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『日向坂で会いましょう』は拾い上げる、佐々木久美もまた

今回も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。

辞書をめくったように気温がストンと下がり、徐々に色が変わるなどして模様替えが進んでいく今日この頃。何をするにも快適な環境である。現に今進めている執筆がノンストレスで進行している。夏は蒸し暑さがうざったくて気が散るし、寒さをしのがなくてはいけない冬はくるまる布団の中で気が付いたら寝てるし、などの煩わしさは全く感じない。文章を構築する能力の不足さえ目をつぶれば最高の季節が到来している

この苦しみは単にわたしに才能に起因し、この曖昧模糊なブツに多くの人が様々な場面で同じように苦しんでいることだろう。今回の『日向坂で会いましょう』は日向坂メンバーの埋もれた芸術的才能を拾いあげる【芸術の秋!新たな才能発掘バトル!】。開幕早々、企画内容を示唆していたかのようにオードリー・春日とトム・ブラウン・みちおがキャラ命名という才能が試されたところからこの企画はスタートした。

「デッサン」「題付け」「造形」「川柳」、様々な部門で何十万という倍率をくぐり抜けた才媛の二物目を発掘していったのだが、けっきょく印象に残ったのは大喜利佐々木久美の2つだった。

「題付け」という名の大喜利では、文脈ありきの1期生と創作の4期生とのジェネレーションギャップが興味深かった。4期生がデッカイ違和感こと春日の扱い方とそれに対する勇気を持てたようだったのは明るい兆候だった。個人的な気付きとしては、佐々木美玲の大喜利は正解の幅を外れないから派手にスベったりしないことと、日向坂46に”春日で笑うのはセンスない”という共通認識がありそうなことくらいか。ひなあいの大喜利は今回みたいな温度感でダラダラと垂れ流すのが一番楽しい。久しぶりにさ、1時間スペシャルやってさ、若林vs日向坂46のHINAAIグランプリを開催しましょうや。

もうひとつが番組終盤に雰囲気を一変させた佐々木久美のシーン。「川柳」部門にて「お題:悩み」で「27歳という年齢を窮屈に感じる」と自身の悩みを告白した。まっすぐオードリーに訴える目が一切のおふざけなしであることは一目瞭然だった。ここまでのゆるやかな雰囲気を考慮すれば、あの川柳は違和感としてカットにされても仕方ない場面だったと思うのだが、あの真剣なまなざしを放送する選択をした番組の判断にわたしは万雷の拍手を送りたいありがとう

アイドルの平均寿命が年々上昇しているとはいえ、アイドルにとって年齢(またはその数値)とはわたしたちが見ている以上に常にまとわりつく気がかりなのだろう。

佐々木久美は中途半端な年齢に差し掛かり、同年代以外の人とどう接したらいいのかわからずそれが窮屈に感じる、それは彼女の友人もまた感じているそうだ。27歳くらいになるとある程度の社会的常識を身に着けた自立した一人前の社会人で居て当然だ、という自意識が芽生える年頃だろう。特に彼女に関してはグループの最年長、メンバーの見本であるべきという自意識もあることだろう。わたしもそうだった気がする。世間とはある程度隔絶されてる環境にあるだろうアイドルグループに在籍しながらこのような一般的な悩みを抱えていることにもおどろいた

この悩みを聞いた時、かつて佐々木久美が『あちこちオードリー』に出演したときのことを思い出した。あのときオードリーは佐々木久美らメンバーに対して求められたアドバイスするほどでもないと自信のなさを話していた。オードリーと佐々木久美、立場は違えど、まさに今佐々木久美が感じてることとまったく同じ悩みである。そのとき彼女は「自分が大御所の域に行きつつあることを自覚してほしい」「最後は自覚」とエールを送った

「早く30歳になりたい」と願ってるのは、完全に一人前であるという自覚を年齢によって得たいのだろう。30歳とは成人後に迎えるはじめての節目で、27歳とはそれに向かってカウントダウンが始まっている。28、29と数字が上がるにつれて、階段を一歩ずつ上がるように一個人として試されてる気がしてた。いち小市民以上に責任ある立場にある彼女の窮屈さは想像してもしきれない。

そんなこんなで、来年には「キャプテン30歳おめでとう回」が仮決定したところで今回の企画は終了した。そのときには彼女の悩みも解消されると良いな。

今回は才能がろ過したコントラスによって「真面目に楽しく」が詰まった回になったとおもう。個人的にはすごくお気に入りの回になった。

坂道グループではいまだかつて30歳までグループに在籍したメンバーはいないはずなので、もし達成すれば史上初となる※。(10/19追記:乃木坂46に在籍してた新内眞衣さんが30歳と3週で卒業されていました。)個人的な願いをいうならば、本当の30歳になるまで佐々木久美にはいてほしい。

おしまい。

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