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2021年6月新刊|『昭和の映画絵看板 看板絵師たちのアートワーク』


★映画看板_書影


モノクロでも目を引く、アラン・ドロンの視線が印象的なこの表紙。
これ実は、看板に描かれた絵なんです。

昭和の映画絵看板  看板絵師たちのアートワーク
(監修:岡⽥秀則 企画:貴⽥奈津⼦)が、本日 6月16日発売です!




かつて、映画館の前には人の何十倍もあるような手描きの絵看板が飾られていたことを、皆さんご存知でしょうか?

映画観客人口が11億2,700万人の過去最大を記録した昭和33(1958)年。
その映画全盛期、映画館や劇場街には巨⼤な「⼿描きの絵看板」が "広告塔" として掲げられていました。

今とは異なり、「ひとつの作品を短期間で変更していく」上映方法が当たり前であった時代。
その上映スケジュールに合わせて絵看板も次々と掛け替えられ、その人の目を引く華やかさと短期間で掛け替えられる儚さから、映画絵看板は「⼀週間の芸術」とも呼ばれました。

短期間で替わることと、当時映画があまりにも⽇常的であったためか、絵看板を背景ではなく「主役」として写した記録写真は僅かしかなく、今や貴重な資料となっています。


西部に賭ける女

通りを歩く人々の何十倍の大きさもある絵看板。大きいものは数十メートルに及ぶものもあったそうです。
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『西部に賭ける女』 Heller in Pink Tights
東宝敷島劇場/敷島シネマ
1960年公開
監督:ジョージ・キューカー
出演:ソフィア・ローレン、アンソニー・クイン

旅芸人一座の看板女優にソフィア・ローレンが扮し、借金を背負った劇団の命運と彼女をめぐる色恋沙汰がコミカルに描かれる。女優の魅力を最大限に引き出す名手、ジョージ・キューカーが演出を手がけた異色西部劇。

シェーン

『シェーン』 Shane
スバル座
1953年公開
監督:ジョージ・スティーヴンス
出演:アラン・ラッド、ジーン・アーサー

19世紀末のアメリカ、牧場主たちが開拓者の家族を追い払おうとしているところに、流れ者の男がくる。新しい西部劇とされ、アカデミー賞6部門に輝いた。主題曲「遥かなる山の呼び声」も人々に深く記憶された。


貴重な写真1,000枚の中から、選りすぐりの300作品を掲載!


本書は⼤阪の通称「ミナミ」と呼ばれる難波、道頓堀、千⽇前周辺で絵看板を⼿がけていた⼯房「不⼆⼯芸」で、奇跡的に保存されていた1,000 枚にものぼる記録写真から、厳選した300枚を全作品解説つきで掲載

映画絵看板の写真を通して、戦後の映画史を展望することができます。


七人の侍

『七人の侍』
東宝敷島劇場
1954年公開
監督:黒澤明
出演:三船敏郎、志村喬、津島恵子

野武士の略奪に脅かされてきた農民たちが、武士を雇って襲撃に立ち向かう。ヴェネチア国際映画祭では銀獅子賞を受賞、黒澤・三船コンビによる世界映画史が誇る黒澤の代表作。


昭和史と映画作品を⼀望できる年表、昭和35年の⼤阪・千⽇前のマップなど、多彩なコンテンツが満載!


激動の時代・昭和を、映画史とともに年表化!
社会情勢と映画が相互に影響を与えあっていた、戦後から昭和末期の時勢が理解できるだけでなく、⽂化的観点からも当時の⽇本を⼀望できます。

ほかにも、かつて看板絵師として活躍していた職⼈へのインタビューや昭和35年の⼤阪・千⽇前の「タイムスリップマップ」を収録。
映画が最⼤の娯楽であった当時の⼈々の⽣活を、多⾓的な視点から眺めることができます!


年表ページ

タイムスリップマップ

お正月の様子

(上)年表ページの抜粋
(中)昭和35年お正月の〈千日前南側〉と〈千日前北側〉の
  「タイムススリップマップ」を収録
(下)当時のお正月の様子がわかる写真


是枝裕和監督の映画ポスター制作でも知られる、葛⻄薫⽒がアートディレクションを担当!


本書のアートディレクションは、是枝裕和監督「海よりもまだ深く」の宣伝制作や「サントリーウーロン茶」などの広告制作で知られる、⽇本を代表するアートディレクター・葛⻄薫さんが手がけてくださいました。

⼈の⽬を惹きつける要素をふんだんに詰め込みデザインされた映画絵看板とは対照的に、その芸術がもっとも引き⽴つように、緻密に整えられたシンプルなデザインが魅⼒の本書。

時代を超えたクリエイティブのヒントやアイデアを豊富に得られる⼀冊です。


ローマの休日

東京物語-バンド・ワゴン


帯文は、作家・編集者・写真家の都築響一さんが寄稿してくださっています。当時の映画絵看板が市井の人々にとってどのような存在だったのか、思わず想像してしまう都築さんの言葉にも、ぜひご注目ください!


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《監修》
岡⽥秀則(おかだ ひでのり)
東京⼤学教養学部卒業。国⽴映画アーカイブ主任研究員。映画のフィルム/関連マテリアルの収集・保存や、上映企画の運営などに携わり、映画展覧会のキュレーションも担当。国内外の映画史を踏まえたさまざまな論考を発表している。著書に『映画という《物体X》』(⽴東舎)がある。
《企画》
貴⽥奈津⼦(きだ なつこ)

主に⽇仏間でアーティストのエージェント業務に携わり、広告や出版の仕事が多い。訳書に『フィリップ・ワイズベッカーの郷⼟玩具⼀⼆⽀めぐり』(⻘幻舎)、著書に『絵本のつくりかた〈2〉 ―フランスのアーティスト10 名が語る創作のすべて』(美術出版社)などがある。

『昭和の映画絵看板』出版記念
手描き映画絵看板アーカイブ制作のクラウドファンディングも実施中!↓

Webサイトhttps://motion-gallery.net/projects/Movie-billboards
《書籍情報》
『昭和の映画絵看板 〜看板絵師たちのアートワーク〜』

監修:岡⽥秀則
企画:貴⽥奈津⼦
アートディレクター:葛⻄薫
発売⽇:2021年6⽉16⽇(⽔)
定価:本体価格 2,700円(+税)
仕様:A5/並製
ページ:352ページ(モノクロ320ページ・カラー32ページ)
ISBN:978-4-908406-62-1


全国の書店で絶賛お取り扱いいただいています◎












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