安楽死について

最近、ワンちゃんの安楽死処置を行いました。人だと「尊厳死」って言ったりします。日本では認められてないので、以前、患者に頼まれて実施した医師が逮捕されたなんてニュースがありました。
動物は、あります。普通に。とは言っても、当院では滅多にありません。海外は割とすぐに安楽死します。「癌」の診断がついたら、まだ全然元気でも、苦しむ前に安らかに眠らせてあげようという感じです。
私の中で、飼い主様が希望されたら実施しますが、一旦、よく家族で話し合ってもらったりします。家族の総意なのかは、特に重要です。

今回、安楽死したワンちゃんは、口の中にできた「メラノーマ」を患ってました。痛み、出血、匂い、顔貌の変形、呼吸がし辛くなり、ついには食べることもできなくなりました。こうなると、あとは弱っていくばかりです。胃にチューブをつけて、強制的に食べさせてあげることも可能でしたが、飼い主様は希望されませんでした。胃瘻で栄養はとれても、顔面の腫瘍は小さくなりません。胃瘻をつけたことで栄養状態はよくなりますが、痛みや違和感、呼吸のしづらさは変わりません。それどころか、栄養が供給される分、長く苦痛が続くことになります。色々なことを考えて、「自力で食べられなくなったら」という期限を、飼い主様が決められたのでした。

注射のお薬で、飼い主様の腕に抱かれながら眠りに落ち、深く麻酔をかけていきます。最終的に心臓が停止するお薬を注射して、天国に送り出します。時間にしてものの3分ほどです。

亡くなったあと、口の中から飛び出て、半分腐っていた腫瘍をメスで切除し、口が閉じるようにしてあげました。身体を洗って、少しトリミングをします。「エンゼルケア」と読んでますが、可愛く眠ってるように棺に納めることを心がけます。むかし、「おくりびと」っていう映画がありましたが、まさにペットのおくりびとだなぁと思います。

亡くなったあとは、飼い主様と少しお話しします。元気だったことや、怪我をしたかと思ったこと、いろいろな思い出が蘇ります。

話がつきないので、「先生、今度ランチしましょう!」ということになりました。さて、お店をさがすとしますかね。

#犬
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