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「ボーダー 二つの世界」見た

Gräns/BORDER(2018年製作の映画)
鑑賞:2020.11.18、記事公開:2020.11.24
監督:アリ・アッバシ、脚本:アリ・アッバシ、ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト、原作:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト

 いい評判を聞くので見ようと思ってたのが、たまたまタイミングがあったので鑑賞。


 事前知識はなし。ビジュアル的にヨルゴス・ランティモスの「ロブスター」みたいなシュール系かな思ってたけど、そういうもんでもなかった。
 シュールっちゃシュールではあるけど、不条理ものではない。

 ボーダーということは、こっちとそっちがテーマで、どういう類の話になるんだろうかと思ったけど、全然想像できないほうへ走り出して面白かった。
 北欧ものではたまに見る素材で日本でいえば「鬼」のようなものだろうか。そんなにかっちり決まってるわけではないけど、それとして出てくる。

 劇中のシチュエーションがタルコフスキーの映画みたいでなかなか綺麗。

 ヨーロッパ北部からは「自然との共存」を強く望むような嗜好を強く感じる。イタリア人でも環境問題に取り組んでいる人はいるんだろうけど、北のほうが意識的な気がする。
 で、この映画を見て思ったのが、厳しい環境の中で唯一頼りにできるのが自然。具体的には動植物なのじゃないだろうか。弱い日差し低い気温長く厳しい冬は、人間に限らず生き物にとって同じく生きづらい環境で、そこに住むなら弱々しい虫や苔なんかも含めた自然と仲良くやらないといけないから自然と融和傾向にあるんじゃなかろうか。
 逆に赤道近くの熱帯雨林あたりでは自然は敵のような存在に感じる。熱い気候と豊富な雨量が自然に味方をしている。危険な生き物(強かったり毒があったり)が人間の命を狙っている。森を焼いて畑を作る。森は焼くくらいやらないと人間が支配することはできないくらい強い。北欧では森を焼いたらしばらくは回復しなそう。
 だから何というわけでもないけど、こう考えると自然環境に意識的な文化も理解できる気がした。

 そして、映画はかなり面白かった。あまり見たことのない、他と似ていないということは素晴らしい。ディテールもちゃんと丁寧にアプローチしてるし、役者も誠実な感じがするし、見れてよかった。

https://books-maboroshi.stores.jp/items/61eeb175e7f5ce19e5e49ebc

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