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日本中の美食倶楽部を旅する

スペインバスクで美食倶楽部という文化に出会い、惚れ込んだ。日本でもこんな場所をつくろうと心を決めた時から、明確にイメージしていた未来像がある。

それは1人の旅人の姿。全国各地で、それぞれの地域の特性を持った美食倶楽部が生まれ、旅人は美食倶楽部を巡る旅の途中だ。

美食倶楽部はシェアキッチン「スペース」であるとともに、コミュニティだ。そこには必ず人がいる。夜中から海に出て魚を獲る漁師や、朝採れの野菜を届ける農家、食材を見事な一皿に変える料理人やかーちゃん達、そしてもちろん美味しそうに食べる町の人々。彼ら彼女らが、そこでかき混ざる。

旅人は、人々が集うその明かりに吸い寄せられるように美食倶楽部を訪れる。この細長い島国の津々浦々で、季節とともに姿を変える自然・食文化・そこに住む人々への理解を、じっくり深め味わっている。パンフレットに載る「商品」として観光客向けにつくられたものとは違う、地元の文化と日常が外部と接合する場所。そんな拠点が全国に広がればと。

美食倶楽部@秋保

9月。ついに初となる東京以外の美食倶楽部が誕生した。

場所は宮城県。主役は、仙台駅から30分ほど先にある旧秋保町でワイナリーを営む毛利親房さんと、宮城はじめ東北の地域づくりの仕掛け人の千葉大貫さん。彼らの進める「テロワージュ東北」とのコラボの形だ。六本木でやっているような「店舗型」の美食倶楽部ではなく、定期的に企画を行う「イベント開催型」の美食倶楽部だ。

こだわったのは、美食倶楽部(一緒に料理して飲んで食べて)をする前に生産現場を訪れることだ。

自分の身体をつくる食べものについて、僕ら都会の生活者は驚くほど何も知らない。世界に誇る物流システムや流通の仕組み、何かあったら責任を押し付けられる販売者のおかげで、知らなくても考えなくても食べていくことができる便利な世の中になった。農家や漁師と食べる人の間に、大きな断絶がある。

ただ食べるだけでなく、自ら手をかける、料理することにより、食材への理解が深まり、見える世界の解像度がまったく違うものになる。これは自らの経験で実感してきたことだ。美食倶楽部を通じて、このつくると食べるの断絶が、美味しく楽しくハッピーにつながっていく世界をつくりたい。その思いから、宮城でも生産現場を訪れそこで収穫した食材を料理するというスタイルでキックオフイベントを開催した。

少し秋めいてきた9月のある日。東京や東北各地から集まった参加者は仙台を出発し、宮城県南三陸町を目指した。訪ねたのは、ワカメやホタテの養殖を営む漁師の高橋直哉さん。ホタテの収穫と、出荷のための付着物の洗浄作業を体験させてもらった。実は当日は波が高く出航できないリスクもあった厳しいコンディションで、早速漁業のリアルを体験する形となった。

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(ちゃっかり我が息子たちも参加。付着物の宇宙のような世界にぞっこんになっていた)

ホタテを抱えて秋保を目指し、後半は美食倶楽部。開催場所は、古民家を改修し驚くほど素敵な空間として生まれ変わった「アキウ舎」。アキウ舎のシェフの皆さん監修のもと、総勢30名が一緒につくって食べて交わって。特別な1日となった。

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実は僕の原点は旅にある。世界中を旅し、帰国後は東北そして日本全国の生産現場をまわった。旅の中で料理を学び、食べものをつくる人たちの美しさに心を奪われた。

漁を体験し、地元の人たちと一緒につくって食べて飲む。こんな旅ができる拠点を全国につくり、旅する人の流れをつくりたい。それが美食倶楽部の目指す世界の一つの姿だ。初の地方版として、素晴らしいキックオフになりました。関係者の皆さん、ご協力誠にありがとうございました。

みなさん、旅しましょう。日本の美しい食の世界を。

↓Webサイトが新しくできました!(写真をクリック)↓

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