感じでした。実際の忍者ってこんな感じだったかもしれませんね。だって、歌舞伎で描かれる石川五右衛門みたいに派手な隈取を施して潜入なんてしたら即射殺でしょ。ましてや戦闘なんて繰り広げたら敵が集まってきます。敵国の貴人の屋敷の使用人などのように、ターゲットの領域に出入りできる立場の人間に変装したり、そういう立場を何らかの方法で獲得して潜り込んだりして、いろんな情報を集めていたのでしょう。情報はやはりいつの時代も大切だったんですね。複数人で行動すれば、情報の量は増えますし、情報の質も上がります。情報を複数人で伝言すれば伝達速度もあがりますね。現代のように通信手段が発達していない時代には、敵国の情報をより多く収集し、いち早く伝達するために彼らの能力はかなり重宝されたのではないでしょうか。


 ただ、ドラマでの服部半蔵は、忍びの技にはたけていない様子でした。実は史実でも初代半蔵の功績は、武人的な側面が色濃いようです。姉川の戦いでは先鋒を務めて一番槍の功名を上げています。三方ヶ原の戦いでは徳川家康の窮地を身を挺して救い、名誉の負傷を遂げています。武田信玄に敗れて浜松城に立てこもった後の見方を鼓舞するために場外へ打って出て敵兵を討ち取り、首を城へ持ち帰っています。こうしてみると、表舞台で結構血の気の多い活躍を見せているみたいです。ドラマの半蔵もここまでの活躍はあまりぱっとしませんでしたが、次回以降の戦できっと本領発揮するのでしょう。
(了)

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