『3年目のデビュー』感想。

日向坂46ドキュメンタリー映画『3年目のデビュー』を見てきた。
内容に触れながら感想を書いていくので、まだ観ていない方は観終わってから読むことをおススメする。

いやあ面白かった。
映画を観終わって「日向坂46の魅力とはなにか」、その答えが出たような気がした。
この話は後ほど深めておくとして、まずは1期生の話をしたい。

やっぱり1期生は偉大だった。
長濱ねるさんだけのけやき坂46の追加メンバーとして集められて、アンダーグループという出発。傍からみたら、長濱ねるとその他に見えても仕方がないと思う。
ダンスレッスンに行っても見てるだけの日があったり、ファンに存在をアピールできる唯一の手段であるパフォーマンスのチャンスが少ない状況。そのチャンスでさえものにできてない結果を象徴するようなガラガラの握手会
欅坂46の代役を務め、見事成功させた武道館3days公演

いつ終わってもおかしくない状況で、彼女たちは初めに居場所を守らなくてはいけなかった。常になにかに追われ、逃したら次はないというプレッシャーの中、1期生は戦ってたことが当時を語る声や瞳から感じ取れた。
場所を守る課題をの中でもがき続けた結果、不遇という敵に団結することで活路を見出した。彼女たちのこの功績はその後、後輩たちへ脈々と受け継がれていくことになる。

1期生と2期生の関係性がいいんだよな。
1期は2期の能力を、2期は1期の功績を、それぞれお互いにリスペクトしてるところがすごくいい関係で好きなんだよ。
どこかで見られるかなと期待してたんだけど、東村さんと金村さんがふにゃふにゃ散歩してるシーンだけだった。あれはよかった。なんか面白かった。


インタビューでメンバーについて答える場面も印象的だった。誰かが困っていたら助けの手を差し伸べ、辛そうにしていたらすかさず寄り添う。自分が助けられていると全員がおもっているから、それを返そうという姿勢がインタビューから伝わってくる。
日向坂46の武器と呼べるほど強大になった団結力はこうしてできあがっていったんだと考えさせられるインタビューだった。

そして映画が進む中で、この団結力で問題を乗り越えたシーンがたくさん見られた。

その中でも印象的だったのは、上村ひなのさんだ。
たった1人の3期生上村さんは、当時15歳。
ダンスやフォーメーションなど覚えなくてはいけないことがたくさんあり、リハーサルではとても混乱していた様子だった。しかしその苦労を共有できる同期がいない。とても苦しかったと思う。

それでも身体を壊すこともなく頑張ってこられたのは、お姉さんたちが傍にいてくれたからだろう。上村さんの存在はけやき坂46の結晶だ。
全編通して上村さんのシーンがいちばん泣けた。

こうして育った優しさがやがてグループを満たし、『日向坂で会いましょう』で新たに加入したばかりの3期生たちがのびのびと活動する姿は、紛れもなく1期生の功績の賜物だといえよう。

そこで、この団結力が日向坂46の箱推しが多い理由なんだなと気づいた。

まるでみんなが内側を向い見つめ合いながら手を握っているような、メンバー全員が箱を構成している意識がすごく強いことを感じた。その箱船は優しさに溢れ、誰も見捨てることはなく一緒に高みを目指していく。
「日向坂というグループに貢献するために」
かつて居場所を守るために戦いつづけた1期生の精神がいまだに根付いているたたかう意思。そういう部分にわたしは惹かれ、箱推しになっていった。
全員が好きだから箱推しというより、箱が好きだから箱推しといったところだろうか。

集団でなくては自分たちに未来はないと思ってるからこそ、柿崎さんや井口さんの卒業、影山さんや濱岸さんの休業はファンが思っている以上に本人たちにとって重大な出来事だったんだと知った。

そんなグループを代表してセンターに立つ小坂さんも、個人活動が忙しくグループ活動に参加できない間のインタビューでは、その助けを強く感じている様子だった。わたしはそんな彼女見て、けやき坂のマインドを象徴するような存在に感じた。

この映画において『青春の馬』のダンスのシーンはすごく重要な瞬間だったとわたしは確信している。
今まで自分たちの居場所をなんとか守るために活動してきて、改名を経てシングルも3枚出すことができ、心配ごとがひとまず片付いたところで新たな課題が立ちはだかった。

渡邉さんや丹生さん他メンバーが口にしていた「自分たちの目標、役割はなんだろうか」という課題。
デビューを果たしせわしなく動き続ける彼女たちは、理想と現実に乖離が生じていることにどこかで気づき、その認識を全員が共有してたようにみえた。

そうした意味を問い続けもがく中のある日、大きなヒントに出会う。
その瞬間を収めたのが『青春の馬』のダンスのシーン。

『青春の馬』のダンスを見て泣いたということはラジオやブログで知っていた。やがてMVが公開され、わたしもダンスを確認したがいまいち納得できる答えは見つからなかった。
そしてその答えが映画をみてやっとわかった。なんで見つからなかったのか、彼女たちにしかわからない領域だったからだ。

「自分たちがこれから向かうべき道はどこなのか」
決着のつかない問いに答えを出せずにいた中、『青春の馬』のダンスは彼女たちを苦しみから解き放ってくれたんだと思う。

丹生さんの言葉を汲んでみると「人の背中を押せるような存在になることがこれからの日向坂46」というとってもアイドルらしい答えに帰結したことにすごく感動した。
あのシーンによって日向坂46は手を握り空を仰ぎ見るようになった。

『青春の馬』のダンスで好きな人も多いだろう。
濱岸さんを小坂さんが引っ張って連れ出し、一緒に踊る振り付け。
みんなで支え続けたセンターが、ひと時だけグループを離れてたメンバーの手を引っ張って輪の中へ連れて行く。

1人ぼっちのけやき坂46からはじまった物語のすべてが詰め込まれた、本当に素晴らしい瞬間だった。

はじめは観るのを躊躇してしまっていたけど、思いきって観てよかった。
これからも日向坂46を応援していこう。そう思えるドキュメンタリー映画『3年目のデビュー』だった。

おしまい。


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