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COP26を終えて〜まとめと考察〜

南太平洋の島国ツバルの外務大臣が、膝まで海に浸かりながらスピーチし、気候変動の緊急性を訴えた。
このスピーチは、イギリス・グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)のために、首都フナフティのフォンガファレ島で撮影された。
《出典元》https://m.huffingtonpost.jp/entry/tuvalu-minister-knee-deep-ocean_jp_6189c8c2e4b06de3eb79909b?ncid=NEWSSTAND0012


温暖化によって影響を受けやすい島嶼国のツバル。
ただ、物事には多面的な見方が必要ですよね。

スコットランドのグラスゴーで、行われていたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)が11/13に閉幕しました。

グラスゴー合意文書のポイント

① 気温の上昇幅(産業革命前比)を1.5度以内に抑える努力を追求することを決意する。

②排出抑制対策を講じていない石炭火力発電の『段階的な削減』に向けた努力を加速させる。

③温室効果ガスの排出削減量を国際的に取引するルールに合意。

④先進国に対し、途上国が気候変動による被害を軽減し防止するための年1000億ドルの資金提供の目標を早急に達成し、25年まで続けるよう求める。


日本の岸田総理が発表した目標

①2030年までに温室効果ガス排出量を46%削減すると同時に50%削減を目指す。(2013年比)

②2050年までに脱炭素(※カーボンニュートラル)を目指す。※排出量に対して吸収量を加味して、実質0にすること。

③途上国の気候変動対策に追加で100億ドルの追加支援。

④火力発電所について、アンモニアや水素を燃料にして混燃することで温室効果ガスの排出量を抑制する対策を進めていく。

グラフで見る各国のエネルギー構成

出典:日本原子力文化財団/原子力・エネルギー図面集
『世界の人口とエネルギー供給』

出典:日本原子力文化財団/原子力・エネルギー図面集
『世界および日本のエネルギー情勢』


これらのグラフでわかることは、
○日本を含むアジアは石炭エネルギーの割合が多い
○国土が広く自然に囲まれた欧州各国では、自然エネルギー(水力など)や天然ガスの割合が多い。
○フランスのエネルギー構成比率は原子力が多い。
○世界のエネルギー供給量
1位中国、2位アメリカ、3位インド 
※日本は5位
○世界の一人当たりのエネルギー供給量
中国10位、アメリカ2位、インド13位 
※日本は7位(欧米各国が上位に)

石炭は確かに温室効果ガスを多く排出します。ですが、その半分ほどの温室効果ガスを出す天然ガスについてはあまり議論されていないように思います。

また、日本の石炭火力に頼っている現状は、国際社会から非難されていますが、地理面から自然エネルギーの活用が簡単ではなく、地震などの災害や政治的な理由等から、本来クリーンエネルギーの一つである原子力もなかなか使えない日本としては、非常に難しい問題を抱えています。

よく中国のエネルギー排出量が圧倒的に多いことについて、中国は全然対策をしていないと言われる方もいますが、再生エネルギーや太陽光パネルなどの生産で、部分的には日本よりも進んでいます。

人口が多いため、エネルギー供給量が多く見られますが、一人当たりの供給量で計算すると、中国やインドに比べ欧米諸国は上回っていることがわかります。

各国の動向

COP26の会議直前に発表された国連報告書においては、各国がそれぞれ事前に提示していた2030年までの削減目標を仮に達成したとしても、世界全体の排出量は2030年に2010年比で13.7%も増加し、このままでは世界の平均気温は2.7度上昇してしまうという警鐘が鳴らされました。

1.5度目標に向けて各国の首脳は自国の目標を再検討し、上方修正する国が多くありましたが、絵に描いた餅にならないようにどこまで真剣にこだわってやっていくのかが重要だと思います。
個人的に、印象を良くするために実現性が低いのに、かなり高い目標を述べている国もあったかと感じています。

なお、脱炭素の達成時期については、
日本や欧米各国が2050年を目標としているのに対し、中国、ロシア、サウジアラビアは2060年、インドは2070年を目標とすることが発表されました。

急速に進む脱炭素社会

グレタ・トゥーンベリさんという18歳の環境活動家を筆頭に、世界の若者がデモ行進を行ったことでも注目を集めた今回のCOP26。

グレタさんは15歳の時にたった1人で気候変動学校ストライキを始めて、そのインパクトのある言動で多くの人を巻き込んでムーブメントを起こしています。
本当に凄い子だと思います。

グレタさんについては、環境負荷の高い飛行機は使わず電車でグラスゴーに到着。それに対してイギリスのジョンソン首相はプライベートジェットで現地入りし、環境団体から糾弾されました。

各国の政策や各人の考えを否定することは簡単ですが、地球温暖化について調べていると、複合的な問題が重なり合っており、単純な問題ではありません。
中国が悪い。グレタはそんな暇があるなら勉強しろ。など思考停止になっている意見をよく見かけます。

ただ間違いなく言えることは、世の中の真理を理解しているかのように18歳の女の子を批判する大人達より、若者に対してムーブメントを起こし、25,000人の若者をデモ活動に巻き込み変革を起こしたグレタさんの方がよっぽど立派だということ。

(※個人的にもグレタさんの感情論での過激な発言や、柔軟性・具体性があまりなく偏っているともとれる思考など思う部分はありますが。。。)

そして同時に今回のCOP26をきっかけに、中国もインドも世界全体で持続可能性に対しての危機感を共有し、脱炭素に向けた新たな一歩となったということです。

国内でも脱炭素の流れは大企業から始まり、もうまもなく中小企業もエネルギー転換を考えなくてはならなくなってきます。

排出量を抑える技術によって石炭を使用し続けるのか、環境負荷の高い自然エネルギーを選ぶのか、環境負荷の低い自然エネルギーを選ぶのか、コストや利便性だけではない判断基準で、各々が考え、エネルギーを選ぶ時代はもう始まっています。

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