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好きな水辺:木の俣渓谷

前回は板室温泉での初日。板室ダム湖と温泉の話をした。
今回は2日目の記録。
 ※2023年10月の旅行
(↓1日目)


勝風館の朝

さすがは湯治の宿で、女性客は5~6人と思われるが、全員が朝風呂に入っていそう。一人になる瞬間がほぼなかった。みんなの温泉に対する「本気」を感じる。
朝食を挟んで2回朝風呂に入るのはレアな経験だった。
バスの時間との関係で、10時ギリギリに出ればいいのだった。
 
バス。沼ッ原湿原行きのバスである。
9時半ごろに電話をしたら(受付10時からって書いてあるのに)、「大丈夫ですよ」と快く受け入れてもらえたのだ。天祐。乗るしかない。
 
10時に出て温泉街を散歩。ここの奥には「加登屋旅館」の本館がある。
大正時代に建てられた文化財の建物。(宿泊は現在は新館のみ)
本館は静まりかえっていた。昭和を通り越して大正の空気。建築が好きな人は外観を見るだけでも楽しいだろう。

戸に手をかけたら 開いたので すぐに閉じた

加登屋旅館の裏手、神社へ続く道の入り口で「ここらで一番おいしい水」なるものをペットボトルに入れた。

実際よかった

10時30分。板室温泉にバスが到着。
乗客は3人だった。空席だらけである。
私1人だけが乗り込み、計4人で沼ッ原湿原へ向かった。

熊すずを鳴らして沼ッ原湿原を行く

バスはどんどん道を登った。30分で到着。
駐車場にはそれなりに車があり、ハイカーたちの姿が見える。

調整池が眼下に広がっていた
レクリエーション……熊との?

熊の看板を横目に、さあ歩くぞ今日は。
この旅の直前に、「熊すず」を購入したのだ。
リュックにつけたこれが効果を発揮すれば、熊には出会わないはずである。
(家を出る前にこの鈴をうっかりリビングで鳴らしてしまったら、宗次郎くんがめっちゃ目を丸くして警戒した顔になった。猫にはきく)

りんりんりりん、鈴が鳴る。
なんだかうれしい。風情がある、というのか。
これで私もいっぱしのハイカー、と気分をよくして歩いた。
途中すれちがったおじさんが「ここ熊いるぞお」とつぶやいて去る。
おじさん、それ「今」「そのへんに」いるの? どうなの?
 
階段をずいぶん下りる。天気はやや曇りがち、ときどき陽光を感じる。空気は最高にいい。寒いけど。

またしても人のいない場所に行く才能を発揮してしまった

湿原を見渡す展望デッキに来ると、もう人間は私だけだった。
あのハイカーたちはどこへ。三斗小屋温泉へ向かったのだろうか。
湿原の中、木道を歩く。さほど広くないのであわてて戻らなくてもよいのは助かる。

帰りはキノコにも出会えた。
熊の姿は見えなかった。熊すずの効果か。

かわいらしい
秋のじゅうたん
お隣の塩原は「紅葉したよ!! 見て!!!」って感じで
板室周辺は「ほほ……人間の皆さまはこれを紅葉と呼ぶのですね……」って感じ(何)

幸の湯温泉で一息入れる

帰りのバスでは、板室温泉の少し先にある幸の湯温泉で下りた。
(このシャトルバス、乗客の携帯番号と乗車場所・降車場所をあらかじめ確認してくれて手厚い。往復1便しかないから万一があってはいけないということか……)
幸の湯温泉は今回の旅で最も人気の温泉だった。
土曜の午後ということもあり、多くのお客が来ていた。
周りを囲む木々の様子が最高に爽やかな露天。打たせ湯が4本、豪快に水しぶきを立てていた。ちょっとだけ打たれてみる。いだだだだだ……ってか髪濡れる。
内湯は外気を入れつつ、しっとり暗めの照明で落ち着いた空間。
メリハリがきいている。今回の温泉ではナンバーワンの洗練度と感じた。

大広間で食べたごぼうからあげ 驚きのうまさ

入館時は気づかなかったが、宿のフロントには孔雀がいた。ハッピーちゃん。7月に生まれたばかり。みんなのアイドルだそうで。
宿の人「撫でてもいいよ。猫飼ってる人はダメだけど」
おっとー
「まあ、つつかれても大したことはないから」
手を出してみた。つつかれた。
あんなに色んな温泉入ったのにまだ猫のにおいしてんのか私。

私が手を近づけると ハッピーちゃんの目の色が変わった

大本命・木の俣渓谷へ

幸の湯から少し下ると、いよいよお目当ての木の俣渓谷
人気スポットらしく、家族連れや若者のグループがいた。ここ、若い人来るんだ。

静かな水辺 川底が私の好きな感じ

渓谷は小暗い。左右、鬱蒼としていて陽光が入る時間は短そう。そのうえ曇り。
しかし美しい。落ち葉は緑の川底に折り重なり、あるいは川面を滑り、いとをかし秋の情景。

水底の落ち葉 もっときれいだったけど上手に写せず無念

遊歩道があるのでぐるっと回った。こちらは人がほぼいない。
キノコはところどころいらした。

メルヘンを感じる
来た道を戻るときに見つかったりする

「自由昇降区間」を信じて

川辺の岩に腰かけてアナログの旅行ノートを書きつつボーっとしていたら誰もいなくなった。これ以上一人でじっとしていると本当に熊が出るかもしれない。
バスの「自由昇降区間」(アピールすればバス停でなくても乗車・降車可)なので、とにかく黒磯方面へ歩いていくことにした。道は一本だから迷う心配はない。
幸の湯で使った手ぬぐいを片手に乾かしつつ、道の端っこを歩く。
横を車がびゅんびゅん飛ばしていく。
「うおっなんでこいつ歩いてんの!?」みたいな感じで大きめに避けられる。(もちろん他に誰一人歩いていない)

※注意!! バス停「木の俣」は木の俣渓谷からけっこう離れている。黒磯駅から向かう際は、その先のトンネルを抜けたあたりで降りるとよい。あらかじめ、運転手さんに「木の俣渓谷で降りたい」と伝えておくとよいかも。

30分ほど歩くと、背後からバスがやってきた。
ここぞとばかり手ぬぐいを振り回す。バスが止まった。
すごい。本当に止まってくれるんだ。
16時半、すっかり夕方。安心して座席に身を沈める。お客は7、8人だった。

夢の図書館・みるる

黒磯駅に到着。
沼ッ原湿原に行ったため時間がもうないが、
当初は駅前の図書館でゆっくりしようと思っていた。
那須塩原市立図書館 みるる

本当に駅のすぐそこ

電車が来るまでの10分少々、中を通り抜けるだけでも……
 (いそいそ)
……いやーーーーこれが市の図書館とか、うらやましすぎ!!
何このワンダーランド!?
あまりにも魅力的すぎる。
ここで半日過ごすために黒磯まで来てもいいくらいだ。

宇都宮で意地でもギョーザを食べる

18時半、宇都宮に到着。
せっかく鈍行なんだから途中下車してギョーザを食べなければウソである。
エキナカはさすがに混雑。外に出てすぐあった宇都宮餃子館に入る。
スマホ注文システムで、ちゃんと来るかな、と不安に思ったが、
程なくして注文通りギョーザがテーブルに並んだ。

・健太ギョーザ(店の看板餃子) ・チーズ ・しそ
(どれがどれかは食べてみるまで不明)

6個×3皿。おいしかった。
純粋にギョーザしか頼まなかったので4皿目もいけたかもしれないが、自重した。好判断。

帰りはマジの各駅停車でゆっくり帰った。(さすがに長かった)

2日間、温泉につかりまくり、最高の水辺を堪能しまくった。
予定外のハイキングもできたし、やれることは全てやりきった感がある。
 
今度はSUPのシーズンに行きたいなあ。

川面を滑りゆく落ち葉の美しさも 写真にはうつらない



(↓塩原もすごくいい↓)

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