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おらが店にも駅が来た 陸の孤島と呼ばれた文具店の立地が好アクセスになるまで

お店に行きたいんですけど、遠いんですよね。

うちのお店は、そんな言葉が漏れなくセットになっている文具店だった。
大阪の玄関口「梅田」からだと、地下鉄御堂筋線に乗って千里中央駅を目指してもらい、そこから更にバスor登り坂を徒歩。
トータルで1時間ぐらいかけて、文具店を訪れるというのはなかなかにハードルが高い。

そもそもなんでそんな場所にお店を出したかといえば、同級生がやっているカフェが同じフロアにあるからという理由がひとつ。
そしてもう一つは「2020年に近くに駅ができる予定」というのもあった。

ただ、そんな甘い見積もりは、開業目標の延期によって打ち砕かれた。
2018年の10月にオープンし、2020年には電車が近くにくる……という予定は延期を重ねて2024年3月23日の開業となった。

しかし、実はそのおかげでうちのお店は今の形に適応し「進化」したとも思っている。
今日はそんな小さな文具店の陸の孤島での孤軍奮闘を振り返ってご紹介したい。

ニッチゆえのカフェのお客さんとのミスマッチ

副業OKだし、お店をやってみるか。
ドケットストアはそんな軽い考えから始まった。

同級生のカフェと同じフロアの6坪ぐらいのスペースが空いているというので、週末だけオープンする形でお店を始めることにした。
これまでもサラリーマンとしてお店の店長はしてきたし、接客などの最低限のことはなんとなくわかる。
それならばやってみようと思ってしまうのが私の調子に乗ってしまうところだ。

まだ扉もなかった閉め切られたスペースだったお店スペース

日本政策金融公庫からお金を少し借りて、おしゃれなカフェの隣でお店をスタート。
週末しかオープンしてないものだから、そんなにお客さんもこない。
でもこれがいずれは増えていくかもしれない。電車の駅もできるのだから!

そんなあまーい考えは、もちろんうまくいかない。
おしゃれなカフェが隣りにあるからと言って、ニッチな文具や雑貨を買うお客様の層とドンピシャでハマることなんてない。
1日にお客様が誰も来ないなんてことも未だにある。
というかここだけの話、2年目ぐらいからうちの店舗の売上はあまり変わっていないのだ笑

家賃と最低限の費用を稼ぐために、オフィスをお店として開放するようなスタイルは、このごろチラホラ目にするようになってきたけど、そのスタイルはあくまで「本業」があってこそ。

本来副業であるべき部分を基礎としてしまったお店づくりは、会社で働きながら副業として始めた故の歪な形だとも言える。

開業から1年が経ち、電車は来ない。
実店舗の売上は芳しくないが、ネットストアを作っても誰も見てくれていない。
そんな時に勤め先での就労体制の見直しがあり、副業を辞めないと働けない状態となったために、1度目の決断が迫られた。
続けるのか、辞めるのかだ。

独立。そしてコロナ禍へ

せっかく立ち上げたお店なので1年で終わらせたくはない!

そう考えてサラリーマンを辞め、文具店一本での独立を決めた冬。
売れ始めていた「三角コーンで作る看板」を唯一の望みのとしてイベントに趣き、なんの売上もなく帰ってきたこともあった。

こうなってはやはり「ネットストア」をなんとか稼働させるしかない。
YOUTUBEで動画を撮ることも考えたけれど、noteがお店との連携を強く打ち出していた時期でもあったので、noteを年末の寒い店内でひたすら書き続けていた。

「長文なんて誰も読まないよ」というアドバイスをされたりもしたけれど、これが少しずつ実を結び、爆発的に読まれた記事が生まれたことでだれも見ていなかったネットストアが稼働し始める。

そしてこのあと4月頃から「コロナ禍」へ突入することに。
実店舗が稼働できない状況で、もしネットストアが走り出していなかったどうなっていたことかとゾッとする。

更にコロナ禍においては、駅直結型の大きなお店も全部閉まってしまい、ネットでしか買い物ができない状態になったことで、どこのお店も「陸の孤島」状態に突入していった。
この時期は営業的にはもちろん苦しかったけれど、アクセスのない状態で販売するネットでの切り口を見つける修行を詰めた時期ともいえると思う。

来店が難しいなら行けばいい

アクセスが難しい立地なのであれば、アクセスしやすい場所に出店すればいい。
しかしながら立地の良い百貨店などへの出店は手数料なども高く、とても利益がでない。

そんな中で新しくチャレンジしたのは「文具の移動販売車」だった。

北海道、九州、徳島、和歌山、岐阜……と2023年は走り回った。
その一方で、お店にいない期間に対応するためにオリジナルアイテムをAmazonで自動出荷対応するといった方法にもたどり着くことができた。

この、どこかを旅しながらも売上を自動出荷で補う方式は、今年チャレンジしたドイツでの文具展という新しいチャレンジを支えることにもつながったので、なんでもやってみるものだと改めて実感している。

好アクセスのその先へ

ネットストアをしっかり稼働させ、移動販売もしながら、そこに駅から徒歩6分という立地までプラスされたドケットストア。
順風満帆かと思えば必ずしもそうではない。
メリットがあればデメリットもあるもので、例えば地価上昇ランキングで大阪2位になった立地故に近隣のお店では家賃の値上げの話もちらほら。
これまであったビルが取り壊されてマンションになったりと、駐車場が壊されてマンションになったために、車できていたお客様の足が遠のいたりと、お店のある場所の流れが実感できるくらいに変わってきている。

でもひとまずは好アクセスで着やすくなったドケットストアのポテンシャルを最大限に発揮していきたいと思っている。
ぜひ、関西の皆様、関西に出張で来た皆様のご来店をお待ちしております。

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