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とだわらびSDGs通信 Vol.6 【NINI(株式会社ニィニ)】前編

今回は蕨市塚越にあるアパレルメーカーの
株式会社ニィニ 取締役の保坂様にインタビューをさせていただきました。

良いモノを長く使う

細井〉
先日取材させていただきましたSixZaemonの宮田さんから「私のところより、保坂さんの話聞いた方が良いですよ!もの凄い方です!!」ということでご紹介をいただきました!
本日はよろしくお願いします。

保坂さん〉
そんな、、笑
よろしくお願いします。

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保坂 郁美
IKUMI HOSAKA

《略歴》
現代アーティストとして陶芸作家を目指し、数々の陶芸展で入賞。株式会社ニィニでは2005年から取締役として経営に参画する傍らデザイナーとしても活躍。双子織を使ったスポーツウェアを開発し、2019年彩湖リレーマラソン大会のスタッフジャンパーとして採用される。同年に改良した双子織トラックジャケットは蕨市のふるさと納税返礼品に選ばれ、蕨ブランド品に認定。2020年埼玉県主催SAITAMA Smile Women ピッチ2020で最優秀賞受賞。

細井〉
まずは御社についてお聞かせいただきたいのですが、アパレルメーカーということで、お仕事の内容について教えてください。

保坂さん>
元々母が始めた会社でして、母はモノを大切にする家庭で育っていて、良いモノを長く使うという習慣がありました。

母が幼少期に着ていたものを大切にとっていて、それを私が小学校を上がったころに着せてもらったりだとか。

会社ではオリジナルのブランドを立ち上げておりまして、全て丁寧にお一人お一人にお作りするセミオーダー対応をしています。

何着も洋服をたくさん持つというステータスとしてのお付き合いをするより、愛着をもって着ていただきたいという想いが私達のDNAとして存在しています。

細井〉モノを大切にするという精神が根本にあるご家庭で育ち、御社にもその精神が根付いているのですね。

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洋服にはそれぞれ大事な思い出が詰まっている

保坂さん〉
そうなんです。そんな中で7,8年前に着物や洋服のリメイク事業を始めました。
これはお客様の声から始まった事業で
「持ってるものをお直しして長く着たいんだけれど、新しいのは買えないのでリメイクできないか?」
というお声がありました。

やって差し上げたいなという気持ちがあっても技術的になかなか難しい部分がありました。
最初はお断りしていましたが、ある時一念発起して事業としてやろうと決めました。
母の毛皮を壊し、祖母の着物もひっくり返してリメイク技術を必死に勉強しました。

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着物とか毛皮とか洋服がただのモノではなくて、その方の思い出が詰まっている重要なものだと気づき、今まで育ってきた環境(モノを大切にする)とリメイク事業とが「ガチャっ」と音を立てるように合わさった感じがしたんです。

細井〉
思い出が詰まったお気に入りのお洋服は捨てたくないですよね。
一方以前宮田さんの記事でも書きましたが、日本では年間100万トンの衣服が捨てられているという現状があります。
これについてどのようにお考えでしょうか?

未来を選び取る消費

保坂さん〉
私は小さな時からモノを作ることの大変さを見て育ってきています。
消費行動を真剣に考えなければあっという間に地球も社会も崩れ去ってしまう、本当に危うい中で私たちは生きているんだということをもっと多くの方に知ってもらえたらなと思います。

そこで『モノを作っている人間は、多くの人にそのことが伝わるためにしゃべっていかなくてはいけないんだ!』と、思い立ちまして川口リリアで100人規模のシンポジウムを実施しました。

細井〉
素晴らしいですね!パネリストとしてご登壇されたんですか?

保坂さん〉
いえ、私が主催で【未来を選び取る消費〜これからを想う、衣・食・住・健康・教育とは〜】をテーマとしたシンポジウムを開催しました。

細井〉
すごい行動力!!

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保坂さん〉
基調講演では、以前講演を聞かせていただき、とても影響を受けたファッションメーカー、ファクトリエの代表の山田敏夫さんに『日本に本当のものづくりを!〜工場直結ジャパンブランドの挑戦〜』をテーマにご登壇いただきました。

そして、芸術と医療に精通する※東京大学医学部付属病院の医師の稲葉先生にもパネルディスカッションでご登壇いただきました。

※現在は軽井沢病院副院長(総合診療科医長)

このお二人にどうしてもお願いしたくて、1年間頼み込んでどうにか実現することが出来ました。

■山田敏夫
日本に本当のものづくりを根付かせたいと、全国各地のアパレルを自らの足で周り、工場直結ジャパンブランドを立ち上げる。
中間業者を介さず、企業・職人に利益が、消費者に質の良い製品がいきわたる「適正価格」での販売を行っている。
今までに訪れた地域のアパレルは600社以上で、カンブリア宮殿、ガイアの夜明けなど、メディア出演多数。
■稲葉俊郎
循環器内科の医師でありながら、東洋医学などにも造詣が深く、山岳医療・訪問医療に取り組む。
医師という職業を通じて、心が体に与える影響の大きさを痛感し、芸術や社会、生活を通じて未来の医療と社会の創発に心をくだく。各種著作の他、NHKを中心に、メディア出演も多数。

ヨーロッパではファッションの文化の歴史も長く、デザイナーがデザインとしっかりしたブランディングをした上で、自社工場を作って一貫してものづくりをしています。

日本はデザイン、ブランド、工場全てが分業方式。工場内は劣悪な環境で、それを消費者には見せないように、守秘義務なんかもあるようです。
そこでできた商品を煌びやかな店舗でお高く売っているというのが現実です。

他ブランドの商品を大量に作るOEMというものは、私たちもやっています。
OEMはどんな人が買って、着てくれているのかというのが全く分からないので、片思いなんですね。

一生懸命思いを込めて作っていても、着ている方は今日着ている服を誰が作ったかとか考えたこともないんじゃないかと思います。

映画『ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション 真の代償〜』

作り手と買い手が一緒になっていく社会というのが理想なのに、現状は農業も食料品も全てにおいてそうですが、消費することが当たり前すぎてモノとしてしか見ていない。。。
これって悲しいよねっていうお話をパネルディスカッションの中でしました。

あと「THE TRUE COST」という映画があるんですが、それを見たというのも今回の行動に繋がった要因ですね。
この現状を多くの方に知っていただきたいということで、上映権を買ってお店で上映会をいたしました。

私がまだ会社に入る前ですが、父である社長と専務の母がバングラディッシュにいって現地のお話は聞いていましたので、作り手を地球全体でもっと大切にしていかなければという想いが強くなりました。

細井〉
近年アパレル業界においても多くの企業が環境や社会に配慮した経営を目指す一方で、ファストファッションに代表される生産者の顔が見えない大量生産・大量消費がいまだ一般的であると思います。
どうすれば消費行動は変われるのでしょう?

消費者は『どの会社を生き残らせるか』を選ぶことができる

保坂さん〉
皆に考えを強いるというよりは、一人でも多くの方に知ってもらいたい。そしてその後に考えてもらいたい。それぞれが感じたうえで独自のアクションをとってもらいたい。

自由社会の中でビジネスをしているので、安い洋服は買わないでとかはできませんので、そこは仕方ないと思います。
だけど、それぞれ真剣に考えさえすれば変わることができるんじゃないかという風に考えています。

アパレルだけではなく、消費者はどの会社を生き残らせるかを選ぶことができるんです。

是非考えて消費をしてもらいたい。

安かろう悪かろうで買ってしまうと、皆の何気ない消費行動が地球環境を破壊することに繋がってしまいます。

見て見ぬふりをして、今現在の生活状況だけに注視して行動してしまうと、長い目で見た時にどういうことになってしまうのか、ということを考える必要があります。

自主開催したシンポジウムですが、はじめは周りからの反対が凄かったです。
売り上げを少し落としてでも、今のタイミングでこれをやるんだ!という強い気持ちがありました。

周りの協力をうけてどうにか実現できましたが、開催後にも反省することが多くありました。

漫画で書きましたので、見てみてください。笑

私も会社を離れると中2と高1の娘のお母さんをやっています。

子供たちのためにも、大人はやらされているような仕事をするのではなくて、真剣に考えて子供に本気で未来を託していくことをしなくちゃいけないんだという想いを強く持っています。

後編に続く

【 株式会社ニィニ 】https://www.nini.co.jp

※保坂さん、エネルギーに満ち溢れていて本当に多彩な方です!漫画もご本人が描かれています。

保坂さんの漫画はこちらから
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