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小さな文具屋が挑む「初めての東京進出」が、『元とんかつ屋』に決まった件について

「東京でやったら成立するかもね」

お店を初めて間もない頃、立ち寄ってくださったお客様がつぶやくようにそう言ったことを未だに覚えている。
その方にも、決して悪意があったわけでもなんでもないと思う。

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大阪……といっても、中心からは離れた問屋街にお店はある。
最寄り駅まで上り坂を30分。
バスもあるけれど、わかりやすい場所にあるわけじゃない。
そんな場所で、駅ビルに入っているおしゃれなお店にも置いてなさそうな文具や雑貨をセレクトして販売を始めた。

せっかくわざわざお店に来てくださる方に、どこでも買えるようなモノを販売するわけにもいかない。
誰もが手に取るわかりやすいものじゃなくて、むしろ効率を求めればお店では見かけない隠れた逸品を掘り起こしては、noteで紹介して販売する毎日が気づけばはじまっていた。気づけばもうすぐお店をはじめて4年が経とうとしている。

もし東京でお店をはじめていたら……という「たられば話」はあんまり考えないけれど、むしろ逆に気になることはある。
東京で! 今のうちのお店は!! 通用するのだろうか!!??……と。

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そんなことをぼんやりと考えていたら声はかかるもので、「うちで東京ポップアップやってみない?」と実際にお声がけをいただいた。
しかもそこは「元とんかつ屋」だというのだから面白い。

今回は6/3(金)から6/5(日)に東京の「元とんかつ屋」で開催するうちのポップアップイベントについて、経緯も含めてご紹介したい。

何故に「元とんかつ屋」でポップアップ?

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そもそも何故「元とんかつ屋」でポップアップをすることになったのか。
そこにはいくつかの理由がある。

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このポップアップ会場は、現在はとんかつ屋としての役割を終えて「宿泊施設」としてリノベーションされた物件だ。
今から20年以上前に店主が亡くなり、閉店した「とんかつ一平」は地元のお年寄りからお子様まで、広く愛された名店だった。
そんな名前はとんかつ屋時代の名前を受け継いで「シーナと一平」
場所も名前に入っている通り、東京の池袋駅から電車で一駅の「椎名町」というところに位置してる。

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「シーナと一平」は、現在は「小さなお宿」として再び人の集まる場所になっている。
大きな都市である池袋から一駅離れた場所にある「あたりまえの東京ローカルの日常」を楽しめる拠点として、1Fは共有スペースとして活用され、2階は45年前から丁寧に住み継がれてきた和室に住むような感覚で泊まれる面白い試みが実践されている。
そして、椎名町という「まち」の魅力を最大限味わってもらうために、宿はあえて自己完結するのではなく、『タウンステイ』というコンセプトでつくられている。
食堂はまちの飲食店、お風呂はまちの銭湯と、商店街、まち全体を宿ととらえて体験できる取り組みは、「まちやど」という言葉とともに2017年のグッドデザイン賞も受賞している。

海外の観光客の中には特別なおもてなしをされたいという人ももちろんいる。
一方で、日本の実際の暮らしを体感したい人たちにとっては「東京の下町で暮らすように泊まる」という「シーナと一平」のコンセプトは魅力的に見える。

そんな風にして人気を集めてきた「シーナと一平」にも、近年の新型コロナウイルスはもちろん影響を与えた。
まだ先の見えない現状の中、場所を活かした様々な取り組みを行っていきたいという時に、たまたまうちのお店がご縁をいただくことになった。

テーマは「行商」
「たびあきないプロジェクト」と称して、まちの「中」と「外」の結び目をつくることを目指してこだわりある「作り手」の偏愛を、宿から池袋西エリアに滲み出して届けていく…らしいのだけど……

あれ? 偏愛?

そう。うちのお店が選ばれた理由の中で際立っていたのが道具に対する「偏愛」だそうで、ただただお店をやっている人よりも、熱意や想いがにじみ出ているお店を地元に呼んで、その交流の場としてシーナと一平は新たな役割をもたせていくというとてもおもしろい企画にお誘いいただいたのだ。

至って本人はノーマルなつもりだけど、A4コピー用紙を最大限に活用する文具をセレクトして紹介していたり、世の中にないから自分で企画して文具を作っているのは立派に偏愛だと認定を頂いた。

また、ポップアップなんて小洒落た名前のもっと昔から使われてきた「行商」というのも大切なテーマだ。
wikipediaによれば行商は、客の注文を受けて運搬して行く配達とは違い、顧客のいそうな地域を商品を運搬しながら販売する方法とされる。
お客様が注文されたものを届ける配達とは違って、需要がありそうなところに足を運んで売ってみるというのが、今のネットで何でも住むご時世に完全に逆張りで面白い。
でもかつて、シルクロードを行き交った商人たちのように、行商はそこにない物を需要のある場所に運びいれて売り歩くすべての商売の起源とも言える。
東京から離れて、むしろそこにない商品を取り揃えて生計をなしてきた自分が、東京に選りすぐりのモノを運びいれて販売するというのは、冒頭で少しもやっとしていた自分がチャレンジするに相応しい面白い取り組みだと思えた。

そんなわけで文具屋である私は、「元とんかつ屋」で3日限りのお店を構えることになったのである。

東京のポップアップ会場に行くと何があるのか?

はじめての東京での出店ということもあり、商品のセレクトにもすごく熱を入れている。
中でも偏愛をテーマにする以上はA4コピー用紙を活用するアイテムたちは欠かせない。

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A4コピー用紙がキッチリ揃って美しい待機状態を作り出すSOGUのPAPER SERVERや、

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コピー用紙を装着するだけで、コピー用紙が発想の道具に早変わりするHINGE PRO、

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更にはA4コピー用紙が美しく収まり、取り出しまでしやすいTHE STORAGE BOXなど、選りすぐりのメンバーを連れて行こうと思う。

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そして、うちのお店ならではのものとして、オリジナルで企画した「付け替えられるハードカバー」というニッチだけど便利なノートカバーや

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文具メーカーの協力を頂いて、名入れでオリジナルペンを作ってきた「DOCKET Office suply」のアイテムたち

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どうしてもお気に入りのマグネットパーツを使って作りたかった、リュックの肩紐を前でつなげて肩への負担を押さえてくれるチェストストラップや

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さらにはダンボールをリユースする際にこちらの気持ちを伝えてくれる箱など、小さなお店なりに考えて作ったオリジナルのアイテムたちももちろんご紹介したい。

スキャン

また、本当にここでしか見れないアイテムとして、現在開発をしている新作「レシートをきれいにスマホカメラでスキャンするための道具」や、「とことんミニマルな新世代ハードカバー」「フォントがかっこいいお店用プライス」など、ニッチにおいては他を全く寄せ付けない様々なアイテムをたっぷりとご覧いただく予定となっている。

なんなら、自分はこんなものを作って欲しいという話をしにくるだけでもいいので、ぜひとも期間中お店に寄ってもらえればと思う。

個人のお店をどう商うか トークイベント

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そして、更に大変お恥ずかしながら、「シーナと一平」さんにはこんな大それたトークイベントまでご準備頂いてしまった。(5/30にて定員となったため募集を終了いたしました)

「偏愛談夜」と称して、うちのお店がどんな風にこれまで走ってきたのか、そして個人のお店でどうやってモノを企画し作ってきたのか、そしてこれからのことをお話させていただければと思う。
説明文にもある「すき」だからこそ「すきま」に気づくという言葉は、過去にnoteにも書かせていただいた内容だけど、うちのお店のエンジンにもなっている考え方だ。
会場は10人から15人ぐらいしか入れないスペースなので、早いもの順にはなってしまいそうだけど、ぜひぜひご参加いただければ嬉しい。
ちなみに1500円という入場料のうち、500円は提供されるドリンク代となり、1000円は今回の大阪から東京への遠征で必要となった経費へのカンパとしてありがたく頂く形となるので、企画していただいたシーナと一平さんには感謝しか無い。これからお店をやりたい人や、自分だけの商品を企画したい人、なんとなくなにかを始めたい人なんかにぜひ集まってもらえたら嬉しい。

新しい出会いを久々に

だいたいこんな経緯で大阪のニッチな文具屋の初めての東京出店は『元とんかつ屋』で元気に開催することになった。
新型コロナウイルスの影響で2年近く行動にも制限がかかり、新しい出会いを得られなかったけれど、まずはここから関東の皆様にお会いできれば非常に嬉しい。

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場所は池袋駅から西武池袋線で1駅。椎名町駅の北口から徒歩4分となっているので関東圏の皆さん、ぜひぜひ遊びに来てもらえればと思います。

6/3(金)は15時頃からOPENして、21時半ごろまでゆるゆると営業しているので仕事帰りの皆様もぜひお立ち寄りいただければ嬉しい。(19時から20時半までトークイベントを挟みます)
そして、6/4(土)と6/5(日)は10時から19時まで営業予定となっているので、週末行くところに迷ったらぜひぜひお立ち寄りいただければと思う。

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皆様にお会いできることを楽しみにお待ちしています!

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会場となるシーナと一平のHPはこちらからどうぞ


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