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ALL YOURSさんの語る「顧客と一緒にブランドを作る方法」で個人的に息を飲んだ話

「今度奈良でオールユアーズさんのトークイベントやるんですけど、山下さんもどうですか?」

そんなお誘いを、会場でもある中川政七商店さんの方から気になってしまうのは当たり前。
オールユアーズさんといえば、先日の中川政七商店さんの大日本市でもプロのカタリベとしてご一緒させていただいた木村さんから、新しいポップアップショップの展開についてのお話をきいて衝撃を受けたばかり。
冬用のパンツはヘビーローテーションさせていただいていることもあって大好きなブランドでもある。

しかもイベントのテーマも「顧客と一緒にブランドを作る方法」なんて面白そうなテーマ。こりゃいくしかないと、二つ返事でイベントのチケットを購入して、奈良に向かうことにした。

24ヶ月連続クラウドファンディングなど、これまで見たことも無いような展開に驚きを受けてきたオールユアーズさん。
でも正直、今回のイベントでお聞きした一つ一つの内容は予想していた以上に衝撃的すぎて脳みそを揺さぶられまくった。

今回はそんな個人的にきになったところをピックアップしてご紹介させていただきたい。

ポップアップイベントで商品が買えない理由

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「インターネットで販売するのがどんどん難しくなっている」

そんな言葉をきけば、やれAmazonだとか、マーケティングがどうのこうのとかといった話が展開されるのが常だけど、オールユアーズさんの場合はそういう話じゃそもそもない。

誰かを排除することをなくすために、男女どちらでも着られる服のサイズ設定を0から12の13サイズで展開する徹底ぶりの結果、どのサイズかをお客様も試してみたくなることになる。

結果として、日本全国の様々な場所でのポップアップを行いながら、試着の場を提供していくことになるのだけど、だからといってポップアップ会場では服を販売していない。

どういうこと?
その場で売ったほうが絶対にロスなく売れるはずなのに!

その理由をおききして更にびっくりするのは、勢いでお客様が商品を買ってしまわないようにしたいという考え。
勢いで買い物をして、なんで買ったんだろう・・・と公開してしまう買い物には誰しも身に覚えがあると思うけれど、オールユアーズさんではそういった買い物で購入してもらいたくないという意志をもってブランドが展開されている。

もちろん、13種類にも及ぶサイズ展開のアイテムを全国のポップアップ会場に搬送するコストとの兼ね合いもあるとのことだけど、あえてその場で商品を売らずに、ポップアップから家に帰ったお客様が、改めて検討しながらオールユアーズの商品を買うという「冷静な購入」を尊重する姿勢には頭が下がる。

インターネットで販売するのがどんどん難しくなっているというのはそもそも、世の中がどうとかではなく、オールユアーズさんが自ら、自社の商品をどうやって届けるのかを考えた結果として、ハードルが高くなっているのだ。
このへんからもう、オールユアーズさんの本気は垣間見えてきた。

返事メインのSNS

さらに意外だったのは、SNSでの発信は「返事がメイン」とおっしゃられているところだった。

え? どういうこと?
情報は自ら「発信」するものであって、受け身になっていたらいけないんじゃないの?と考えるところだけど、このあたりも本当に深く考えさせられる理由があった。

「広報」という考え方だと、発信する側が伝えたい情報を一方的に呼びかけて、聞き手が反応してくれるかどうかと思いがちだし、自分も少なからずそうやって考えてきた。
SNSでのアプローチもそういった情報拡散をねらいがちなアカウントは多く見るし、利用自体にはお金もかからないことから、ネット上には本当に様々な情報発信があふれている。

でも、オールユアーズさんではネット上であっても「1対1でのコミュニケーションの場」として捉えていらっしゃる。

ただ単に情報発信を行って終わりにするのではなくて、商品の使い勝手を発信する方への反応をこそ大切にしていればそれは、コミュニケーションの場になる。
オールユアーズさんはお客様のことを「共犯者」と呼んでいる。ブランドを支持したり賛同してくれる人と「買った売った以上の関係」にしていこうと考えた結果うまれたこの考え方はすごく面白いと思う。

もはやブランドで一方的に商品のことを叫ぶのではなくて、関わる人がどんな封に反応をしていくのかを意識的に余地として用意し、そのコミュニケーションがSNS上でたくさんの目の人に留まる。
そこにはただ単にお仕着せがましい美辞麗句よりもリアリティのある情報が並ぶことになるし、たくさんの情報が飛び交う今の時代にこそ必要なSNS活用方法であると感じられた部分でもあった。

アウトプットではなくアウトカム

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大切なのは商品そのものではなくて、その商品から何がもたらされるか。
つまり「モノ=アウトプット」ではなく、「アウトカム=モノが使い手の何を変えるか」が大切という話にはぐうの音も出なかった。

こだわりの製法を伝えようとすればするほど、お客様との距離が開いていく・・・なんて経験をこれまでの接客人生では何度もしてきた。

それは結局の所、お客様にとって必要なのが「商品を購入することで人生の何が変わるのか」であって「どうやって作ったのか」は二の次だからなのだと思う。

もちろん、生産者の背景や環境への配慮といったものも今まで以上に重要視される時代ではあるけれど、正直なところそれだけでモノを買うかと言われればそうではないと思う。
もし環境問題への配慮が、購入者の今後数十年あとの人生に影響を与えるというのであれば、それもきちんと納得できる形で提示する必要があるのだと思う。

そういう意味では、商品をセレクトして仕入れ、販売するうちのお店ではとっつきやすい概念でもある。
それは、自分自身が使って楽しかったり便利だと思うということがないと商品を仕入れないように極力しているからだ。
言い換えればシビアだとも言えるけれど、アウトカムなしにはそもそも仕入れていないということから商品を説明するときもなんだか楽だなと感じているのは、そういった背景があったのだなと改めて気づくきっかけにもなった。

ブランド名をいまだに解釈し続けているということ

ALL YOURSという名前をいまだに考え続けているという、木村さんのお話にもすごく共感した。

すべては「あなた中心」であること
そんな意味が込められたこのブランド名は、言葉になおしてみるとシンプルでありながら、人の数だけ解釈が発生するという余地もある。

きっと時代によってその意味合いも変わってくるだろうけれど、それでもその時代時代で「テーマ」となりうる言葉なのだと思う。

「問題」という言葉は「題を問う」、つまりはそもそもの「テーマそのものを問う」ことだという話をどこかきいてなるほどなと思ったことがあるけれど、ブランドの意味合いを「固定」してしまうのではなく、その都度見直していくというきっかけとしてブランド名というのはひとつの大きな要素になるのだなと感じた。

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私のお店の名前は「DOCKET STORE」という名前で、DOCKETには「荷札」という意味合いがあることから採用した。
これは、テプラやステッカーをつかった「ラベリング」が好きで、過去に働いていた「無印良品」がまさにラベルをしないブランドだったことから採用した名前なのだけど、気がつけば三角コーンにラベリングをして看板を作るサービスを作ったり、ボールペンに名入れというかたちでラベリングをしたりしていることにもつながっていることを感じたりする。

今はまだ無意識にその関連性に「気づく」程度だけど、もっと意識的に掘り返していくことでこれからの方向性への「気づきが得られる」様になるのかもしれない。そんなことをいまは感じている。

最先端の取り組みから学ばせていただくありがたさ

以上、1時間半のイベントでおききした話だけでも、これだけの面白い話に脳みそを揺さぶられる結果となりました。

とても全てをすぐに真似できるとは思えないけれど、ちょっとずつでも咀嚼して自分自身も取り組んでいければと思います。

今回お話をいただいた木村さん。
そしてきく機会を頂いた中川政七商店の皆様。
改めてありがとうございました。
そして、こちらの内容がご覧いただいた皆様になにかお役に立てば幸いです。

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