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日向坂文庫2021#4(齊藤京子×坂木司『アンと青春』)

noteを開いていただきありがとうございます。

ちゃすいです。


前回は成田名璃子さんの『東京すみっこごはん 蕾親父とオムライス』について書かせていただきました。
読んでくださった方はありがとうございました。

さて今回は、齊藤京子さん担当で坂木司さんの『アンと青春』の感想について書いていきたいと思います。



まずは主な登場人物です。
・梅本杏子(うめもときょうこ):本作の主人公。アンと呼ばれている。和菓子屋『みつ屋』でアルバイトしている。
・椿店長:『みつ屋』の店長。
・立花:みつ屋の社員で和菓子職人。
・桜井:『みつ屋』の店員。



1.あらすじ

主人公のアンはとあるデパートに入っている和菓子屋『みつ屋』でアルバイトをしている。
そこで出会うお客様や同僚とのかかわりの中で少しずつ成長していく物語。
それに加えて和菓子にの世界の奥深さについても知ることができます。




2.感想

まず「空の春告鳥」では、とあるデパートの和菓子屋の前にアンが立ち寄ったところ店員に「クレーム」をつける男性に出会う。
その際、「飴細工の鳥」という言葉を残していき・・・。

さて、この「飴細工の鳥」という言葉は「中身が空っぽ」という意味で、物語の中では若い店員(後に柏木さんと判明)さんに対して男性の客が残していきます。

今回の場合は「和菓子に関しての知識がない」という意味で使われますが、正直知識がある人がない人と出会ったときどう接するのがいいんだろうと考えてしまいました。

物語の中でも「女子の節句」において、お雛様の飾り方で「正しい」知識をアンらに教えた人がいました。
しかし後に京都の飾り方と関東の飾り方には違いがあるということが分かります。
他にも世間ではマナーについて色々なことが言われていますが、業種や組織などによって「正解」は異なります。

ということは正しい知識と言うのは、とある文脈(京都なら京都、会社ならその会社で通じる論理・考え方)の中でのみ有効なのかもしれません。
だとするならば、異なる文脈同士の人が出会った場合は、「もしかしたら正解が違うのかもしれない」と思って、「正しい」知識を教えようとすることを自制するのが良いかもしれませんね。



続く「女子の節句」ではアンは友人と京都に旅行に出かけます。
しかしそこでお雛様の飾り付け方やマナーについて知識がないことを咎められ、また接客中にも同様のことであるお客様に注意を受けてしまいます。

そのことにアンはショックを受けると同時に、立花さんの
「クレーマーにも、一分の理。一度は伺うべき。二度と来なくなるだけ」
という言葉にプロ意識を見せつけられます。

これまでバイトであることを引け目に感じてるくせに、バイトだから助けてもらえるとどこかで思っていたと自省します。

この点はなるほどなーと勉強になりました。
ただクレームをつけたいだけの人かもしれないが、そういう人かどうかは話を聞いてみないとわからない。
だからこそ、まずは分かり合うために話を聞くという場を設けようということでしょう。

中々難しいことかもしれませんが、意外と勉強になることや見えてなかったものが見えてくるかもしれません。
となるとやってみる価値はあるでしょう。


また店長からは、お客様との接し方に関して

「お客さまに親しみを感じるのは自由だし、感情を殺すなとは言わないわ。でも、店員として超えてはいけないラインを自分で決めていないと、いつか痛い目に遭う。

それぞれの常識がそれぞえれの場所にあり、多くのラインががある。その中でどうなりたいのか、どういきたいのか。どういう場所に、立ちたいのかを考えなさい」

と言われます。

この点について少し話はそれてしまいますが、自分の立ち位置を認識するというのは大事だなと思いました。
自分がどういう立ち位置でどういうことを言いたいのか、したいのかというのを認識しているかどうかが、親切に間違いをしてきしてくれる客かただのクレーマーかを分けるのかなと。



続く「男子のセック」では立花さんが『K』の店員柏木さんに対して「アヒルの元和菓子職人が、現パティシエ。笑えますね」と発言します。
これをきっかけにアンと立花さんは仲たがいしてしまいます。

これには、和菓子職人の世界の事情というのが関係していました。
和菓子職人になるには、大抵親などの後ろ盾が必要なようです。
そのため後ろ盾のない立花さんは修行すらさせてもらえない状況でした。

一方で、後ろ盾があると思われる柏木さんは転職を繰り返すことができる。
その点に嫉妬してしまったようです。

自分にはないものを妬むというのはいつになってもなくならないんでしょう。
そんな醜いかもしれない嫉妬。
理想通りいかない現実。

なんとなくわかるような気がします。
といっても嫉妬することを失くすことはできないでしょう。

そのため嫉妬してしまう自分を受け入れつつ、どう生きるかが問われている気がします。
その点、立花さんはしっかりと嫉妬してしまったことを受け入れていました。
そしてその嫉妬から生まれる美しさもある、そんなことを示してくれたのかなと感じました。


続く、「甘いお荷物」では、放射能やらに気を遣う母親に出会います。
気にしすぎで、過保護なのか。
一方で折り合いつをつけることの重要性も知っているがために、苦しみを感じてしまいます。

んー、正直難しいの一言です。
なんか思考放棄してしまっている自分がいるのを自覚しながら、言葉が出ないです。

また言葉を紡げるようになったら戻ってこようと思います。
(すみません。)



ラストは「秋の道行き」です。
最近様子のおかしい立花さん。
椿店長との会話からするとどっかに行くようです。
と同時に店員それぞれにお菓子を置いていきました。

何かあったに違いないと思ったアンは和菓子から推測を立て立花さんが行くであろう場所を突き止めます。

いやー成長?しましたという感じです。
知識もなく店長ら会話を唖然と聞いていたアンが、自分で仮説を立てて立花さんが行くであろう場所を突き止めるとは、サスペンス顔負けですね。(笑)

教育に関して少しかじったことのある私からすればただ漫然と売業を受けていた生徒が、自分で問いを立て答えを探っていく様のように見えてしまいました。

まあそれだけ和菓子の世界が深いということなのでしょうか。
いや、そうに違いない。

平安時代にはすでに何らかのお菓子があったと言われていますから、そう考えると1000年以上の歴史があります。

中々侮れないものですね、和菓子と言うものは。



以上、齊藤京子さん担当で坂木司さんの『アンと青春』の感想について書いてきました。

それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。

また次も書いていけたらと思っています。

失礼します。



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