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春はあげもの

ホットドッグありますか?

セブンイレブンでの僕のわずかな希望は外国人店員さんによって打ち砕かれた。

「あ、あります」
「じゃあ一つ」
別の店員さんが取ってくる。
明らかに体積が違う。

その時自分は疲れていた。
もう否定したり拒否したりする元気はなかった。
そしてさらに、なんとなく店員さんのレコメンドに乗ってみよう…そんな気になった。

帰宅後、明らかに体積は小さい紙の包みには、ソースが添えられていた。
「うん、明らかに違うな」

もはや何が飛び出すかワクワクすらしていた。
袋を破く。
コンビニの包装は良く工夫されている。感心しながら手で持つ部分以外を取り去った。

現れたのは、同じ茶色の物質だった。
これは経験的に「コロッケ」だろう、そんな風に僕は思った。
ただ、問題はここからだ。

ほぼ肉なしのコロッケか、カレーか、メンチか。
はたまた何か変わり種か。
外国人店員さんのセレクトはいかに。

このソースも身体に悪いよな、と思いながら平たい揚げ物にソースを広げる。

一口…。
旨い。

そうだ、これは間違いなく「ただのコロッケ」だ。
疲れた身体にあまり刺激は求めていない。
ナイスセレクト👍店員さん

中学生の頃、同級生と遊びに行った帰りに肉屋でコロッケを単品買いして、ソースをその場でかけて食べられる、ということを知った、あの衝撃を思い出した。

ひとときの若かりし日との邂逅。
ありがとう店員さん。
揚げ物ロシアンルーレットはこうして穏やかに閉じたのだった。

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