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エネルギーのこれから

温室効果ガス削減に向けて

今年4月22日の気候変動サミットで菅首相は2030年の温室効果ガスの削減目標について、2013年と比較して46%削減することを表明しました。
また、2050年までには排出量を実質ゼロにするということも明言しています。
(カーボンニュートラル)

以前別の記事で、日本の食料自給率が4割であると書きましたが、エネルギー自給率はなんと1割です。
残りの9割のエネルギー資源を外国から輸入しています。

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(出典)IEA「 World Energy Balances 2019」~主要国の一次エネルギー自給率比較(2018年)~ ※日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2018年度確報値。※表内の順位はOECD35カ国中の順位

脱原子力

エネルギー資源に乏しい日本では過去2度にわたるオイルショックの経験から、省エネの推進や原子力等の開発を推進してきました。原子力は太陽光や風力などと同様に温室効果ガスをほとんど排出しない電力で、かつ他国へ依存する必要がないエネルギーとして非常に期待されていました。

しかし、東日本大震災を機に原発の安全性が問題視され、その後は結局安価な石炭や石油、または天然ガスを用いた発電が増加してきました。

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(出典)資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」~日本の一次エネルギー供給構成の推移~

石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料と呼ばれるものは、50年後〜100年後には枯渇してしまうと言われています。

再エネ発電賦課金

普段はあまり気にしていなかった電気料金の検針票ですが、この前ふと見てみると、こんな項目がありました。

『再エネ発電賦課金』

うちには太陽光パネルもないし、何のお金なんだろう?と思い調べてみると。。。

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、2012年から始まり、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT法)で定められており、太陽光や風力といった再生可能エネルギーで発電した電力は日々私たちが使う電気の一部として供給されているため、すべての人の毎月の電気代に上乗せされるもの。。。だそうです。

わかりづらいので簡単にいうと、再エネ発電の電力は電力会社が決まった期間・決まった価格で買い取ります。
ですが再エネが普及するまでは、どうしても従来の化石燃料を使用したエネルギーと比べて高くなってしまうので、その間の買取にかかるお金は国民みんなで負担しましょうという制度です。

皆さん、ご存知でしたか???

この再エネの電力はものすごいペースで増加しています。(ほとんど太陽光)
それに伴って私たちが支払う再エネ賦課金というものもかなり上がっています。(9年前の10倍以上・・・)

環境に低負荷なエネルギーの推進は重要ですが、国民負担を抑制していただき、バランスの取れた対策を期待したいですね。

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出典)JPEA出荷統計、NEDOの風力発電設備実績統計、包蔵水力調査、地熱発電の現状と動向、RPS制度・固定価格買取制度認定実績などにより資源エネルギー庁作成 ~再エネの設備容量の推移(大規模水力は除く)~

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出典)四国電力HP https://www.yonden.co.jp/lp/kozoo/no1.html

熱海市の土砂災害

最近のニュースで、熱海市での土砂災害がテレビで報道され、その映像を見た時は本当にショックで言葉を失うものでした。

インターネット上では、川の上流部の森林を伐採して作られた太陽光発電施設との関連を指摘する声が多くあります。

その後の調査で『盛り土』の崩壊が主な原因であったと判明したようですが、盛り土の量が届け出より大幅に増えていた、そして盛り土にプラスチックや木くずなどが含まれていた可能性も指摘されています。

太陽光発電について

国土の狭い日本において、太陽光発電を推進する場合、発電パネルを設置する場所には限りがあります。
砂漠のような何もない場所であれば良いのですが、今回のように森林を開いてメガソーラー発電所を設置する場合にはとても注意が必要となります。

森林はもともと地面に根を張って保水性がありますので、それを伐採した後に大雨が降った場合、今回のような災害が発生する可能性があります。

それを防ぐために設置に際しての法律や様々な規定があり、ほとんどの事業者は遵守しているはずですが、中にはそうでない場合もあると思います。

また都市部や幹線道路の近くにソーラーパネルを設置する場合には、反射する太陽光の問題で近隣の方に迷惑がかかったり、まぶしさなど運転の妨げになることもあるでしょう。

とはいえ、太陽光などの再生可能な自然エネルギーは、資源枯渇の心配もなく、燃料輸入やその価格変動などによる影響を受けにくくなる利点があります。

課題である安定した供給が実現できれば、温暖化の原因となる温室効果ガスの発生を抑えることにもつながります。

利益追求で『再エネ→環境破壊』はもってのほかですよね。。。

今後のエネルギー動向

2016年4月に『電力の小売全面自由化』がはじまり、もともと10社の大手電力会社が独占供給していた市場に、現在では『新電力会社』と呼ばれる電気小売事業者が727社も存在しています。

参考)資源エネルギー庁 登録電気小売事業者一覧
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/retailers_list/

新電力の中には、ITやブロックチェーン技術を駆使して、トラッキング(電力の追跡)により電力の見える化を実現させるなど、地産地消の電力という新たな視点で注目されている事業者も多くいます。

また従来型電力からこれらの新電力に切り替えることで、地産地消かつ再エネ100%というSDGs取り組みをされている企業が増えてきています。

エネルギーは発電したら、基本的には貯蔵できないものです。
ですが、電気エネルギーを科学エネルギーに変換する蓄電池などは防災の観点から近年非常に注目されています。

理想のエネルギーは【安定性】【経済性】【環境保全】全てを兼ね備えたものですが、現時点ではこれら3つを達成するためには、複数のエネルギー発電をミックスして運用していく必要があります。

今ある技術を皆が活用しながら2030年、そして2050年の脱炭素社会に向けて一人ひとりが行動をしていくことが重要です。

出典)内閣官房、国・地方脱炭素実現会議(令和3年6月9日) https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/datsutanso/

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