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アメリカ学校あるある5️⃣: 学区のいいところに家を買う

昨日も述べたように、私立校の年間授業料が650万円以上もするアメリカでは、普通のサラリーマン家庭では公立校ほぼ一択だ。そこで学校・教育システムがいい街の家を買う(または借りる)。

アメリカでは結婚すると家を買うのが一般的。日本のように土地を買い家を建てるのは少なく、中古住宅を購入し自分たちの好きなように改築する(もちろん何もせずそのまま住むパターンも多し)。

「賃貸住宅に住み続けると損をする」というのがアメリカの常識。中古住宅市場がホットなアメリカでは、よほどのことがない限り値が下がらない。購入時3000万円の家の価値が、10年後3500-4000万円くらいになることも珍しくない。

3000万円の家を30年ローンで買い、8年後に3500万円で売ったとする。残金2500万円だとすると差額1000万円が手に入るので、不動産手数料と経費を引いても900万円ほど残り、それを頭金にして4500万円の家にアップグレードする。家を買い替える際、転売で儲けた資金は初回に限り課税されないので、それをうまく利用する。家のローンがあれば税金控除も受けられるが賃貸ではそれもなく、しかも払った家賃は返って来ないので、長い目で見れば住宅購入の方が数十万円以上得をする。

なので結婚して二人用に小さな家でスタートし、子供が学校に入る頃に大きめの家を買い替えるのがパターン化している。

その時点で子供をどこの学校に入れるか真剣に考える。前回述べたように、市町村の公立学校は幼稚園から高校まで無料。高校のランキングが高いのは、受験で賢い子供を集めているのではなく、小中の教育システムがしっかりしているからで、必然的に地域全体の学校レベルが高い。

とはいえ、高校4年間子供を通わせるためだけに、そこの町にアパートを借りて引っ越してくるちゃっかり組もいる。

学区のいい市町村は、小中高に入る前の住居証明チェックが厳しい。税金や光熱費などの支払い証明など公的書類提出が求められる。一度だけでなく、二度以上のところも多い。それでも複数の家庭で一つの住所をシェアして証明書を出すなどインチキをして入学してくる輩も多い。

州の公立高校ランキングで常にトップ10に入るわが町の高校に住居証明をごまかして入学しても、バレると学校から即追放され、町の規則で罰則金が徴収される。

数年前に「住民と偽って不正入学し退校させられた生徒が数百人おり、罰金が2000万円以上になった。そのお金は○○に使う」と町から報告があった。それくらい熱狂的保護者がごまんといるわけだ。

わが家は結婚した時子供のことも考えず、二人が通勤に便利なところだからという理由だけで現在の家を購入。「どこに住んでいるの?」と訊かれるたびに「おー学校がいい!」と言われ、驚いた。

テキトーに引っ越してきたら、子供に最適な環境だったという幸運に恵まれた😅

98年当時は今のようにネットで検索もなく、口コミや不動産情報が頼りだったが、今では世界中から調べてうちの学校に来るから驚きだ。

長男のときにはそうでもなかったが、5歳下の次男が小学校入学した2010年代には、中国・インド・ギリシャ・トルコ・ブルガリア・ブラジルその他北アフリカ諸国などから入学してきて、一気に国際色豊かになった。

不動産価格も高騰しているが「子供のためなら多少の犠牲は我慢する」とばかりに、大きい家が好みのアメリカ人と違って、小さめの家に一家で引っ越してくるのも外国人は厭わない。

よってアメリカでは「学校のいいところ=不動産高額」「私立行かせる家は桁違いの金持ち」という図式なのである。

(上写真は2年前の長男の高校卒業式)


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