とある日本人によるドイツ語との格闘の記録 Teil4 試験勉強編①
最近はなんやかんやでドイツ語を勉強する時間を捻出できず、今まで覚えてきた単語や文法も忘れるという体たらくであり、これはまずいと今まで試してきた勉強法を再び行ってみることにいたしました。今回は自分がどのようにドイツ語と向き合ってきたのか振り返りたいと思います。
Die Meisten laufen beim dauernden Marathon, die Fremdsprachen zu beherrschen 言語習得はグラウンドマラソンである
インターネットでよく「短期間で英語をマスターする方法」といったような記事や動画を目にしますが、正直申し上げると、短期間で言語をマスターできる人間はよほど言語の才能のある方か、言語学習を全く苦に思わず行える方くらいのものだと思います。普通の人間は、たとえ自分に合った勉強方法を効率的に実践できる能力があったとしても、その言語を短期間でマスターすることなんてできません。それとも私がアホなだけなんだろうか。しんどい。毎日がしんどい。なんで私はすぐに覚えたことを忘れてしまうの??と、まるで火垂るの墓の節子のようなセリフが密室で荒れ狂うハエのように頭の中をしっちゃかめっちゃかしているのが私です。そんな状況を改善すべく再びインターネットの海へダイブしてヒントを探すも、結局辿り着く答えは同じ。継続と復習(Fortsetzung und Wiederholung)です。同じことを何度も何度も何度も繰り返すのです。まるでグラウンドを体力の続く限り周回するようなものです。正直とても辛いです。
しかし小学生時代、マラソンのコーチが私達生徒にアドバイスをくれました。「マラソン中は前をしっかり見据えて先にある何かを目標にするといい。例えば次の電柱まで。それを超えたらまた次の電柱まで走る。それを続けていけばゴールまで辿り着ける」と。
グラウンドであったら、1周目、2周目、3周目と目標の周まで数えていく感じでしょうか。気が狂いそうですが数えないよりかはマシでしょう。
言語学習は私にとっては時間無制限のグラウンドマラソンのようなもので、辛ければスピードを弱めることはできますが、そもそもゴールがないので諦めない限り永遠に走り続けるしかないのです。おそらく私のグラウンドマラソンはドイツに住み続ける限り終わらないのでしょう。
ですからそのコーチが仰ったように、自分で小さな目標を立て、そこに向かって走るのです。そこで得た達成感が次のステップへと進む力となります。その目標(das Ziel)こそがゴールのない周回地獄を続ける力となるのです。
さて、それでは実際私がどのようにドイツ語を勉強してきたか、順を追って思い返していきたいと思います。
Schritt 1 : Ein Grammatik Buch bekommen ステップ1:文法書を手にいれる
私は日本の学校でドイツ語を学んだ経験はなく、ほぼ独学でこれまで勉強してきました。ドイツ語を始めた当時に言えた言葉はヌルヌルズィーベン(007)とバウムクーヘンくらいなものだった私には何が何でも文法書が必要でした。そもそも何故ドイツ語に興味を持ち始めたかといいますと、それはとある映画からだったのですが、その話はまた後日ということにしておきますね。
まさか自分がドイツに住むことになるとは露知らず手に入れた文法書。それが前回の記事でも紹介したベレ出版の「本気で学ぶドイツ語」でした。
ただハリウッド映画で悪役が喋るドイツ語やミュージカルのナンバーが聞き取れたら嬉しいな、くらいのノリで買ったと思われる(当の本人も覚えていない)本書ですが、これが今でもかなり役に立っております。というのも、この本には前回紹介した形容詞の格変化(Adjektive Deklination)や冠詞などの変化が全て表で表されており、それが今でも文を作るときの土台になっているからです。特に形容詞の格変化(定冠詞が付いている場合)の表は、enを色付けするとまるで椅子のような形になるという説明があり、それが私の頭にピタリとはまったわけです。
ドイツの友人とは全て英語でやりとりをしていましたし、当時この本をすでに持っていたかどうかも記憶が定かではありません。しかし配偶者と結婚を前提として付き合い始めた頃には、この本を中心にドイツ語を学んでおりました。とは申しましても、その頃も挨拶以外は全て英語。つまりは、全くドイツ語学習に真剣に取り組んでいなかったわけです。むしろ英語学習の方はスペイン人の先生と週一ペースで取り組んでおりました。
ところで先生、お元気に過ごしてらっしゃいますか?ちゃっきーは先生のおかげでここまで来れました。英語もまた喋れるようになるといいな。
Schritt 2 : Das Training anfangen, um A1 Niveau zu erreichen ステップ2:ドイツ語A1(初級)レベルに達するためのトレーニングを始める
さて、ここから本格的な勉強が始まります。と言いますのはビザ取得のためにA1レベルのドイツ語知識の証明が必要だったからです(私の場合は配偶者ビザの取得となりますので、その他のビザにA1の証明が必要かどうかは分かりません)。さあどうやって勉強しようか。
「まあ、独学にきまっとるじゃんね!」
そんなわけでゲーテインスティチュートの試験対策を徹底的に行いました。ありがたいことに、ゲーテさんのサイトにはレベル別の単語リストなどがダウンロード可能であったため、試験対策のコースに通わずとも独学で準備ができました。
しかしそれだけではやはり不十分です。何故かというと、試験内容には聞き取りとスピーキングが含まれているからです。単語リストと文法の暗記だけでは到底無理な話です。というわけで超内向的な私が選んだ解決策は、まあ言わずもがな、試験対策用問題集でした。
当時私が購入したのは、Hueberという出版社の「Fit fürs Goethe-Zertifikat A1」というものです。アマゾンで普通に買えました。この問題集は、聞く(hören)、読む(lesen)、書く(schreiben)、話す(sprechen)のカテゴリごとにTipps(アドバイス)がありますし、A1レベルに必要な語彙力も備わるように作られています。ドイツの出版社から出ているのでもちろん全てドイツ語で書かれていますが、ある程度文法の基礎が身についていれば辞書を引けばなんとなく理解できると思います。そしてCD付きであるため、スクリプトを読みながら繰り返し発音を聞くこともできますし、模擬試験もついているので徹底的にやり込めばきっと自信はつくはずです。
追記:上記の問題集ですが、私が試験を受けてからもう数年経過しているので、もし今後ゲーテのA1試験を受ける方がいましたら勿論最新版を手にとっていただいたほうがいいと思います。あとHören(聞く)の模擬試験はYoutubeでDeutsch Test A1などと検索すると結構出てきたりしますので、雰囲気を味わいたい方には良いかと。
ただ私の場合は聞き取りが大の苦手であり、スクリプトを読みながらでも発音が理解できず大分落ち込みました。しかしA1試験の聞き取り問題の中にもB1(中級)レベルの文法が含まれていることもありますし、そもそも初心者なのだからそんなに悲観的になる必要はなかったと後になって思います。とにかく聞く、読むに関しましては、分からない単語は聞き流す、受け流すのが良いと思います。なぜかといいますと、重要な単語だけ分かっていれば解答の予想ができるからです。あと普段の会話や書類などを読む時も、分からない箇所はとりあえず無視したほうが脳の負担にならないと思いますし、分かった単語から推測して次の会話を進めることも可能です(もちろん本当に分からない場合はちゃんと聞き返したほうが相手にとって親切です。ただ毎回「Was hast du gesagt?(なんて言った?)」と聞き返すのも勇気がいります。それを回避するために日々勉強しているのが私です)。
スピーキングの訓練に関しては、やはりパートナーがいるに越したことはないのですが、それでもゲーテの公式Youtubeチャンネルにスピーキングテストの様子を映した動画がありますし、上述の問題集で何度も練習すればいけるのではないかと思います。私の場合は配偶者がいましたので大分助けてもらいましたが、パートナーがいなくとも文明の利器(スマホ)でスピーキングの練習はできると思います。まあ要するに自分自身を最高のパートナーにすればよいのです。
ちなみに私、大好きな言語学習系Youtubeチャンネルがあります。「りゅうの留学英語チャンネル」というのですが、見てて共感することばかりでとても勇気づけられるのです。
彼の動画の中で紹介されている「独り言英会話」、私も試してみましたが初日でメンタルが崩壊したのでこれを続けられるりゅうさんはとても強い方だと思います。おそらくですが、この独り言学習法は一人で行うスピーキング練習にはうってつけではないかと思います。
ちなみに私も再び独り言独語をやり始めました。毎日、今日一日の振り返りを録音していますが、文法を覚えたい場合は、今日学んだ文法を使った文を先にノートに書き出して、それを音読するといいのかもしれません。今度試してみます。
Mein Marathon geht noch weiter マラソンはまだまだ続く
これ以上書くと長くなるので、今回は前半後半と分けたいと思います。独り言独語の成果も記事にできたらいいな。
あの、まったくの余談なんですけど、独学として独り言で独語をつぶやくって独独独の三連チャンでちょっと笑っちゃった。