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スタイリッシュなのに、ぬくもりを感じる大人の鉛筆 「PRIME TIMBER BRASS」の話

「暇なんだったらさ。神戸の文具屋に行こうぜ」

思えば高3の夏。
中学時代の友人からのそんなお誘いがなければ、私は文具屋になってなかったかもしれない。

兵庫県神戸市の繁華街「三宮(さんのみや)」までは、宝塚の自宅から電車で30分。
片道300円もあればお釣りが来る距離感だ。
ただ、高校生の私達には余分な資金力もない。

自転車で行けるという友人からのアドバイスに従い、1時間ちょっとの時間をかけて、国道2号線を通学用の自転車で汗だくで走った。

友人が自慢げに案内してくれたのは創業1882年のナガサワ文具センター
いまのお店と違うところに数階建ての建物として独立してお店があって、近所の文具屋さんしか利用したことのなかった私は、ただただその品揃えに圧倒されたことを覚えている。

ただ、前述したようにお金はない。
甲子園で売り子をしながら稼いだ小銭で買えるものを物色していた時に、私の心を捉えたのは一本のペンだった。

現在そのペンは手元にないので曖昧な記憶から同じものを探してみたのだけど、それはステッドラー社の2.0mmのシャープペンシルだったと思う。

海外のドイツ製、製図用という響き。
0.5mmのシャープペンシルでは味わえない、鉛筆のような太い芯の存在感。
中に入れている芯の種類(HB等)を表示できる小窓。

近所の文具屋のキャラクターものや安いペンしか知らなかった私にはただただ衝撃的で、こんな世界があったのかとむやみやたらに感動したのを覚えている。

太いペン先は、専用の削り機で尖らせる必要があったので、メーカーの違う一番安い削り器を買って、嬉々として帰りの道のりを自転車で帰った経験は忘れられない思い出として胸に残っている。

そんな経験から、うちのお店にも芯が太めのペンがOPEN当初からラインナップされている。
名前は「PRIME TIMBER BRASS(プライムティンバーブラス)」
子供だけでなく大人にもすすめたい、この鉛筆のことを紹介させてほしい。

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素材への徹底的なこだわり

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PRIME TIMBER BRASSという名前にそのまま込められているけれど、この鉛筆には良い素材が適切に使われている。

PRIME TIMBERは安易に直訳すれば「素晴らしい木材」を意味している。
使用されている木材には、「インセンス・シダー」というヒノキの一種が使用されている。
きめが細かく、節がなく、木目が真っ直ぐなこの木は鉛筆に最適で三菱鉛筆さんでも使用されている。
その木材を、削って消えていく消耗品としてではなく、鉛筆独特の手に持った感触を与えてくれる持ち手として採用している。

また、BRASSは「真鍮」を意味していて、このペンではペン先部分とノック部分に使われている。
木軸の両端に付けられた金具によって、重心のバランスも計算されていて、長時間書き続けても疲れにくい配慮がなされている。
また、真鍮は使い続けていくにつれて表情を変えていく金属なので、経年変化も楽しむことができる。

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また、製図用の芯ホルダーの場合はノック部分を押すと芯が全部滑り出てしまうことが多かったが、このPRIME TIMBER BRASSはシャープペンシルのように1ノックごとに芯の先端が繰り出されていく。
製図用の芯ホルダーは、油断すると飛び出た芯が床に落ちて折れてしまうという悲しい経験を誘発してしまうので、この改良は初めて見た時に必要以上に感動してしまった。

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また、標準で付属している芯も、不純物が少ない黒鉛と粘土を均一に混ぜ合わせて作られた、高級国産2mm芯。
折れにくい強さと、なめらかな書き心地を実現しており、替芯も5本で150円(税抜)と非常にリーズナブルだ。

シャープ芯入れのような削り器

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太い芯を採用したこの手のペンは、芯を削らないと鉛筆の芯の先が尖らない。
なので、別売りの芯研器と呼ばれる削り器を購入する必要が出てくるのだけど、「PRIME TIMBER BRASS」には写真のような削り器が付属している。

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一見シャーペンの予備芯入れのような風貌だけど、キャップを外すと芯の先端を削るための板バネが現れる。

通常の削り器だと一方向に回転させていく必要があるけれど、この削り器は4枚の金属部分で削ることができるために、右回し左回し右回し・・・とペンを持ち替えてぐるぐる回転させなくても削ることができるように工夫されている。
確かに使うとわかるのだけど、この小さな削り器の対してペンをぐるぐる回す作業は安定性が悪く面倒なので、小さなことだけどすごく助かる。

また、削られた芯は容器にたまるため、黒い粉が飛び散ってしまわないようにティッシュを用意したりする手間もかからない。

THE WARMTH OF WOOD ON PAPER

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「紙の上でぬくもりを」
そんな意味の英語が本体に刻まれた「PRIME TIMBER BRASS」

確かに使用していると、鉛筆を握っていた小学生の頃の懐かしさがこみあげてきて、なんだか優しい気持ちになる。

ボールペンもどんどんと進化して、かすれなかったり、書いた字を消したりと便利になっている。
けれども、だからこそふと鉛筆を握った時にはどこか贅沢な気分を感じるのは自分だけだろうか。

尊敬する文具ディレクターの土橋正さんは、「黒鉛心の筆記具で書いた字は『立体』で、粘土でものをつくることに匹敵する!」とおっしゃられていた。
確かに、鉛筆で書いた文字は、その時の感情に寄り添うかのように濃さを変えて、独特の味わいを私達の視覚に教えてくれる。

スマホでなんでもできる今だからこそ、あえて書く体験にこだわってみるのもいいと思う。
ぜひ、気になる方はネットストアもご覧いただければ幸いです。

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