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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

Swallow
鑑賞:2021/8/1、記事公開:2021/8/7
監督、脚本:カーロ・ミラベラ=デイビス

予告編が印象的で期待が膨らむ。劇場はタイミングが合わず、U-nextでようやく鑑賞。

※※※※※※※  ネタバレあり  ※※※※※※※※

面白かった。
とにかくビジュアルが綺麗すぎる。ペールトーンを基調にビビットな差し色というプランニングだろうか。主人公の肌と髪色を基準にどの画面も色が綺麗。場末のモーテルのシーンでも綺麗な色。これは凄い。

お話はそれほど珍しいものでもないけど、主人公の顔の表情に映画の全てを賭けていて挑戦的で意欲的な判断だと思った。そして、それは成功しているように見える。ヘイリー・ベネットがかなり魅力的だった。そして、旦那の周囲の人の不愉快さ加減もなかなか良い。そういう作品なので仕方ないかもしれないが、あまりにもあまりな旦那家族。

主人公のハンターというキャラクターは難しいように思う。旦那もひどいがその酷さに目を向けなかったのもハンター。金持ちと結婚することがどういうことなのかを考えもしない。自分を騙し切る根性もない。と、あんまり好意を持てない要素も多い。それを逆手にとって、儚さやもろさ、孤独、危うさとお人形のような美しさと静謐さとして魅力的に表現できていたのは凄い。

個人として何より良かったのは本当に最後のエンドクレジットまで繋がるラストショット。自分を偽り自分で自分を傷つけなければ幸せとは何かを問うこともしなかったあまりにも普通にいそうな甘っちょろい女の子が、追い詰められて目を背けていた自分と対峙するまで成長する物語。
ラストショットはトイレに何気無く出入りする女性たちもそれまでに同じような戦いをしてきたと思わせられる。そして、まだ戦っていない女の子には、ちゃんと自分で自分に立ち向かった女の子がいるから、あなたにもできるはず。という強いメッセージを感じる。「ハンターの物語として語ったけど、本当はあなたの物語なのよ」という思いが感じられてグッとくる。

作りもエンタメ要素は入れずシンプルに狙い研ぎ澄まされておりクオリティが高い。

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