見出し画像

#2 イギリスのランニング:1500m

ここ二年連続で世界陸上男子1500mはイギリスの選手が優勝しており、女子も東京オリンピックで銀メダルを獲得したLaura Muir を筆頭に強い選手が集まっている。またイギリスでは1954年に初めて1マイル(1.609Km)をサブ4で走ったRoger Bannisterを輩出したことから1500mが花形の種目として扱われている。そこで、イギリスの1500mの主要な大会や注目されている選手をまとめてみた。

*選手名はカタカナ名で調べると情報があまり出てこないので、基本的に英語で表記しています


イギリス選手権(British Athletics Championships)

イギリス選手権は毎年6月の終わりに行われ、多くの国と同じように世界陸上・オリンピック代表選手の選考を兼ねる。ただ日本と違うのは800/1500 で参加標準記録を突破する選手が多くの場合複数いるため、決勝ではより勝負に徹したスローな展開になることが多い。もう一つ面白いのはスポンサーされている選手もそれぞれの地域のランニングチームのユニフォームで出場している事だ(都道府県駅伝で東京都を代表するのと少し似た感覚)。これはイギリスで選手の育成が学校や実業団ではなく、地域のランニングチーム主体で行われてるためだ。

2021~2023 入賞まとめ

2021年男子1500m 決勝

2022年女子1500m決勝

選手紹介

Josh Kerr は2023年の世界陸上金でメダル、東京オリンピックでも銅メダルを獲得した実績のある選手だ。スコットランド出身だが大学はアメリカに通い、現在の練習拠点はシアトルにある。ちなみにJake Wightmanと同じスコットランドのランニングクラブで練習していた。スポンサー:ブルックス、オークリーなど

Jake Wightmanも前述のJosh Kerrと並んでここ数年イギリスの1500mを牽引してきた選手だ。2022年の世界陸上で金メダルをとったことも記憶に新しいが、昨年は故障で試合に全く出れなかった。ロンドン西部にあるBushy park などでよく練習する。スポンサー:ニューバランス
Youtube チャンネル: https://www.youtube.com/@jakeswightman

George Millsは1500の自己ベストが3:30の実力者だが、今年はおそらく5000m での代表入りを狙っているようだ(今年の二月に参加標準記録を12:58で突破)。スイスのSt.Moritz, 南アフリカのDullstroomで合宿をよく行う。スポンサー:オン
Youtube チャンネル: https://www.youtube.com/@the5kguys 

Adam Foggはアメリカの大学で一気に飛躍を遂げた選手。現在もアメリカで練習を行っており、自身が運営するYouTubeチャンネルで有名になった。今年のはじめに1マイルを3:49で走り、波に乗っている。スポンサー:アンダーアーマー
Youtube チャンネル: https://www.youtube.com/@adam_fogg

Callum Elson は1500m を3:35 で走れる実力のある選手で、Instagram/Stravaなどで自身の練習を詳しく紹介することで有名。2020年に走りはじめ、ここ一年で表彰台争いに絡めるほど成長したが、2月の室内世界陸上で大怪我を負い今年のオリンピックは断念した。スポンサー:ホカ
Youtube チャンネル: https://www.youtube.com/@the.distanceproject

Laura Muirは東京オリンピックで銀メダルを獲得し、ヨーロッパ選手権なども優勝したが、昨年の世界陸上では6位に終わった。1500をサブ4で通算25回も走り、800のベストも1:56.5 なのでどちらかというとスピード型。スポンサー:ナイキ

Katie Snowden は多くの予想を裏切ってイギリス選手権で優勝し、世界陸上では8位入賞を果たした。昨年は自己ベストの3:56を走り、今年はオリンピックの入賞・メダル争いにも十分絡める。練習はアリゾナを拠点としている。スポンサー:アンダーアーマー

Melissa Courtney-Bryantも昨年上記の2人に続いて3:58 で走り、サブ4の仲間入りを果たした。また、9月に2週間の間にサブ4を3回走る離れ業をこなした。ウェールズ出身で自国の3000,5000mの最高記録も持っている。スポンサー:ニューバランス

大学選手権(BUCS Athletics Championships)

2月の終わりにインドア、5月のはじめにアウトドアの大学選手権がある。2月のはじめにはクロスカントリー選手権もあるため、インドアには必ずしも優勝候補が全員揃うわけでもない。また、Josh Kerrをはじめとしてアメリカの大学に進学をするランナーも一部いるので、一番速いイギリスの大学生が全員いる訳ではない。それでもMatthew Stonierのように大学選手権表彰台からイギリス選手権入賞というステップアップを果たす選手は毎年のように出ている。優勝者の自己ベストは男子は3:35, 女子は4:15ぐらいの場合が多く、日本とほぼ同じか少し上のレベルかもしれない(2024アウトドアは5/4~5/6に開催)

2022~2024 表彰台まとめ

選手紹介

Matthew Stonier はここ3年連続でイギリス選手権入賞を果たしている。2021年までの自己ベストは3:39.17 だったものの、2022年 に大学選手権1500mで優勝したのを皮切りに自己ベストを次々更新し、その年の8月には3:32.50、2023年には3:31.30 で走った。スポンサー:ナイキ

Ben Pattisonは2023年に飛躍を遂げ、5月に大学選手権で1500優勝、7月にイギリス選手権800m優勝、8月の世界陸上800mで銅メダルを獲得した。前述のMatthew Stonier同様にLoughborough大学に通っている。スポンサー:アディダス

Bethan Morley も上記の2人のようにLougborugh大学に在学しており、今年の大学クロスカントリー選手権(8Km)でも個人順位5位と健闘した。自己ベストは4:14で、これを今年どこまで伸ばせるか楽しみだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?