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おうち時間に飽きたあなたへ。 使い手に創造性を求める「削ぎ落された道具」の話
「これ、なんかいいから買っときますわ」
新型コロナウイルスの影響によって、おうち時間が圧倒的に長くなったゴールデンウィーク。
うちのお店を利用いただいたお客様の多くが、明確な言葉にはできないけれど、「なんかいいから」と言って買っていったのがSOGUさんのアイテムだった。
SOGUはプロダクトデザイナーの三宅喜之さんが、デザイナーにオフィスで使ってもらえたらいいなというものを製品にすることで作り出したブランドだ。
鉄の棒を少し曲げただけの「線」のシンプルなマグネットフック。
掲示物のフォントより小さくなるように作られた極小の磁石。
ブックエンドの存在感をとことんなくしてしまった本立て。
重力を無視したかのようなミニマリズム全開の傘立て。
トイレットペーパーを宙に浮かせるためのハンガー。
A4コピー用紙を美しく揃えて置くためのトレー。
あまりにもキレッキレ過ぎて、カタギの人間にはおすすめできないのではないか。
なんせギリギリまで要素を削り落として、道具として成立させていくSOGUのスタイルはえげつない。
なんならロゴまで上の部分まで「SOGU(削ぐ)」してしまっている。
そんな心配をよそに、うちのネットストアでは圧倒的にSOGUさんの商品が売れている。
それは、家で長い時間を過ごさざるをえない今、削ぎ落とされたSUGUでないともっていない「ある要素」が関係しているように思っている。
今日はこれまでも紹介してきたSOGUさんのアイテムを、お家時間でどう楽しむのかを含めてご提案させていただきたいと思う。
鉄の棒を少し曲げただけの「線」のシンプルなマグネットフック
「LINE HOOK」は読んで字の如し、線のようにシンプルな形をしたマグネットフックだ。
よくあるマグネットタイプのフックは、磁石の部分とフックの部分が分かれているのがよくあるパターン。
それに対して「LINE HOOK」は金属を少し折り曲げただけというシンプルな形状で、折り曲げた部分と壁の隙間にものを引っ掛けることに成功している。
この形、マグネットフックにはありそうでなかった形状なのでじっくり眺めてみてほしい。
マグネットは長くしっかりと取り付けられているので、200g程度のものまで引っ掛けることができる強さも持っている。
そして、金属製の鍵なんかは磁石部分に引き寄せられるので、磁力による補助の恩恵でしっかりとひっかけられる。
玄関の内扉に使っている人が多いけれど、ドアの開け閉めの際も引っ掛けたものが落下しにくいというメリットにもつながっている。
何も引っ掛けてない時は、線のようにシンプルに。
何かを引っ掛けている時はその影で支える役目に専念する。
毎日必要なものを気軽に引っ掛けるマグネットフックだからこそ、このシンプルさが癖になるお客さんが本当に多い。
掲示物のフォントより小さくなるように作られた極小の磁石
「φ4.5 MAGNET」は、直径4.5mmしか直径のない極小のマグネットだ。
ホワイトボードによく使われるマグネットは、とても大きくて色も派手。
それに対して真逆をいくように狙って作られたφ4.5 MAGNETはただただ小さい。
ネオジム磁石と特注サイズのネジを組み合わせて作られたその構造は、本当に必要最低限の要素で成り立っている。
使用されているネオジム磁石は、小粒でもA4コピー用紙を2〜3枚保持できる強さがある。
そして、持ち手に使用されているネジのギザギザした螺子の部分はほどよい摩擦を生み出して持ちやすさを生み出している。
掲示物を最大限に目立たせてくれる脇役としての性能と、最小限の要素を組み合わせて成立させた姿は「細部に宿った美だけ濃縮した」かのようで、使う人の美意識のスイッチをONにしてくれる。
ぜひ手に持ってみて、その完成度を確かめてみてほしい。
ブックエンドの存在感をとことんなくしてしまった本立て
「9° BOOK STOPPER」は、うちのお店の看板商品にもなっている本立てだ。
ブックエンドと言えば「 L 」の形をしたものが一般的だけど、このブックストッパーは全く違うアプローチで本を立てる行為を成立させている。
「 L 」の形のブックエンドそのものを削ぎ落とし、本を9°の角度で傾けるだけで本立てを成立させようという姿勢は本当にSOGUらしい。
売れなくてもいいから作りたかったというデザイナーの三宅さんの言葉がよく分かるぐらい、いい意味で攻めているアイテムだ。
リモートワークでデスクに資料を並べる際にも、ブックエンド代わりに役に立つ。
代官山などにある「蔦屋」でも美品と使われているというのも納得できるプロダクトだ。
オフィスや病院などでまとめ買いされる方も非常に多い。
ぜひ、ブックエンドの存在感が苦手な方は手にとってみてほしい。
重力を無視したかのようなミニマリズム全開の傘立て
「CORNER BAR」は、お店でお客さんが実物を見た瞬間に笑顔になるアイテムだ。
それもただただ「楽しい」というよりも「まじかよ。一本取られたわ」という笑顔。
デッドスペースになりがちなお部屋の「角」。
そこにフックを取り付けて、シリコーンゴムと金属で構成された「CORNER BAR」を弓のように引っ張ってセッティングする。
そうすると、まるで重力を無視したかのように、三角形の物体がお部屋の角に取り付けられる。
シリコーンゴムの張力と壁との摩擦力をうまく使った構造を知ったお客さんは、手品の種明かしでも見たかのように、ついつい笑顔になってしまう。
玄関の角にセットすれば、これ以上ないほどにミニマルな傘立てができあがる。
しかも、使わない際はすぐに取り外せるので、狭い玄関でも場所をとらない。
リビングの角の高いところにセットすると、ドライフラワーやタオル、掃除用品なんかも引っ掛けられる収納スペースにも早変わりする。
フックがしっかり取り付けられれば、2kg程度まで重さを支えられるので安心して使用することができる。
物理を勉強されてきた三宅さんのこだわりと美意識が詰まったこのアイテムは、見ていて飽きないし美しい。
A4コピー用紙を美しく揃えて置くためのトレー
「PAPER SERVER」は、わたしたちがビジネスで毎日のように使うA4コピー用紙をメモやノート代わりに使えるように美しくセットできる道具だ。
袋から出した瞬間のコピー用紙の美しい塊感が好きな人なら、一瞬で魅せられてしまうと思う。
新品のコピー用紙はもちろん、貧乏くさくなりがちな裏紙だってPAPER SERVERに関われば美しさを取り戻す。
デスクやコピー機の傍に置いているだけなのに、その美しさはこちらに伝播してくるように感じられる。
A4コピー用紙は「白銀比」という特殊な割合で短辺と長辺の比率ができている。
これは、半分にカットした際に「相似な形」が生まれるというサイズであり、世界最古の現存する木造建築物である法隆寺の金堂や五重塔にも使われているものだったりする。
このPAPER SERVERが愛されている理由には、そんな比率の秘密も関係しているのではないかと思ってみてみると答えがないのでいつまでも眺めていられる。
もちろん、A4コピー用紙を仕事道具としてステップアップさせればリモートワークのコスパも上がるのでただただオススメできる。
コピー用紙が100枚が収まる標準タイプと、250枚が収まるHIGHタイプの2種類からあなたの相棒を選んでほしい。
あなたに「創造性」を求めてくる道具たち
世界は誰かの仕事でできている。
そう、缶コーヒーのジョージアのCMで言われていた。
自宅で自粛する日々は、言い換えれば「誰かの仕事に囲まれ続ける」ということだとも言えると思う。
家にいる時間が長ければ長いほど、私達は日頃触れたり目にするものから、何かの影響を受け取るものだと言える。
そして、今回紹介したSOGUの道具たちは、どれもある要素が削ぎ落とされている。それは見かけのシンプルさだけの話ではない。
極限まで削ぎ落としている分、単体では何に使うかわからないような形をしているSOGUの道具は語りかけてくる。
「LINE HOOK」には何をひっかけるのか。
「φ4.5 MAGNET」を使ってどんなかっこいいポスターを貼るのか。
「9° BOOK STOPPER」でどんな本をリビングにかっこよく並べるのか。
「CORNER BAR」は、どこでどんなものを引っ掛けるのか。
「PAPER SERVER」に設置したコピー用紙に何を描くのか。
こちらを挑発するように。
そして、信頼するかのように。
使い手に「で、どうするんだ?」と使いみちを求めてくる。
空中ブランコで、こちらがキャッチすることを信じて身を投げ出す姿のようにすら、私には感じられる。
はっきりいえば、SOGUの道具たちがなくても仕事はできるし生活はできる。
100円均一にいけば、マグネットフックも、ブックエンドも、突っ張り棒も、安いノートも売っている。
もしくは、美しいグラフィックデザインが施された道具や、オブジェだって世の中にはたくさんある。
元々、SOGUはデザイナーがデザインオフィスで使ってほしい道具をコンセプトとして生まれている。
もちろん、特殊な知識なく使えるものばかりなのだけど、手にとった瞬間にSOGUをデザインした人々からの「どう使ってくれるの?」という期待が、あなたの家の中を良くしようというチャレンジを後押ししてくれる。
SOGUのアイテムは、可能な限りの要素を削ぎ落として足りなくなった分、あなたに「創造性」を求めてくるピーキーな道具たちなのだ。
そして自分なりに工夫をして、SOGUの道具を使用したあなたの日々の暮らしは、これまでと少し違った風景になるのではないかと思う。
ぜひ気になったものがあれば、試してみてほしい。
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