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この夏、小さな文具屋が「動くオフィス」で移動販売しながら、「文具メーカー」になる話

「オリジナルアイテムを作って、メーカーになったらいいんだよ」

文具店を始めた頃、そんな言葉をポンと投げかけられたことがあった。
オリジナルアイテムはおろかネットストアもまともに始めていなかったころの話だ。

そんなことできればいいけど、それができないから大変なんじゃないか!

その時に私は、率直にそう思った事を覚えている。
個人でお店を始めたものだから、全てが手探りの連続。
仕入先の開拓
SNSでの発信
イベントへの出店
ネットストアの運営
オリジナルアイテムのクラウドファンディング
慌ただしい日々の作業に追われながら、いつの間にか5年の月日が経とうとしている。

猛威を奮い、お店の集客のありかたにも大きく影響を与えてきた新型コロナウイルスも少しずつ落ち着き、社会はこれまでの生活に戻り始めながらも、どこか戸惑いを見せながら動いているように思える。
そんな時に受け身にはなりたくない。
せっかく5年という節目を迎えるのだから、これまでにない挑戦をしていきたい。
そんな時にふと思い出したのが「メーカーになる」という言葉だった。
でも、工場も資本も持たない小さな文具店がただただメーカーになろうとしてもしれている。
どうせなら、もっと面白いことにチャレンジしていきたい。

というわけで、2023年の夏。
「メーカー」と「移動販売車」という個人の文具店としては無謀にも思えるチャレンジを始めます。
ここからは具体的にどんなことをするかについて、ご紹介させていただければと思います。

暑ければ北に行けばいい「動くオフィス DOCKET STATIONERY VAN」

実は人生の大半、車とは無縁の生活を送ってきた。
小学生になった頃には父が車を手放したため、どこにいくにもだいたい自転車。
6kmほど離れた祖母の家に行く際は、原付バイクに乗った父に先導されて自転車で移動していたものだから、脚力だけは異常に発達した。

そのため大人になって免許は持っていたものの、バイクにばかり乗っていた。
そんな私が車を買うことをようやく決めたのは、お店を始めて、遠方でのイベント出店の際の搬入費用が馬鹿にならなくなってきたからだった。

そして、どうせ車を買うなら面白いことをやりたくなった。
面倒くさがりな私は、なんなら出店先にたどり着いてからの搬入搬出の作業さえ効率化したい。
それならそもそも車のまま出店できたらいいのでは?と考えるに至ったわけである。

そこから一念発起。
出先でのトラブルを防ぐために、N-VANという車を新車で購入し、半年かけて移動販売車へと仕上げてきました。

N-VANを購入した決め手となったのは助手席までフラットにたためて、かつ助手席側とリア扉の間に柱がない構造であるということ。
更にN-VANを作ったホンダが「3rd PLACE VAN」というDIYでも作れるような改造例を図面付きで紹介していることが、更に移動販売車へのイメージを構築してくれました。

ポータブル電源を積載することで、屋外での夜の出店にも対応できるようにできたのも昨今のアウトドアブームによるポータブル電源の進歩や、LEDライトのバリエーションの豊富さに支えられてのもの。
夜に文具を買うのかそもそもわからないけれど、いろんな状況に対応できる幅をもたせた作りにすることができた。

リア側にはお店として利便性の高いカウンター機能と、荷物の積み下ろしができるスライドフロアを設置。
腰の弱りかけている自分にも優しい仕上がりとなっている。

そして、この車のもう一つの特徴的な構造となっているのが、このオフィスモード。
車検にも対応したキャンピングカー等でたまに見るスイベルシートパーツを活用。
回転させることで、停車時に最も邪魔となる運転席をオフィスチェアとして転用することができた。

車内をオフィスにするアイデアは、この数年コロナ禍において色々とみかけたけど、本格的な椅子を車に載せるわけにもいかず、簡易なものが多かった。
しかし運転席を活用することで、座り心地のよいしっかりとした椅子として活用できたのは、実際に使用する際にも快適なポイントになっている。

実はこれまでも、移動販売車でイベントに出店しよう!……と思ったものの、実際にイベントに申し込むと「車はキッチンカー以外は出られません」とお断りされてしまうケースがほとんどだということがわかった。
そのため、単独でのイベントを仕掛けていくしかない。
これはなかなか出店できないのではないかと、日本各地の知り合いにお願いをたくさんしていたら、ありがたいことに8月から10月までみっちり移動販売の予定が入った。

8月頭に北海道
8月後半に東京
9月に九州
10月に四国を訪れる予定です。

日本を旅する文具店として、皆様にお会いする日も近いと勝手に思ってますので、近場に来ましたらぜひお立ち寄りください。

妄想を現実に 文具メーカー「DOCKET Office Supply」

更にもう一つ。
この夏は大きな挑戦を行うことにした。
それは「メーカー」として文具をお客様だけでなく、お店にも「卸(おろし)」させていただく試みだ。

もしメーカーをするとしたらどんな名前にしようか……
そんな妄想だけは昔からずっとしていた。
どのぐらい真剣に妄想していたかと言われれば、お店で取り扱っている名入れペンシリーズを見るとわかる。

うちのお店(ドケットストア)が、もし海外で会社のオフィスに文具を提供するサプライヤーだったら・・・という妄想からうまれた架空の企業名「DOCKET Office Supply(ドケットオフィスサプライ)」は、遠い夢として妄想していた世界の存在だった。

文具メーカーさんの協力もいただき、大好きなボールペンに名入れをして販売する。
そんな挑戦も、気がつけば6種類もシリーズ展開をしてきた「DOCKET Office Supply」シリーズ。
妄想も続ければ現実になるもので、この名称をそのまま使って「文具メーカー」としてこの夏デビューすることになった。

メーカーとしてお店に「卸(おろし)」をさせていただくのは、今年に入って大変人気をいただいているオリジナルアイテム「レシートスキャンボード」「低反射シート」だ。

SNSをきっかけに話題となり、今年に入って既に1000点以上をそれぞれ販売させていただいている。
更に今年の年末には「インボイス制度の開始」や「電子帳簿保存法の改正」を控えており、領収書をスマホのカメラできれいにデジタル保存する流れは本格的になってくると考えている。

実際に会社の備品として低反射シートを導入していただくことも増え、オリジナルサイズの低反射シートの別注ご相談などもいただいている。
また、地元の書店である田村書店様からもお取り扱いの打診をいち早くいただき、実験的に販売いただいたところ、レシートスキャンボードが完売する等大変ご好評を頂いている。

更に、7/19.20には、東京の天王洲アイルのWHATCAFEで開催される文具メーカーの合同展示会「FRAT 5」にも出展させていただくことが決定した。

こちらのイベントには、たくさんの文具メーカーさんが様々な文具を持って集まってくる。
自分自身もお店としては何度も参加させていただいているイベントだ。
更にお店の方以外にもフォロワー数を問わずに文具情報を発信されているインフルエンサーの方もご参加いただけるので、ぜひご興味をお持ちいただければ上記リンクからご登録いただき、お立ち寄りいただければと思う。

また、orosy(オロシー)さんというサービスを利用して、インターネット経由での卸対応もメーカーとしてスタートする。
遠方で東京のイベントにも参加できないというお店の方にも、こちらから気軽にお問合せをいただければと思う。
ぜひこの文章を文具販売を行うお店のスタッフさんが見ていたら、上司にプッシュしまくっていただければすごく嬉しい。

ちょっと無理なことへの挑戦を

以上が2023年に小さな文具屋が全力をかけて挑戦する内容だ。
全国を本格的に移動する文具屋さんなんてあまり前例もないし、更にメーカーまでやるなんてと心配される方もいらっしゃるかもしれない。
安心してください。なにより自分も不安を抱えています。

でも、この挑戦の先にはこれまでにない個人事業主の未来が広がっているような気がしているのです。
そして、ちょっとでも楽しそうな可能性を見つけてしまうと、飛び込んでしまうのが私のやりかただったりします。
ぜひこの挑戦をnoteやSNSで御覧頂いたり、シェアしていただいたり、そして近場に車で訪れたときには遊びに来ていただいたり……、ぜひ皆様に応援いただければ嬉しく思います。

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