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八月のきらめきにあてられた長く短い1日/TOKYO IDOL FESTIVAL2023 3日目 感想

8月6日 日曜日にTOKYO IDOL FESTIVAL(通称:TIF)に行ってきた。音楽フェスに行ったことないし、夏真っ盛りのクソ暑い時期ということもあって、興味はあったけど見送りつづけてきたイベントだった。そんな折、lyrical schoolのファンである友人に誘われ、脊髄反射的チケット購入という思考停止ムーブを決めこむことに成功し、はれて参加する運びとなった。

本稿はわたしが見た各グループの簡単な感想とともに、否応なしに開放感を照りつける8月の日差しと彩り豊かで美しいアイドルたちのきらめきにあてられた長く短い1日を記してゆく。ぜひお付き合いください。


入場

HOT STAGE(TIFでいちばん大きい会場、キャパ5000人)朝いちばんのDIALOGUE+を目指して、会場へはりんかい線~オタクのごった煮~で10時頃到着。友人・なべわたと合流し、HOT STAGEの待機列へ。長く伸びて折り返した隊列に目を見やると、≠ME、=LOVE、日向坂46、=LOVE、=LOVE、日向坂46……朝10時だってのに夕方に登壇するアイドルのファンばかり。どおりで面構えが違うわけだ。DIALOGUE+のファンは100人目くらいにいた。健気にみえてかわいかった。

とかなんとかしてる間に入場開始。幸運にも前列から2ブロック目(ステージから15mほど)に入場することができた。長い1日のはじまりはじまり。

DIALOGUE+

単独ライブでは何回も見ていたけど、フェスに出るみんなを見るのは初めてだった。夕方に向けて場所取りするアイドルファンにもめがけて、アニメタイアップに絞った曲目を披露し、ファンとしてはバラエティ豊かなDIALOGUE+の自己紹介には申し分ないステージだったとおもう。音源がいまいちハマらなかった『にゃんぼりーdeモッフィー!!』は、ライブで聴いたら存外悪くなくライブで楽しく踊る曲なんだということがわかった

フェスだからなのか少々掛かり気味で、必死なみんなは久しぶりに見た。いつもわんぱくな村上まなつが顔を真っ赤っかにしながらわんぱくしてた。推し・稗田寧々のバチ決めした表情がカメラに抜かれて思わず声がでた。隣でなべわたが笑ってた

朝いちばんの爽快なスタートダッシュを決めたあと、わたしをTIFに誘ってくれたlyrical schoolのファンである友人・ナーミンとその友人・アン(初対面)と合流。4人でHEAT STAGE(Zepp DiverCity)に移動した。

いぎなり東北産

アイドル歌会で律月ひかるの句に心をつかまれてこのグループの事を知ったのだけど、想像してたより背が高くてびっくりしました。

曲は『うぢらとおめだづ』とかをちょこちょこ聞いてて、ももクロ系譜のフェスっぽいノリノリなグループというイメージだったんだけど、開演から少し遅れて到着したその扉からは重低音が漏れ聞こえている。ステージに目をやると、ダンサブルなナンバーをバキバキに踊るいぎなり東北産がそこにいた。聞いてたのと違う。めっちゃカッコよくて思わずアンと目を見合わせちゃった。『わざとあざとエキスパート』も良かったな。

lyrical schoolのステージまではまだ時間があったので、そのまま次のグループをみることにした。

FRUITS ZIPPER

名前も顔も初めて見る。アン曰く”今一番可愛いアイドル”がいるそうで、櫻井優衣というらしい。けっこうスタンダードなアイドルをやってて、”可愛い”というより”キュート”って感じだった。「わたしの一番かわいいところに気づいてよ~」って歌ってる人ということを知った。

そろそろ目当てのlyrical schoolのステージの時間が近づいてきたので、湾岸スタジオ屋上にあるとてもグッドシチュエーションだというSKY STAGEに向かったのだが、エレベーター2台のみという極悪アクセスによって滞留した肉壁に行く手を阻まれ、ギリギリまで粘るも間に合わず断念。代わりに近くにあるSMILE GARDEN(広場につくられたステージ、個人的にフェスといえばこんな感じという会場)のステージに登壇するアイドルを見ることにした。

真っ白なキャンパス

印象に残ってるライブのひとつである。基調の白色に青色でアクセントをつけた清楚なルックスにメンバーカラーの裏地をほどこしてある衣装がとても素敵だった。ザ・清楚系アイドルといった様子。しかし、今なおわたしの心象に残っているのはステージではなく、その一段下の方、アイドルファンである。彼らは人生の大事な何かを投げ捨てた人間にしか出せない声で懸命にMIXを打ち、ステージのアイドルに向きあっていた。MIXとは簡単に説明すると「タイガー、サイバー、ファイバー、ジャージャー」などと叫ぶアレだ。畏怖すら感じるほど鬼気迫るMIXを目の当たりにしたわたしは堪えてないと涙が出てしまいそうなくらい感銘をうけていた

音楽ライブにおいて音楽を聴くことの比重が多いわたしにとって、音楽に被る声援は正直言ってジャマでしかない(現に真っ白のキャンパスの楽曲については1小節も覚えていない)。なのでふだんライブに行って声援をとばすにしても極力歌には被らないように注意を払っている。

アイドルになり得ない側の人間にとって、全力を尽くしてパフォーマンスするアイドルに最大出力を尽くして応答する行為こそ正義であり、彼らはそうすることでしか”応援”を実感することができない生き物なんだ、そうわたしの目に映った

TIFでは3日間を通してアイドル総選挙というものが行われる。1、2日目に予備選挙を行い、獲得票数上位3グループがHOT STAGEのグランドフィナーレにてパフォーマンスし、それを踏まえた上で本選挙を行う。栄えある1位に輝いたグループには賞品としてフジテレビ地上波での「冠特番」出演権が与えられる

この日いたるところでAppare!!のファンが投票を呼びかけていた。去年のリベンジに燃えるその声は嘘偽りなく真摯であった。

MIXだって、選挙運動しても、note執筆であっても、赤の他人に過剰なまでの奉仕をするファンの行動はアイドルに自身を重ねたファンのエゴと言われてしまえば、確かにそうだ。だが、アイドルだってエゴである

アイドルとファン、双方のエゴが絶えず衝突することで生み出される流体が、明確な定義をゆるさないアイドル文化の正体である。TIFに行って、たくさんのアイドル、たくさんのファンの生き様の一端にふれて、わたしはそう思い知らされた。

NANIMONO

TIFから約1週間経っていちばんハマってる。

lyrical schoolのリベンジに燃えるわたしたちは、早めにHEAT STAGEに入りそのときを待つことにした。そのときに出会ったのがNANIMONOで、柊真ミフユに一目惚れしてしまった

青髪にピンクのインナーカラーが綺麗なツインテールを乱し、小さな顔からゆらりと伸びた陶器のように白いからだはひと際存在感を放っていた。身長が170cmあるそうだ。人間とは思えぬキャラクターデザイン。とにかく”””ビジュが良い”””

楽曲のほうは、陰キャをレペゼンするダウナーな歌詞をトランスミュージックに練り込んでいて、かつて熱中したでんぱ組.incを思い出した。どっちかというと根明なほうなので「共感できねえ~~~」とは思いつつ根明らしくノリノリで楽しんだ。陰キャが外界でたたかうために纏うバトルドレスは発色が良くバーコード模様がかわいくて、みんなゲームの主人公みたいだった。

アーカイブを一通り聞いたが『JELLY FISH』がいちばん気に入った。いつかライブで見たい。ライブを見たい。

yosugala

お次はこのグループ。モーニング娘。、AKB48、μ‘s…インフレを起こしたアイドルグループのメンバー数。ステージに現れたのは3人の女の子だった。個人のスキルが高いのだろう、3人でも全然見劣りしなかったし楽曲も個人の強度ありきでつくられてる感じで、このグループはパフォーマンスに自信をもって立ってるんだなとおもった。あとあと調べたら、本当は4人組なのだが、初めてのTIFの直前で体調不良になってしまったそうだ。来年は4人で出られるといいね。

lyrical school

おまちかねだ。入れ替えのたびにすこしづつ前に寄っていき、2列目を確保できた。

個人的にHIPHOPのライブはガイドボーカルの上で飛び跳ねてるイメージが強く(R-指定のせい)、わざわざライブ行って聴くほどでもないなとおもってたんだけど楽しかった。スチャダラパー系統の渋谷系はふだん聞かないジャンルのラップなのであまりうまく説明できないが、ルーズにステージを練り歩き、ひとりひとりがラップしていくステージングはそれぞれがそれぞれにカッコよかった。

2列目で思う存分リリスクを堪能したナーミンは大興奮でニコニコしてた。

≠ME、=LOVE

申し訳ないがこの2組を一緒にタイトルさせてもらう。ちっともステージが見えなかったからあまり記憶に止まらなかった。おじさん化の初期症状【知らないアイドルの顔が全員同じに見える】も相まって、踊り狂うファンの隙間から可愛い子、ペンライトを振り狂うファンの隙間に可愛い子、ってな具合に垣間見するだけで精一杯だった。ファンの熱量がとてつもなく高かったのを覚えている。振りコピしてた彼、後ろを向く振りも完コピした君が媒介してくれたおかげで間接笑顔をもらえうことができた。ありがとう。

日向坂46

さあさあ、お待ちかね。わたしが日向坂46のライブを見るのはこれで2回目。日向坂46のライブパフォーマンスがわたしの求めるものとはちょっと違うので、東京ドームライブを見てからはいまいち食指がうごかずにいた。このTIFでは4期生も参加する様子だし、もちろん新曲『Am I ready?』もやるんだろう。さあTIFの大トリで何を見せてくれるんだい、などと最後列で高瀬愛奈の推しメンタオルを首からかけて待ち構えていた

音源ではわりと好感触だった『Am I ready?』は、ライブ音響で聴くと心地いいリズムが身体打って進行していくので曲中ずっと楽しい気持ちでいさせてくれる。適正音域よりちょい高めな歌声もあまり違和感なく聞けた。やっぱり『ドレミソラシド』『誰よりも高く跳べ』はライブで聴くとアガっちゃう。東京ドームで聴けなかった『キツネ』をやったのはうれしかったな。「コンコンコンコンコーン!!!」でこの日一番の声が出た

イントロで毎回ダンスがアレンジされる『誰よりも高く跳べ』では、相変わらずステージが見えないもんだからアンと一緒にカスカスダンスを踊った。あれはゴキゲンだったな。日向坂陣営はライブアンセムをいつまでも『キツネ』や『誰とべ』に頼ってないで新しい定番曲をつくってくれ

おわりに

すべてのプログラムを終えて、東京テレポート駅まで今日あったことをみんなで振り返りながら歩いた。何時間ぶりに座った座席に溶けこんでしまいそうな心地よい疲労感を全身に感じながら帰宅した。

帰宅後はアイドル見てバイブスが高まっていたせいで、くったくたに疲れて今すぐにでも布団に倒れ込みたいところを踏みとどまり、普段まったくしない化粧水をびしゃびしゃに浸したコットンでパックをする美意識の高さをみせた。1日中太陽光に焼かれた肌を冷却してビタミンCを叩き込んでから寝たおかげか、次の日は日焼けでひりひりすることも乾燥することもなく症状は落ち着いていた。アイドルは人生を変える

長くなってしまったが、わたしのはじめてのTIF、ライブフェスは楽しく充実した忘れられない1日となった。また機会があったら行きたいとおもう。

おしまい。

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