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とだわらびSDGs通信 Vol.5 【SixZaemon】

今回取材させていただくのはSixZaemon代表の
宮田れいなさんです。

SixZaemonとは、NY拠点にアート活動を行うTatsunori Hosoiさんと、アートとビジネスを追求する宮田れいなさんによるアートプロデュースユニットです。

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【アート×不動産】と【現代アート×地域交流】を軸として、国内外の現代アーティストとコラボレーションしながら、地域や不動産に新しい価値を創造していく活動をされています。

(インタビュアー:渡利)

みんなの地球を着ようプロジェクト

渡利〉
それではよろしくお願いします!
さっそくですが、宮田さんはSDGsに関してどんな活動をされていますか?

宮田さん〉
SDGsという言葉は、メディアで取り上げられることが多くなってきたかと思いますが、言葉だけが一人歩きし、日常生活においてはピンと来ない方も多いかもしれません。

そこで私たちは【現代アート×地域交流】を通じて、より社会問題を身近に感じてもらうと共に、その問題について考えるきっかけをつくり、さらに一人一人の意識や行動が変わることを目的とした『みんなの地球を着よう』プロジェクトを発足しました。

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渡利〉
名前からして、とてもインパクトがありますね!
どのようなプロジェクトなんでしょうか?

宮田さん〉
アパレル業界の環境問題をテーマにしています。

昨年11月には地元の戸田市(上戸田交流センターあいパル)で、参加型アートイベントを開催しました。

ワークショップでは不要になった衣服を持ってきてもらい、まずは小さく切り刻んでもらいます。

渡利〉えっ?!服を切っちゃうんですか?(楽しそう)

宮田さん〉
はい、様々な衣服の価値を均一にするために切っていきます。
それを大きな布に貼っていき、みんなで全長7メートルの大きなアート作品を創りました。

最終日に子どもファッションショーを行ったのですが、そのアート作品がランウェイとなり、未来を生きる子どもたちに肌で布を感じてもらうために素足で歩いてもらいました。

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アート思考な循環型ファッション

渡利〉
なるほど・・・いらなくなった服をただ捨てるのではなくて、地域の皆さんで作ったアート作品として新たな価値を生みだすんですね!

宮田さん〉
はい、今後はその大きな布から、洋服をつくろうと思っています。
捨てられるはずだった衣服が新しい服に生まれ変わるという一つの循環を表します。
さらに、その服を身につけてファッションショーを行い、改めて『みんなの地球を着よう』のテーマを地域の皆さんと考えるきっかけを創出したいと考えています。

渡利〉
素晴らしい取組みです!

地域の環境音を使い、より愛着を生む

宮田さん〉
ちなみに子どもファッションショーの時の音楽には、戸田市で撮れた環境音を散りばめています。

戸田っ子の声、戸田競艇場のレースの音、後谷公園のせせらぎ、夕方流れる放送、あいパルで卓球する音、市内を走るバスの停車音、戸田ヶ原の小鳥のさえずり、戸田の空を飛ぶ烏の鳴き声、戸田橋花火大会(2019年)の打ち上げ花火の音など。

戸田市で生まれた音が入っていることで、より地域への愛着が生まれ、参加する方々の心に深く残るものにしたいと思ったんです。

渡利〉
戸田市に対する愛が感じられます。
愛郷心が育まれれば、地元の自然を守らなきゃって思いますもんね。
ちなみに私が勉強不足なんですが、アパレル業界の環境問題についてお教えいただけますか?

生産された洋服の60%は廃棄されている

宮田さん〉
日本では年間約100万トン、およそ東京ドーム250個分の量の衣服が捨てられています。

世界においては生産に対して消費量が約40%しかなく、廃棄量は約60%となります。

渡利〉
作られた衣服の6割がほとんど着られずに廃棄されているんですね!これは驚きました!

宮田さん〉
想定では2030年には消費量が1.02億トン(世界総人口の体重のおおよその合計)、廃棄量が1.5億トン(東京スカイツリー約4185個)に達してしまうそうです。

生産と廃棄においては大量の水を消耗します。
繊維業界は全世界の廃水の約20%を生み、2番目に水を多く消費する産業です。

そして世界の温室効果ガス排出量の約10%を占めており、航空業界と海運業界の合計を上回るエネルギーを使用しています。

また天然繊維の生産量は限度があるため、化学繊維の生産量が増え続けています。
このように大量に生産し消費する社会が持続すると、二酸化炭素などによる汚染問題、温室効果ガスによる地球温暖化などの原因になってしまいます。

出典)Global Fashon Agenda 
https://www.globalfashionagenda.com/report/pulse-2019-update/#
Pulse of the Fashon Industry Report 2017

出典) For Fashon Future 
楊 芊蔚/つくられた洋服の6割以上は捨てられているという現実。ファッションロスに私たちはどう立ち向かうのか。
https://note.com/forfashionfuture/n/n6482f179a9a9

『着る』を考える

渡利〉
そうなんですね。。。
プロジェクトを通じて環境問題をどのように参加者に伝えていらっしゃいますか?

宮田さん〉
『みんなの地球を着よう』では衣服を共有する、リメイクすることの大切さを伝えています。
簡単に捨ててしまわないことを心がけることが、地球を大事にする一歩となることを非言語的にアートで具現化しています。

渡利〉
なるほど。頭で理解するというより、心に響かせるということですね。

宮田さん〉
そうです。SDGsという言葉を知識として身につけても、一人一人の意識や行動が変わらなくては、意味がないと思っています。
アートを通じて心を震わせることで一人一人の行動にも良い影響があると思っています。

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渡利〉
今後どのような活動をされていきますか?

宮田さん〉
私たちは多種多様な人々が参加しやすく、楽しみながら印象に残るもの、そして体感しやすい方法で【現代アート×地域交流】という切り口からSDGsに触れてもらい、環境や社会問題を考えるきっかけを作っていけたらと考えています。

他のテーマにおいても今後プロジェクトを発足していく予定です。

子どもはみんなアーティスト

渡利〉
最後に子供たちにアートに触れてもらう事で、どんなことに期待しますか?

宮田さん〉
まず、現代アートとは?を知ってもらえたら嬉しいです。
現代アーティストは同時代の世相、思想、経済、社会問題などをあらゆる観点から掘り下げアート作品を生み出しています。時代を先読み、問題提起をしてくれます。

そもそも、子どもには「アート」という言葉の概念はなく、生まれた時から子どもはみんなアーティストだと思っています。

大人が想像もしないことを次々とやってみせてくれますよね。
それがいつしか、社会のルールや規律の中で生活するようになると、他人の言葉や顔色を気にするようになり無意識にアート心に蓋をしてしまうのです。

だから子どもには、大人になってもアーティストでいることを忘れないでほしいです。
自己の表現や、想像力や創造力、すでに持っている感性を大人に見せ続けてほしいです。
そして大人が、決してそれを潰すようなことはせず、認めてあげられるようになってほしい。

アートには正解も不正解もありません。
予測不可能な時代を生き抜くために、
自分なりの答えを見つけ出す力
(=アーティストが作品を生み出す時の思考)
(=ビジネスパーソンが新規事業を生み出すときの思考)
を養い鍛え続けてほしい
と思います。

アートに触れ続けることが、アーティストでいられる方法の一つだと思っています。

渡利〉
貴重なお話しをいただき、ありがとうございました!


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