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さてもなれば『日向坂で会いましょう』は退化を企てる

余談だが、若林が「生肉のままボンと出した方がいい」という話をしてるとき、脳裏に加藤史帆がよぎった。加藤史帆は番組初期からいまだに生肉である

『日向坂で会いましょう』が営むサークルコミュニケーションより

今回も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。

3月の【真剣10代なやみ場】企画にて10代メンバーの悩みを番組で共有した。現在の日向坂46の10代は全員4期生になるので、あの企画で持ち上がった悩みは≒4期生の悩みでもあるといえよう。

この番組関連することで言えば、番組でアドリブを怖がってしまうという藤嶌果歩の相談に対して若林は「生肉のまま出しちゃったほうが(いい)。出してみての番組だから。」と悩める若人にアドバイスを贈った。

発表するにはまだ早いと思われる特技やトークを披露する今回の企画【生肉で何が悪いの?粗イイもの発表会】はタイトルの通り、この言葉から立案されたものであり、悩みを共有してありがたい助言を賜ったところで閉場となった【真剣10代なやみ場】のいわば実践編である。

まず企画タイトルが良かった。彼女たちが怯えていた”おもしろい”から”おかしい”へ段階をひとつ下げ、これまで内に秘めたまま自然消滅してきたアイデアを大義名分の元、「粗くてイイ」という肯定語によって引き出しやすくした。このタイトルによって、生肉で何が悪いの?と開き直って粗いものを発表する会という舞台を十全に用意できた

バラエティに対して腰が引けてる4期生に対してそこまでお膳立てする必要があるのか?甘やかしすぎでは?という声がきこえてきそうだが、この企画は単なる4期生の介助ではない

若林の「何かが生まれそうな気がする」でハッとしたが、そもそも本来『日向坂で会いましょう』はこうだったのだ。そういえばそうだった。『日向坂で会いましょう』は何かが生まれそうな予感がするからおもしろいのだ

思い出してみてほしい。わたしたちの脳裏に今もなお焼き付いてるシーンたちを。富田鈴花は「特技は野球のピッチングです」と名乗りを上げたら加藤史帆が地面にボールを叩きつけたことをぶりっ子選手権や演技力企画で思考回路が焼き焦げてたメンバーの目を。奇跡の産物を挙げたらキリがない。

一か八か、『日向坂で会いましょう』にはやってまえ精神で放った粗いものを良しとし、累々たる瓦礫の中でみつけた原石を企画化するなどして発展を遂げてきた。その向こう見ずな粗さは「日向坂46はバラエティに積極的」と評され、一時期の日向坂46のアイデンティティを支えたり、仕事の獲得につながった。

そしてその経験はやがて選球眼と勝負度胸を養い、番組は洗練された安定的なクオリティを獲得するに至るのだが、今度はその歴史が4期生加入によってジェネレーションギャップとして表面化し、現在に至るという時系列だとわたしは考察している

そこで手を打ったのが今回の企画計画的退化とでも言おうか。当企画はあえて粗いものを披露させることで歴史の再現を図った可能性があると考えた。「アドバイスの実践」「歴史の再現」この2つが今回の企画のテーマだったようにわたしは感じた。

それらを踏まえた上で肝心のメンバーや番組の様子なのだが、みんなすごく良かったしめちゃくちゃおもしろかった。出したそれをどう完成品に近づけるかを試行錯誤していたところはとても良かったし、単純にめちゃくちゃ笑った。やはり人間のしょうがなさをおもしろがって笑うオードリーと”未熟者”は相性がいい。今回大事なのは勝負に勝つことではなく、勝負の場に立つことである。本人たちの挑戦はもちろん企画の効果も相まって、彼女たちは鉄火場で一か八かの勝負を打つことができた

この成功体験を基に4期生をはじめとする奥手なメンバーにはどんどんチャレンジをしていってほしい。あの日あそこにいたメンバーが半年後に最前線で虚勢を張ってたらおもしろいだろうな。そんな未来を想像しながらこのテキストを〆るとしよう。

次回はまさに発見された原石である。佐々木久美三十路お祝い企画でのメンバーモノマネが単体企画として再登場する。どんなモノマネが飛び出すのか、渡辺莉奈につづくモノマネスターは誕生するのか。とても楽しみだ。

おしまい。

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