2023/04/15

内側から壊せないものと言えば万華鏡ですが、指で折って数えるのは諦めてしまいました。

万華鏡の中に閉じ込められて数歩動く度に無尽蔵に増殖を減少を繰り返す私の像の群れ。一度止まって鏡像の全てを数え終えると、内側からそこは壊せるらしいのだけれど、視線を動かせば視界の端にある像を数えたのか数えていなかったのか分からなくなり、居ても立っても居られなくなって足を踏み出す。不安げな目の私の像が左へ消え右から焦りに瞳孔を収縮させる私が姿を覗かせる。また最初からやり直し。遠くに見える、そこだけ鏡ではない一面は、濃さの違う二つの同心円を映しており、時折り内側のより黒い方の円は大きさを変えている。あの向こうにいるのも私なのだ。