一歩踏み出すこと⑥【メイの視点】

ついに離婚を切り出してから

はじめてナツキに逢いに行きました。

何とも言えない想いと、

やっと切り出せたという達成感と

色んな想いがありすぎて

私はナツキに話し出せずにいました。

お店の横に車を停めて

ナツキがお店の中にいる間
私は外で木々を眺めていました。


わたし、やっと、あの生活から抜け出せるんだ・・・


そう思うと、

涙が溢れてきました。


ごくごく普通の家庭だったと思うのですが

私は心が満たされたことはありませんでした。

ただ、その中から出ることは出来ないと
思い込んでいて

その中で、なんとか
なんとか、良くしていきたい思いで頑張ってきました。


でも、ナツキに出会って

ほんとうに心から愛する人と
一緒になってもいいのかもしれないと思ったとき

私の中で持ち続けていた、家族という壁が崩れていきました。

そして
ついに、そこに向かう扉を開けてしまった

わたし、やっと出られるんだ・・・

そうやって泣いていたら
そっとナツキが肩を抱いてくれました。


その日は
優しく優しく寄り添ってくれていました。


上手く言葉で表現できずに
なんだか涙が溢れてきてしまう私に


おいで


と言って、抱き寄せてくれていました。

その日、ナツキはちょっと急ぐ用事があったのにも関わらず

メイとの時間のほうが大事だからと
最後のお見送りまで
寄り添ってくれました。

内心では急いでいたのかもしれないですが

そのナツキの優しさに心を打たれていました。

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