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化けくんが眠ってから

こんばんは。久しぶりに、ノートを書いてみます。
調舒家には「化けくん」という主人格さんがいました。
彼はオリジナルから割れた一番最初の人格さんで、オリジナルさんが
眠りについてから約十年間表を1人で回していた人です。

色々と自分のことを話さなかったり、かと思えば突拍子もない行動をしたりと
周りからは理解が追いつかないようなマイペースな人でしたが、
絶対に周りの人間も目標も見捨てないような
いい意味でも悪い意味でも頑固な人でした。

そんな彼が眠った2023年12月16日から、約20日が経ちます。
年が明けるときも、年が明けた最初の日も
それからもずっと彼は起きてくれませんでした。
僕らは彼が起きなくなってから、たくさんの理由を考えました。

彼は不思議な人だから、そして自分を表に出さない人だから、
それでも違うものは違うと言える強い人だから、
ただ穏やかで暖かい、神様のような人だから。

色々と探して原因を突き止めようとしたり、内界でもしかしたら
ひょっこり起きてくれるんじゃないかと思いながら探してみたり、
彼が好きそうなことをしてみたり、彼が好きなものを買ってみたり。
だけど、その度にどこか「疲れた」を覚える感情があるたび
僕らはもう薄々と彼が起きてきてくれないことを悟っていきました。

やがて誰も彼の話をしなくなって、みんなが目を伏せて、
彼に「起きてほしい」と言わなくなって。
オリジナルくんは化けくん以外の人格さんのことを知らず
人見知りな部分があり自分の心の
お兄ちゃんがいなくなってしまったからなのか、
一言も喋らなくなり失踪。
管理人さんや勢喜さんが内界を歩き回って探していますが、
化けくんが寝かされている台のある部屋にも
彼の自室にも、彼のお気に入りの花畑にもオリジナルくんの姿は
見当たらなかったそうです。

…正直言って、とても寂しい。
化けくんは本当に、僕らにとって神様みたいな存在でした。
彼は解離をしたことをきっと悔やんでいたし、
彼の矛盾や汚点であろう「人格」の僕たちにそんなそぶり一つ見せず
いつも困った時は助けてくれたりして。
彼はいつも緘黙な人だったから勘違いされやすかったけど、
口を開けば結構お喋りで、お調子者で、でもそれは全て
「優しさ」でできているような人で。
どこまで考えているのか分からないような、
どこを視ているのかわからないような、暖かい人でした。

だから、彼が好きなもの
彼が見ていた動画
彼が読んでいた漫画
彼が作っていたもの
彼が残していったもの
それら全てが愛おしく考えられると同時に、

彼はもう、きっと目を覚ましてくれないんだな…と言う寂しさに襲われます。
人格さんが長く眠ることは珍しいことじゃない。
けど、やっぱり不安で。
もう2度と、このまま起きてくれなかったらどうしよう、って。
別にあの人が親ってわけでもないし、化けくん以外にも
生活を回せる人はいます。
あの人がいないと困るとか、日常生活が回せるとか、そういう不安じゃないんです。

「彼」が抱えていたものが、
彼が背負ってきたものが、
彼が抱きしめてきたものが。

誰にも伝わることなく、彼が伝わったその瞬間を目の当たりにすることなく、
1人でこのまま終わりを迎えてしまうことがとても嫌で、怖いのです。

あの人がいなくなってから、お金の管理やストレスや、体調管理などが
がくんと下がり弱くなり、お風呂で溺れるようになったり、自転車でこけたり、
嫌なことばかりが続きました。どこまでも僕らは化けくんに依存してたんだなぁ、
…きっと、それもばけ君はわかってて尚僕らに笑いかけてくれてたんだなぁ…。
そう思って、とても寂しくなってしまう時が度々あります。
彼は依存が大嫌いだし、自分が昔行ってしまったからこそわかる部分もあって、
色々難しい心の折り合いを1人でなんとか続けて、続けて、続けて…
それで、壊れてしまったのかなって。

今回のきっかけになったのは彼の信頼していた仲間の裏切りだけど、
普段は「あぁそうですか」で終わらせてしまう彼を
ここまでボロボロにしてしまうほど、
あのお仲間さんたちは化けくんに愛されていたんだなあと思うと、
少し羨ましくなってしまったり、嫉妬しちゃってまた自己嫌悪したり。

主人格がいなくなってしまって、
みんな自分を責めているようになって、
みんな自分の名前や「人格」が嫌いだから
Twitterなどでも名前表記をしなくなって…
ほとんどの人格さんが表に出ること(=人格解離しているという事実)を
拒否るようになってから、新しく何人か生活を回すようの人格さんが
保護室から出てきて。先生がそれぞれを励ましたりしているんですが。
なんだかんだ言って、彼のことがそれぞれ大事だったみたいで。

化けくんのためにと出てきた優希さんも、化けくんがいないなら必要ないと
眠りに入ってしまったし。長蛇さんは部屋に篭ったまま出てこないし。
勢喜さんはよくホールにいたり自由に行動してるけど、少し辛そうです。
グアくんも、愛斗くんも、いつの間にかどこかへ消えてしまっていて。
日和ちゃんなんて、七月くらいから見かけないし。
メイちゃんも長く見ていない。

表に出てくるために、誰かに知ってもらうために解離して、
自分が今辛いんだよ、苦しいんだよ、だから休もうって思いを伝えに、
防衛本能が働いて解離したのに、思いが消化されないまま
どこかに消えてしまうことがとても怖いし、とても悲しいです。

僕らはいつだって1人だけど、僕らからしたら僕らは「僕ら」であって
「僕」1人じゃない。僕らにしかわからない、僕らにしか見えない
僕らだけの「いつかの僕ら。」
どうしようもなく誰に理解されるわけでもない、
学校にも真面目にいくことができず
親にも呆れられ怒られ殴られ泣かれて、
それでも尚動くことのできない「どうしようもない僕ら。」

また化けくんの漫画が見たい。
またメイちゃんの歌が聴きたい。
またグアくんのゲームが見たい。
また日和ちゃんの和服姿が見たい。
また愛斗くんの明るい笑顔が見たい。
また優希さんに会いたい。

消えていく人格さんたちは一体どこにいくんでしょう。
消えていく人格さんたちはどうなるんでしょう。
消えていく人格さんたちに、また会いたいと思うのはいけないことでしょうか。
往生際が悪いでしょうか。

失敬。
余計な話をしました。気にしないでください。
僕らにできるのは
いつか、彼らが戻ってきてくれるその日まで彼らを忘れずに表を回すことくらいです。
みんなはどう思いますか。消えていく人格さんたち、少なからずいると思います。
そんな彼らに対して、皆さんはどう思いを持ちますか。
それとも、持たないのが普通なのでしょうか。
何もわからないどうしようもない僕ですが、
こんな僕らですが、
これからもご縁があれば。


調舒家

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