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うめぼしごはんと夏の思い出

甘めの梅干しに目がない。

遥か昔、通りに面した実家の庭には大きな梅の木が埋まっていた。木の太さから察するに、もともとあったものだと思う。
実りの日、だんだんと梅の実が大きくなり、緑の色から変わっていき、ぼたぼたと地に落ちていく。そうなると、収穫時期。すだれと塩、砂糖、しそ、瓶を用意する。

まずは梅を並べ、乾燥させる。少し期間を置く。たしか数週間単位。乾燥したら、瓶に塩やらなんやらを入れて漬ける。数年置く。
ざっくりそんな感じの記憶。

そういうわけで毎年「我が家の梅」が生まれ、日々ぼそぼそと食べることになった。
それらはとっても「酸っぱ、、い」ので、子どもとしてはあまり好む味ではなかった。
ただ、白ごはんが通常営業の家だったこともあり、ごはんの友である梅のある食卓は当然だった。

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大人になり、いまだに主食に白ごはんを好む私は、めったに料理をしていないものの、梅には目がない。
好きな梅干し屋さんもあって、京都を訪れると必ず寄ったりする。酸味の強いものではなく、甘めのものだが。
梅干しを作る家庭に育った割に、どこかの誰かに邪険と言われそうな味が好きなのだ。まあ好きなのだから仕方ない。

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生まれ育った実家の庭は広く、家族が好んで家庭菜園をしていた。何を育てていたかもはやはっきり思い出せないが、なってすぐのきゅうりやトマトを庭でかじっていたことは覚えている。味の記憶は忘れないもののようだ。

そんな家を離れて10年以上が経つ。
ただ、結局のところ梅干しときゅうりとトマトはいまだに大好きな食材なのである。


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