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アイドルマスターシンデレラガールズに人生を救われた話

人間誰しも生きていれば心や身体がどん底に落ち込むことってあると思う。病気や怪我、家庭環境、人間関係、将来への不安、等々人間生活には難しい問題が多すぎる。

私にもそんな時期があった。その時のことをこっそり綴っておきたいと思ったので書いていくことにする。
なぜそんなことを思ったのか?
きっと今まさに人生の岐路に立っていて、辛かった時のこと、でもそこから立ち上がってどん底から上がってきたことがあるのだと、そんな証を残しておきたかったのだと思う。





最初に言っておくと、私は可能性というものが狭まっていくのが嫌いだ。とてつもなく、度し難く嫌いだ。

田舎で産まれた私は、暮らしの様々な場面において選択肢の少ない点が好きではなかった。いつも同じ店に行って、売られている種類の限定されたものを買い、決まりきった交通手段で決まりきった道を通って帰る、寄り道するお店も娯楽もない、毎日がそうなるしかない、そうするしかないルートに沿って生きる、そんな閉塞感しかない暮らしが好きではなかった。
その点都会は可能性に溢れているように思えた。電車に乗ったり地下鉄に乗ったり、店だって溢れるほどあるし、その日の気分で選びとる生活が出来る、そんな憧れがあった。

実際、大学進学にあたり、ある程度の都会に出た私は毎日がとても楽しかった。
他にも選択肢がある中でこれを選んで一日を送った、という実感が毎日あった。
一人暮らしをしたことも手伝ったのかもしれないが、私は自由なのだ、と思った。毎日が輝いていた。

でもそんな暮らしは永遠ではない。学年が進んで、就職先など将来のことを決めなければならない時が来たのだ。
国家資格を取る系の学校で、その資格がないと働けないという学科だったので、そのために勉強するのだが、私は働きたくなかった。
そう、どうしても働きたくなかった。
というよりは、大人になるのが怖かった。
今まで何にでもなれると思って生きてきた道が、いつの間にかどんどん狭まってきて、もうそれにしかなれない、という可能性の減少が怖かった。もう引き返せないと思った。自由な人生の終わり、あとはキリキリ働いて死ぬだけ。終わりの始まりだと思っていた。
そんな時期にあって、実家の家族のことも絡んできていた。
母親が精神を病んでしまい、家族全員のサポートがなくてはやっていけないようなくらいバラバラになっていた。家族は疲弊していた。就職はまた田舎に帰らなければならない。
ただでさえ大人になることに強烈な不安があった私は、輪をかけて嫌な田舎に戻らなければならないという、可能性を狭められる現実に直面し、ついには頑張ることを辞めてしまった。

絶対辛いとわかっている未来に向かってはどうしても頑張れなかった。特に不安もなさそうに毎日勉強を頑張る同級生達が信じられなかった。正直気味が悪かった。自分とは違う生き物のような気がした。


国家試験は6割の点数が合格ラインだったのだが、最終学年の春頃の模試では3割にも満たない点数だった。
本番は年明けの2月。もうそこまで迫ってきていた。
それでも頑張れなかった私に、ついに担任から最終勧告がなされた。
「あなたの今年度の卒業は見送ります」と。
大学のホームページの国家試験合格率は常に100%に近かった。受かる見込みのないものはそもそも試験を受けさせないのだ、という闇をその時知るのである。

もう頑張っても無駄だと思ってしまった私はついに学校に行くのを辞めてしまった。
バイトして酒を飲んで、ソシャゲして寝るだけの日々。
ハマったパワプロアプリで順位報酬を取ろうと睡眠時間を削りに削った結果、ついにはバイト先で倒れてしまった。バイトも暫く来なくていいと、休むことになった。

そこからは絵に書いたような引きこもりだった。どん底だった。
将来にも希望はなく、今の体たらくを吐露できる家族状態でもなく、完全に1人で抱え込んでいた。
なんて弱いのかと、自分に絶望していた。
一日中パソコンとスマホ、ゲームに齧り付き、外に出るのはコンビニにご飯を買いに行く時だけだった。
コンビニも、万が一にも大学の知り合いに会わないように遠くのコンビニにわざわざ行った。時間帯もわざと変な時間に行くようにした。何をしてるんだろう、と思いながら。


そんな毎日を繰り返していたある日、転機が訪れる。
こんな状態になっても気にかけてくれる友人からこんなLINEが来たのだ。

「デレマスのアニメ観てる?」

その友人は浪人生で1つ年上だったが、アニメやゲームなどの趣味が合い、元気な時によく遊んでいた。友人はアイドルマスターを好きだという話は以前からしていた。ラブライブ!にハマっていた私にオススメしてくれていたのだが、なんとなく歴史あるコンテンツな気がして、どこから触れたらいいのかわからず、そのままになっていたのだ。

そんな友人からのLINE。アイドルマスターにも色々と種類があるのはなんとなく聞いていたが、デレマスが何なのか、当時の私には分からなかった。
番組表を観ると、どうやらアイドルマスターシンデレラガールズというアニメの2ndシーズンをやっているらしい。
どうせすることがなく有り余っている時間。惰眠を貪る日々だったので、録画してみてみることにしたのだ。

正直期待していなかった私は、OPで心を揺さぶられることになる。それがこの曲。

「shine!!」という曲だった。
なんて素敵な曲なんだろう、と思った。
何回も何回も巻き戻してOPを聴いた。
気づいたら涙が出ていた。
その時の私に必要な言葉が歌詞に沢山散りばめられていたからだ。


思い通り行かない夜に空を見上げた 曇り空でも星はきっとそこにあるよね
ねぇ探していたのは12時過ぎの魔法それは
この自分の靴で今進んでいける勇気でしょ?
新たな光に会いに行こう
生まれたての希望を抱きしめたら
新たな自分に会いに行こう
この笑顔が君まで届くように走れ


灰色に見えていた世界が久しぶりにカラフルに見えた。曇り空でも星はそこにある、新たな希望の光を見るために、今この自分の靴で、勇気を持って1歩踏み出そうよって、そんな歌詞に本当に励まされた。
絶望して魔法がとけてしまった私の、探し求めていた12時過ぎの魔法。その魔法をこの曲がかけてくれたのだ。


それから私は、1stシーズンの再放送を全部観つつ、リアタイで2ndシーズンを追っていった。その内容は、主人公の島村卯月が周りのアイドルがどんどんキラキラしていく中、なんの個性もないと思い、焦りからどんどん追い詰められていく。プロデューサーには笑顔が良いのが個性だと言われるが、「笑顔なんて誰でも出来るもん!」という結論に至って頑張れなくなってしまう。そんな彼女が立ち上がっていくストーリーであった。

まさにその時の自分を見ているようで、なかなか辛い部分もあったが、一緒にがんばろう、自分ももう1回キラキラするんだと立ち直るきっかけをくれた。

そこからはまた大学に行くようになり、卒業試験を受けさせる予定は無いと言われていたが猛勉強によりその後の模試で合格圏内の点数に入り、卒業試験受験の資格を得る。その試験を突破すると、その後の国家試験も無事合格。その後の就職活動で実家近くの職場に採用される運びとなった。

本来1年以上かけて望む国家試験におよそ5ヶ月ほどの勉強で挑んだことになる。本当に大変で、挫けそうになることもあったが、シンデレラガールズのアニメと、この曲が、私を支えてくれた。





という事があったのである。もう何年も前のことになる。シンデレラガールズのアニメは当時賛否があったようだが、私は本当に名作だと思っている。
特に、島村卯月というキャラクターはこの先一生好きでい続けると思う。

今でも都会暮らしに戻りたいと思っているし、退屈で大変な毎日だけれど、思ったより大人の世界も苦しいことばかりではなくて、楽しいこともあって、それなりに折り合いをつけてやっている。
今また人生の岐路に立っていて頭を悩ませる日々だが、この時乗り越えられた私なら大丈夫だと信じることができる。

悩める人が居れば、この作品を見て欲しいと思う。きっと何か、前に進むきっかけが転がっているはずだ。


とにかく、アイマス最高!て主張したところでそろそろ終わろうと思う。



それだけじゃなかったな。
実はこのアイドルマスターが、月ノ美兎という大好きなVtuberと私を引き合わせてくれるのだが、それはまた未来の話である。



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