2021/01/17②

“突出”、“湾曲”、“萎縮”……特徴はどれも救いようのないものばかりだった。そしてその救いようのない記述に囲まれたイラストの男子は、とても素直な表情をしていた。絶望したり卑屈になったりせず、唇をしっかり結び、穏やかに遠くの一点を見つめている。哀しいくらいけなげな表情だった。/小川洋子「雨上がり」『シュガータイム』

悲観していない表情はときによりその人を絶望の真っ只中に見せると思います。自己憐憫もひとつの慰めであり、不幸を遠ざける方法なのかもしれない、など。

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