What is TYMDL ? / TYMDL とは?
0. はじめに
TYMDLとは、2006年に建築家・建築理論家の山口隆によって組織された団体で、大阪産業大学 建築・環境デザイン学科の山口研究室(Takashi Yamaguchi Media Design Lab.)の略称になります。これまで学内・学外、また海外の大学と国際的な活動を行ってきました。
そして2021年3月、山口の退職を機に15年問の研究室としての活動は幕を閉じることになります。
これまで大学教育の範囲内で活動を続けてきましたが、研究室としての枠組みが外れた今、”これまで以上にもっとオープンな活動に移行できないか?”そんな問いから有志で組織を再編成し、新体制でTYMDLの活動をスタートさせました。
1. Takashi Yamaguchi Media Design lab.
2006年に建築家・建築理論家の山口隆によって組織され、2021年までの15年間大学の研究室として活動を行ってきました。
"What is architecture? / 建築とは何か?”
その間一貫として、"建築とは何か?”という建築論的な問題意識をもって、建築の本質的な役割とは何かを追求してきました。
TYMDL_history
海外の建築理論書の翻訳・分析、また海外で活躍する著名な建築家・建築理論家・アーティスト等(※1)を招聘しての講演会・シンポジウムを主催することで、様々な角度から建築論のインプットを行います。そして、建築論を基盤に国際コンペティションで作品としてアウトプットし、さらに、卒業設計を通して各々のロジックを確立していく、そんな怒涛の1年間の繰り返しでした。
これまでの活動については、後日改めて詳しい記事で紹介できればと思います。
(※1)これまでに招聘した建築家・建築理論家・アーティスト一覧
2007 Francesco Dal Co / フランチェスコ・ダル・コ
2008 Kenneth Frampton / ケネス・フランプトン
2009 Mark Wigley / マーク・ウィグリー
Preston Scott Cohen / プレストン・スコット・コーエン
Xu Weiguo / シュー・ウェイグゥオ
Beatriz Colomina / ビアトリス・コロミーナ
2010 Nader Tehrani / ナーダ―・テラーニ
Daito Manabe / 真鍋大度
Seiichi Saito / 齋藤精一
2011 Peter Eisenman / ピーター・アイゼンマン
Cynthia Davidson / シンシア・デヴィッドソン
Sanford Kwinter / サンフォード・クウィンター
2012 Achim Menges / アキム・メンゲス
2013 Tom Verebes / トム・ヴェルベス
2014 Amale Andraos / アマール・アンドラオス
2015 David Benjamin / デヴィッド・ベンジャミン
2016 Zaha hadid / ザハ・ハディッド (中止)
2017 Paul DeMarinis / ポール・デマリニス
2018 Frederic Levrat / フレデリック・レブラット
2019 Patrik Schumacher / パトリック・シューマッハ (延期 / 開催未定)
2. TYMDL
山口に代わり、共に山口研究室の卒業生である中前・岡江の2名がパートナーとなり、組織の再編成を行い、2021年より新体制での活動をスタートさせました。
"オイディプス・コンプレックス / 父殺し"
オイディプス・コンプレックスとは、フロイトの唱えた心的構造です。
”王子が王である自分の父を殺して、自分の母親と結婚する”というギリシア悲劇の一つである「オイディプース」が由来となっていますが、フロイトのオイディプス・コンプレックスでは2つの側面が生じます。
1. 母親を手に入れ、父親に成り代わろうとする男性的な側面
2. 父親が決めた禁止事項を超自我として形成する側面
新体制への移行において大事にしたのは、"父を殺す”ことです。もちろん直接的な意味ではありません。父としてこれまでの研究室の活動があり、今までのスタイルというものが存在します。それは時として、これからの活動の足枷となり、活動が委縮してしまう抑圧にもなり得えます。組織を引き継ぐ上で、このような危険性を孕んでいるのだとまずは認識することが大事になるのではないかと考えています。
父とは、抑圧であると同時に、乗り越えるべき対象でもある。そんなモチベーションをこれからのTYMDLは持ち続けて行きたいと思っています。
"「知」の集団でもあり、「美」の集団でもある"
これは会話の中から自然と出てきた言葉で、TYMDLが目指す組織の理念を表しています。
創作行為の本質は、作者から受け手に表現手段を介して伝達することであると考えています。アイデアや意図を明確に伝える場合も、意図して受け手に委ねる場合もありますが、そのコミュニケーションによって、創作行為というものは初めて評価を受けるものだと思います。
理論を頭の中で考えられても魅力的に表出する術がなければ人に伝えることはできません。またかっこいいカタチ、きれいなカタチが作れても理論を語ることができなければ意図は理解されません。
「知」と「美」は相関関係にあって、年月を通してその両者を成熟させていける、そんな様々な活動を行っていこうと考えています。
- TYMDL_platform -
TYMDLの活動を明確にするために、プラットフォームを構築し、3本の柱を設けました。3つ目に「共」を掲げ、「知」と「美」を探求するこれからの活動が広く浸透することを目指しています。
「知」: TYMDL_school
スクールでは、夜間学校のような体制をオンラインに設けて、大学教育では掘り下げきれない「建築理論」を学習する機関を目指しています。夜間開校ということで、学生だけでなく社会人でも参加可能です。
スクール1年目では、Peter Eisenman / ピーター・アイゼンマンの博士論文でもある書籍「THE FORMAL BASIS OF MODERN ARCHITECTURE」の翻訳・分析を行い、月に2回くらいのペースでスクールを開催しています。
今年はスクール開校1年目ということもあり、実験的な部分が多かったため、大阪産業大学の学生中心で行ってきました。もっとより多くの人たちに参加していただけるよう来年2022年の開校2年目に向けて、準備していく予定です。
「美」: TYMDL_studio
スタジオでは、模型からCG、VR、動画、VFXまで幅広い表現方法を用いて研究内容の視覚化を試みています。3Dプリンター、レーザーカッター、CNCルーター、VRゴーグル等の設備を揃えて、いつでもスタディーをアウトプットする環境を提供しています。
現在、スタジオでは、TYMDL_schoolで分析を行ったレム・コールハースのラ・ヴィレット公園のプロジェクトをVFX技術を用いて、MR(ミックスド・リアリティ)で説明するプロジェクトが進行中です。
「共」:TYMDL_archives / channel / gallery / press
アーカイブ:Twitter / Instagram
チャンネル:YouTube
ギャラリー:大阪産業大学内
プレス:note
それぞれの媒体を上手く連動させることで、建築に携わる多くの人に様々なコンテンツを発信・共有できるメディアを目指しています。
日々の活動の様子はTwitter、Instagramで発信していますので、是非フォローしてみて下さい。noteではこれから建築理論書籍や建築物の解説などを定期的に配信していく予定です。
これからも新生TYMDLをどうぞよろしくお願い致します。
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