はじまるふたり⑨【メイの視点】
ナツキはしばらく私の膝の上で寝ていました。
それは
静かで特別な時間でした。
私は、過去ナツキに逢っていたことだったり
ここ最近のことだったり
様々なことを頭の中に巡らせていました。
それは
私たちがこうなることが
確信、であったと同時に
まだ恋人として間もないので
友人だったナツキとしての意識もまだ残っており
愛おしい という気持ちと
えー?!
あのナツキとわたしが!って驚く気持ちと
嬉しいながらも、不思議な感覚に陥っていました。
そして
ナツキがつい3日前までは
そっけない姿だったのに
今は
ものすごく愛を感じて
ものすごく愛してくれていることを感じて
わたしは
この人が私の本当の鏡であるなら
私にもこんなにたくさんの愛があったんだ・・・
と、
ナツキを通して、自分自身にも
ひそかに感動していました。
それまでの私は
愛は一方通行のような受け取り方でした。
受け取っている、というよりは
与えっぱなし、という気持ちの方が大きかったかもしれません。
子供に対してはもちろん愛です。
存在そのものが愛だと思っています。
ただ、
自分自身をこんなに愛してくれる人がいる。
それは私にとって、
感動でしかありませんでした。
私は胸が震える想いでした。
そんな愛情の深いナツキに
その表現の素直さに心打たれていました。
幸せな時間は
あっという間に過ぎてしまいます。
公園の退園時間が迫ってきました。
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