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軽トラがお店に変わる未来の箱 「Nibako」に移動販売の新たな可能性を感じた話

やっぱり軽トラの時代が来てるんじゃないか

そんなことをずっと今年に入ってから言い続けている。

日本特有の車両である軽トラは、しっかりとした耐久性にコストパフォーマンスもいい。
今年の3月にHARD CARGOさんという会社のカスタムパーツの数々によってかっこよくなった軽トラを見てしまった時には、「ああ、もう軽トラの時代は来ていたんだ」となんの違和感もなく受け止めてしまった。

ただ、甘かった。
軽トラの時代は、自分が思っている以上にやってきている。
こんな軽トラに感動することが年に2回もあるだなんて思っても見なかった。
今回はそんな衝撃を感じた、ダイハツさんが仕掛ける新しい移動販売車のありかた「Nibako」というサービスについてご紹介したい。

軽トラの荷台に載る箱「Nibako(ニバコ)」

つい先日のこと。
ハイゼットトラックといった軽トラでも知られる車メーカー「ダイハツ工業」さんの本社にお邪魔させていただいた。

というのも、文具屋を営む私がとても気になっている軽トラを使ったサービスをダイハツさんが仕掛けているのを雑誌で拝見したのが事の始まりだ。
その独特な仕組みに目を奪われ、「良かったらぜひ取材させてください!」という無理なお願いにも関わらず、ダイハツさんは快く応えてくださった。

そして見せていただいたのがこちらのトラック。
そこまで変わったところは見当たらないかもしれない。
運送用のトラックや移動販売車なんかに、箱のようなパーツが積まれていることは比較的よくあることだし、パッと見て大きな違和感はないと思う。

まずはトラックの「あおり」と呼ばれる部分を開いて……

荷台に積まれた箱の扉を開き……

後ろ側や逆サイド側も同様に扉を開けていくと……

この通り、あっという間に販売スペースを展開することができてしまうのだ。
そう。これが普通の軽トラに積載するだけで、軽トラを移動販売車に早変わりさせてしまうダイハツさんのサービス「Nibako(ニバコ)」なのだ!

スポーツカーのガルウィングといっていいのか、開かれた扉の裏側はきちんと板張り風の壁紙で装飾がなされていて、お店としての雰囲気をもたらしてくれる。

中央部分を仕切っているのは有孔ボードなので、フックなどと組み合わせれば様々な陳列が可能となっている。
しかも、前後にズラして動かすこともできるので、販売したいものによって奥行きの調整として使用することも可能になる。

また、有孔ボードはスライド式のパーツもセットされているこだわりぶり。
軽トラの左側をメインの売り場とする場合に大いに役立つ工夫がなされている。

また、この逆サイドももちろん売場として活用することもできるし、在庫などを置くためのバックヤードとして位置づけて使うことだってできる。
シンプルな構造故に、販売したいものによって様々な使い方ができる。

お店の設置に必要な時間もこの通りわずかな時間ですんでしまう。
何より特記しておきたいのは、「Nibako」は移動販売車ではなく、普段使っている軽トラを改造することなく「そのまま移動販売車にしてしまう」ということ。
その点についても詳しくご紹介させてほしい。

Nibakoがただの移動販売車ではないのは「サービス提供」の仕組みにある

Nibakoは、新型コロナウイルスの影響で目にすることが多くなった「キッチンカー」のようなものとは少し違う。
基本的に軽トラを改造することなく使用するための荷台に載せる「箱」や「箱を搭載した軽トラ」を借りられるサービスとなっている。(今のところは車ごとの貸し出しのみを実施)

移動販売車を実際に作ろうとすればお金もたくさんかかる。
そしてなにも毎日移動販売に出かけるお店ばかりでもないことは容易に想像できると思う。

たとえば地域のイベントとして朝市がある時に、普段は農作業に使っている軽トラをダイハツのお店に持ち込んで、「Nibako」を載せてもらえば必要なときだけ普段の軽トラが移動販売車に早変わりする。
それも大きな改造をすることなしにだ。

実際に展示を見せていただいたNibakoも、バンドでしっかりと軽トラに固定されているだけで成立している。
この仕組みを教えていただいた時、普段使っている軽トラをそんなふうに変身させてしまう方法があったなんて!と目からウロコが落ちるような気持ちになった。

移動販売車はキッチンカーのイメージの方が強いけれど、インターネットでの買い物が当たり前となり、実店舗が減っていく中にあっては新しい販売スペースとして進化していくのかもしれない。
そんな想いをNibakoの実物を見せていただくことで感じさせていただいた。

まだNibakoが走っている地域は少ないようだけれど、これから先、どこかであなたもNibakoを見かけることがあるかもしれない。
その時にはぜひ、ダイハツ工業さんのこの新しいチャレンジのことを思い出していただけたら嬉しい


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