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20200925 新たな旅立ち

今週で年度前半戦終了〜
昨日は当直だったので、2日分振り返り
台風は来ませんでしたね・・・
(※写真は松江城のお堀です)

午前

【朝カンファ】
・目新しいところとして、イムランⓇ(アザチオプリン)使用前の遺伝子変異検索について。これは後輩達が調べてくれてました。イムランⓇの副作用として血球減少がありますが、近年重度の白血球減少と全脱毛がNUDT15遺伝子多形と関連していることが報告されています。

・この遺伝子多型を検出できるキットが開発されAMED研究としても報告されています。これをうけて平成31年2月からNUDT15遺伝子多型検査が保険承認となりました。算定要件は以下の通り

難治性の炎症性腸疾患、急性リンパ性白血病及び治療抵抗性のリウマチ性疾患(全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病及び難治性リウマチ性疾患)の患者であって、チオプリン製剤の投与対象となる患者に対して、その投与の可否、投与量等を判断することを目的として、当該薬剤の投与を開始するまでの間に1回を限度として算定できる。

・ちなみに日本人の1%にCys/Cys型の変異があり、この変異がある方が重篤な副作用が出る可能性が非常に高いためチオプリン製剤を使用しないようにしましょうとされています。またArg/CysやHis/Cys変異では低用量から始めたら良いのでは?となっていますが、この群の頻度は17.8%、<0.05%とバラツキがあります。

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(リウマチ性疾患に対するアザチオプリン使用に関する通知より)

・まあ、それほど頻回にイムランⓇを使用するわけではないのですが、備忘録的に・・・

【予約外外来】
・外国人の方の診療に携わる機会が時折あります。今回は某アジア圏から夫の仕事の関係でいらしているご夫婦。話せるのは母国語とわずかに日本語、そして英語です

・自分は英語ネイティブではないので、なんとなく日本語ちゃんぽんの英会話になることが多いです。外来で看護師さんに聞かれているの恥ずかしいですよねえ。ポケトークとかもあるんだけど、流石に手間が多いなあと。

・あと、慣れていない分、何だかフランクになり過ぎちゃう嫌いがありますよね。ファーストネームで呼んだり、挨拶とかもニュアンスが分からないと医師患者関係をつかみにくいなあとか思ってしまいます。とはいえ、英語ができる人にとって英語で話しかけられるとものすごく安心するんだそうです。

午後

【昼カンファ】
・専攻医提示の特発性気腹症症例。主訴は肩の痛みでした。いわゆる”ケール徴候”が有名で、異所性妊娠や卵巣出血などでも経験しますが、ガスでも起こるんだなあ・・・って考えながら、ちょっと調べてみました。

・Pubmedで”shoulder pain”と”spontaneous pneumoperitoneum”で検索すると、珍しいけどあるにはあるみたいですね。

・そして、何やら興味深いのが、腹腔鏡手術の際には肩が痛くなる方が多いんだと。それってまさにガスじゃん!っと思って調べてみると、それを軽減するためのランダム化比較試験も出てきました。この研究ではコントロール群の実に60%に肩の痛みが出ています

・せっかくなので、院内の外科の先生と産婦人科の先生に聞いてみました!

外科医
「あ〜ありますよ。そんなにしょっちゅう経験するわけではないけど、ありえると思います。気腹の関係なので、最近は少しゆっくりしたスピードでガスを送り込むようにしたりしてますね。頻度は正直軽い人もいて、報告しない人もいるんじゃないかなあと思いますし、実際手術中の体勢の問題もあるかもしれませんよね」
婦人科医
「あると思いますよ。僕はあんまり腹腔鏡やらないけど、やってる施設では出ることがあると思います。あと不妊治療の検査の時に卵管の通気を確認する時に卵管から二酸化炭素ガスを送り込むんですけど、その時に肩が痛くなるんですよね。肩が痛くなったらちゃんと通気されたという証拠なので・・・」

・ということで、非常に興味深い知見を共有してもらいました。横隔膜刺激による肩の関連痛はガスでも頻回に起こることを学ばせてもらいました。いやあ、学びましたね。

【外来】
・亀背による慢性呼吸不全の患者。結局低換気状態で酸素化保てず在宅酸素療法を導入中。超高齢でACPを実践しながら、在宅医療と通院と併用しています。この手の問題点はお金がかかることですよね。ここからスムーズに移行できるか??

・もち麦が便秘解消に繋がったという方。もち麦はいわゆる大麦の一種。大麦の繊維含有量はかなり多いことが知られており、100gあたり9.6gとかなりの含有量です。なるほど、繊維摂取量が増えたことが便秘解消に繋がったわけですね!食物線維の摂取量を増やす栄養指導をどうするかは毎回悩ましいのですが、こういったやり方があるんだなあと思いました。


というわけで今週も終了〜
半年で入れ替えなので、異動の季節でもあります。
当院プログラムの3年目がいよいよ当県を離れます。
わざわざ挨拶に来てくれて本当にほっこりしました。
これからも頑張れ〜

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